写楽の浮世絵に隠された、美しくも儚い究極のラブミステリー『宮城野』。完成当初は独特の世界観と表現の斬新さに賛否両論があり、幻の作品とまで言われていました。その後、主演の一人・片岡愛之助のブレイクでジワジワと注目が高まり、また、江戸の伝統文化をギュッと凝縮した新感覚も評価され、現在、米・英国でも配信されるほどになっています。

このたび、その<インターナショナル版>が、ヘッドフォンで鑑賞する上映システムを取り入れた「シアターギルド代官山」で初上映されることになりました。

画像1: ©︎2008「宮城野」抱え主一同

©︎2008「宮城野」抱え主一同

今回の上映への思いについて、山﨑達璽監督にお話を伺いました。

「今あえて上映することには二つの意味があります。一つは、歌舞伎や浮世絵などの伝統文化を映像に表現した新感覚が受け入れられ始めたからです。そのまんま舞台のような場面は、当初は違和感をもたれたり、敬遠されたりしました。それが、コロナ禍の影響もあって、シネマ歌舞伎やゲキ×シネのような、舞台を映画館や配信で観る文化がすっかり定着。映像と舞台にあったエンタメのボーダーが軽やかに越えられる時代になったと感じます。これは、コロナ禍をきっかけに世界の文化のありようが大きく変わったと言っても過言ではありません。『宮城野』の世界観が受け入れられるようになったのはそういった背景があるのではと思っています。」

画像2: ©︎2008「宮城野」抱え主一同

©︎2008「宮城野」抱え主一同

「もう一つは、また別の側面です。映画を倍速にしたりスキップで観たりする時代と言われるようになりました。若者に限った話ではありません。時間に追われ、膨大なコンテンツに囲まれた現代人の多くにこの傾向があるのではないでしょうか。そういう風潮での中では、『宮城野』はまさに対極の存在です。展開はゆったりとしたリズムで、会話の間はたっぷり。描写に懇切丁寧な説明もなく、考えさせられるたり、問いかけられることは多い。パパッと早送りされるか、難解と怒られる、そんな映画に違いありません。こんなに加速度的に時代が変容する中、つい10年ちょっと前のリズム感や演出はもう受け入れられないのだろうか? と、頭を抱える日々です(笑) そんな時代に、そんな人たちに、あえてこの作品をぶつけてみたいと思います」

画像3: ©︎2008「宮城野」抱え主一同

©︎2008「宮城野」抱え主一同

全回、監督トークショー付き特別上映!

完成から14年が経ち、出演者の一人の樹木希林をはじめ、美術監督の池谷仙克<無常(70)陽炎座(81)さらば箱舟(82)>、編集の金子尚樹<風の谷のナウシカ(84)修羅の群れ(02)春との旅(09)>らが鬼籍に入ってしまいました。
今回の上映では、「追悼と感謝も込めてお話をしたい」との思いから、全回に監督のトークがあります。映画の裏側を監督から直接聞ける貴重な機会になります。

映画『宮城野<インターナショナル版>』予告編

画像: 映画『宮城野<インターナショナル版>』予告編 youtu.be

映画『宮城野<インターナショナル版>』予告編

youtu.be

作品情報

この愛は、本物か、ニセ物か。
ひとりの女の愛が、写楽を謎の存在たらしめた……
浮世絵に隠された、美しくも儚い、そして残酷な愛の物語
薄汚れた年増女郎の処刑が行われようとしている。
女の名は、宮城野。
罪名は、浮世絵師・東洲斎写楽殺し。
冷たい刃が女の喉にあてられた瞬間、女はその命を愛の証と捧げた男のことを想う。
写楽を手に掛けたのは、本当に宮城野なのか。
真実を知るのは、宮城野の罪を決定づけた、ただ一枚の、傑作役者絵。
その絵の名もまた、「宮城野」だった。

出演:毬谷友子 片岡愛之助 國村 隼 樹木希林 佐津川愛美

監督:山﨑達璽  
原作:矢代静一  
脚本:酒井雅秋  
音楽:野崎良太(Jazztronik)  

美術:池谷仙克  
撮影:瀬川 龍(J.S.C) 
編集:金子尚樹

製作・配給:「宮城野」抱え主一同

2008年/35mm/カラー/ヴィスタ/114分 PG-12

©︎2008「宮城野」抱え主一同

2022年7月20日(水)〜23日(土)代官山シアターギルドにて凱旋上映!

英語字幕上映
~ MIYAGINO (Two Portraits of MIYAGINO) International Version (with English subtitles) -Special showing in Tokyo with the director-

◼️Synopsis
In Edo-era Japan, an ukiyo-e artist languishes in his master's shadow. Creatively stifled, he finds consolation in the company of a prostitute and becomes entangled in a love triangle. A mystery emerges involving two portraits and the sudden disappearance of the artist Sharaku. Helmed by Cannes-selected director YAMAZAKI Tatsuji, the film employs kabuki-inspired sequences and stylized sets.
After receiving high praises in both UK and US, Miyagino returns home for its long-awaited showing in Tokyo. The director himself will invite guests with exclusive stories from behind the scenes.

International Version Trailer https://youtu.be/_aFE-8J9UOU

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