HD リマスターで甦ったアッバス・キアロスタミ監督の大傑作『ク ローズ・アップ』を【the アートシアター】Vol.4 作品として、9 月 3 日(土)より渋谷ユーロスペースほ か、全国のアートハウスにて公開いたします。
W・ヘルツォーク監督が、「史上最も素晴らしい映画作りについてのドキュメンタリー」と激賞するなど、 世界中のシネアストたちからの絶賛を集めながらも、日本での上映機会が限られていた本作。昨年開催され た【連続講座「現代アートハウス入門」ネオクラシックをめぐる七夜 Vol.2】での 1 回限りの上映は即満席 となり、スクリーンで観たいとの声が多数上がるなか待望の劇場公開です。
【現代アートハウス入門】で本作のレクチャーを担当し、最新作『LOVE LIFE』(9/9 公開)が第 79 回ヴ ェネチア国際映画祭コンペティション部門に選出された深田晃司監督からコメントが届きました。さらに、 本公開に合わせて制作した新たなポスタービジュアルも解禁、大島渚監督作『戦場のメリークリスマス 4K 修復版』『愛のコリーダ 修復版』、ウォン・カーウァイ監督特集上映「WKW 4K」(8/19 公開)などの宣伝美術を手がけるグラフィックデザイナーの成瀬慧氏によるデザインです。
また、ユーロスペースでは上映期間中に、映画作家、研究者によるレクチャーも実施いたします。
J・L・ゴダールに、「映画はグリフィスに始まりキアロスタミで終わる」と言わしめたアッバス・キアロスタミ
『友だちのうちはどこ?』やカンヌでパルムドールを受賞した『桜桃の味』などで知られる巨匠アッバス・キアロスタミ。その美しく独創的なフィルモグラフィにおいてもひときわ異彩を放ち、いまなお数多くのシネアストを魔法のように魅了し続けている本作 『クローズ・アップ』。 ある男が映画監督のモフセン・マフマルバフになりすまし、裕福な一家を騙したという詐欺事件を知ったキアロスタミ監督は、すぐに裁判所を訪れ、その公判の模様をカメラに収めることに成功する。さらに、事件に至る過程を当事者たち自身に演じさせて再現することで、事の次第を明らかにしていく。ドキュメンタリーと再現、虚構と現実を精巧に織り上げていった果てに、ついに映画は詐欺容疑で逮捕された青年の心の奥に秘められた真実を探り当てる。
めくるめくサスペンスと不意打ちをくらわされたような衝撃的な感動。
時代を超えても色褪せない稀代の大傑作が、HDリマスター版でスクリーンに甦る!
■コメント■
奇跡。そうたやすく使うべきではないこの言葉を呟かざるをえない希少な機会の一つは
『クローズ・アップ』を前にしたときである。
人も空き缶も虚構も現実も何もかもがカメラの前で等価になる美しさと残酷さ。必見。
深田晃司(映画監督)
★初日特典★
[東京]ユーロスペースの初日9月3日(土)にご来場のお客様には本邦初公開時(1995年)予告篇35mmフィルムから作った「オリジナル栞」をプレゼント!
★レクチャー★
上映期間中、ユーロスペースでは山本久美子氏(東京外国語大学附属アジア・アフリカ言語文化研究所フェロー〈ペルシア文学・映画研究〉)、深田晃司氏(映画監督)らによるレクチャーを実施予定。
日時などは追って劇場ホームページなどでお知らせします。
【the アートシアターとは】
時代や国や地域を超え、私たちに迫り、生々しい手触りを遺す映画。the アートシアターでは、HD リ マスターにより鮮烈に甦り、今なお輝きを増す珠玉の作品をセレクト。時にその衝撃から人生までを も変えてしまう特別な映画体験をお届けするプロジェクトです。
《これまでの上映作品》
Vol.1 ビクトル・エリセ監督『ミツバチのささやき』『エル・スール』[2017 年 3 月開催]
Vol.2 ヴィターリー・カネフスキー監督『動くな、死ね、甦れ!』[2017 年 10 月開催]
Vol.3 ジャック・ドワイヨン監督『ポネット』[2020 年 6 月開催]
監督・脚本・編集:アッバス・キアロスタミ
撮影:アリ=レザ・ザリンダスト
出演:ホセイン・サブジアン、ハッサン・ファラーズマンド、アボルファズル・アーハンハー、メフ ルダード・アーハンハー、モフセン・マフマルバフ
1990 年|98 分|イラン|英題:CLOSE-UP
© 1990 Farabi Cinema
配給:ノーム/東風