東京、上野の国立西洋美術館において2023年1月22日(日)まで「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」が開催されています。

ベルリン国立ベルクグリューン美術館は、1914年にベルリンでユダヤ人の家庭に生まれた収集家、ハインツ・ベルクグリューンのコレクションを基盤とする美術館です。第二次大戦中の1936年、ナチス政権の抑圧を逃れてアメリカに渡ったベルクグリューンは、戦後まもなくパリで画廊を開き、世界的な画商となり、その引退後に収集家となります。

画像: 「Ⅱ. ピカソとブラック―新しい造形言語の創造」展示風景より photo©️saitomoichi

「Ⅱ. ピカソとブラック―新しい造形言語の創造」展示風景より
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彼のコレクションは、20世紀に活躍した4名の作家、ピカソとマティス、そしてクレー、ジャコメッティに焦点をあてているのが特徴です。さらにこの4人の作品を補完するものとして、彼らがいずれも私淑したポール・セザンヌとピカソのキュビズム時代の盟友ジョルジュ・ブラックの作品が加えられています。
1996年には、これらのコレクションがベルリンのシャルロッテンブルク宮殿に面した建物で公開され、さらに2000年にその価値の高さからコレクションがナショナルギャラリーに収蔵され、2004年に建物自体が「ベルリン国立ベルクグリューン美術館」へ改称されました。

ベルクグリューン美術館の改修を機に実現した今回の展覧会は、同館のコレクションから選んだ上記6人の76作品、そして日本の国立美術館が所蔵する同じ芸術家たちの11作品を加えた合計108作品が展示されています。

画像: 展示風景より:左:日本初公開 ポール・セザンヌ《セザンヌ夫人の肖像》(1985=86年頃)ベルリン国立ベルクグリューン美術館、ベルクグリューン家より寄託 右:アルベルト・ジャコメッティ 額内左《セザンヌの模写ーセザンヌ夫人の肖像》、額内右》レンブラントの模写ー窓辺で描く自画像》(1956年)国立西洋美術館(皆川清彦氏より寄贈) photo©️saitomoichi

展示風景より:左:日本初公開 ポール・セザンヌ《セザンヌ夫人の肖像》(1985=86年頃)ベルリン国立ベルクグリューン美術館、ベルクグリューン家より寄託
右:アルベルト・ジャコメッティ 額内左《セザンヌの模写ーセザンヌ夫人の肖像》、額内右》レンブラントの模写ー窓辺で描く自画像》(1956年)国立西洋美術館(皆川清彦氏より寄贈)
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I章では4名の芸術家が影響を受けたセザンヌを「近代芸術家たちの師」として取り上げています。

II章ではピカソとブラック共同作業によって進められたキュビズムの展開を辿り、Ⅲ章・Ⅳ章はピカソの作品群です。
そして続くⅤ章ではクレーを特集していますが、「ピカソとその時代」という展覧会名にもかかわらず、その中にクレー展が含まれていると言っても過言ではないボリュームで34点を楽しめます。

画像: 展示風景より:左:パウル・クレー《Gの一角》(1927年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館 右:パウル・クレー《朱色のアクセントのある方形の抽象的な色彩調和》(1924年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館 photo©️saitomoichi

展示風景より:左:パウル・クレー《Gの一角》(1927年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館 右:パウル・クレー《朱色のアクセントのある方形の抽象的な色彩調和》(1924年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館
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画像: 展示風景より:左:パウル・クレー《目覚める女性》(1920年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館 右:パウル・クレー《雄山羊》(1921年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館 photo©️saitomoichi

展示風景より:左:パウル・クレー《目覚める女性》(1920年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館 右:パウル・クレー《雄山羊》(1921年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館
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画像: 展示風景より:左:《夜明けの詩》(1938年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館、ベルクグリューン家より寄託 右:パウル・クレー《子どもの遊び》(1939年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館 photo©️saitomoichi

展示風景より:左:《夜明けの詩》(1938年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館、ベルクグリューン家より寄託 右:パウル・クレー《子どもの遊び》(1939年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館
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さらにⅥ章ではマティスの生命力と躍動感に溢れた作品群が迎えてくれます。

画像: 展示風景より:左:アンリ・マティス《青いポートフォリオ》(1945年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館 右:アンリ・マティス《ニースのアトリエ》(1929年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館

展示風景より:左:アンリ・マティス《青いポートフォリオ》(1945年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館 右:アンリ・マティス《ニースのアトリエ》(1929年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館

画像: 展示風景より:左:アンリ・マティス《植物的要素》(1947年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館 右:アンリ・マティス《ドラゴン》(1943-44年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館、ベルクグリューン家より寄託 photo©️saitomoichi

展示風景より:左:アンリ・マティス《植物的要素》(1947年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館 右:アンリ・マティス《ドラゴン》(1943-44年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館、ベルクグリューン家より寄託
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画像: 展示風景より:左:アンリ・マティス《ロンドン、テートギャラリーの展覧会(1953年)のためのポスター図案》(1952年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館 右:アンリ・マティス《縄跳びをする青い裸婦》(1952年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館 photo©️saitomoichi

展示風景より:左:アンリ・マティス《ロンドン、テートギャラリーの展覧会(1953年)のためのポスター図案》(1952年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館 右:アンリ・マティス《縄跳びをする青い裸婦》(1952年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館
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最後の第7章ではジャコメッティの彫刻作品を部屋の中央に配して、ピカソ、マティス、ジャコメッティが第二次大戦後に制作した人物像が一堂に展示されています。

画像: 展示風風景より:左:アルベルト・ジャコメッティ《ヤナイハラI》(1960-1961年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館 右:アルベルト・ジャコメッティ《男》(1956年)国立国際美術館 photo©️saitomoichi

展示風風景より:左:アルベルト・ジャコメッティ《ヤナイハラI》(1960-1961年)ベルリン国立ベルクグリューン美術館 右:アルベルト・ジャコメッティ《男》(1956年)国立国際美術館
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ベルクグリューンは、展示方法や額縁など「作品の周辺」にもいっさいの妥協を許さなかったということです。ベルクグリューンが作品に合わせて厳選したアンティークの額縁も、本展の見どころのひとつと言えます。

これだけ巨匠の作品を集めながら、来日作品のほとんどが日本初公開という、この秋、必見の展覧会です。
ぜひ、足を運んでみましょう。

開催概要

会期:開催中~2023年1月22日(日)
会場:国立西洋美術館(東京・上野公園)
   〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7
開館時間:午前9時30分~午後5時30分(金・土曜日は午後8時まで)
   ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、12月30日(金)~2023年1月1日(日)、1月10日(火)
   ※ただし、2023年1月2日(月・休)、1月9日(月・祝)は開館
観覧料:一般2,100円、大学生1,500円、高校生1,100円 中学生以下無料
   ※本展は新型コロナウイルス感染防止対策のため、日時指定制となっております。
展覧会公式サイト:https://picasso-and-his-time.jp
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2023年2月4日(土)~5月21日(日)に国立国際美術館(大阪)へ巡回予定。

  • ※会期等については今後の諸事情により変更する場合がありますので、最新情報をご確認ください。

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