アカデミー賞3部門受賞の『ダラス・バイヤーズクラブ』、ヴァネッサ・パラディ主演の『カフェ・ド・フロール』他、数々の名作を世に送り出してきたジャン=マルク・ヴァレ監督。2021年12月、その生涯を終えた監督の『C.R.A.Z.Y.』を7月29日(金)より劇場公開。2005年の公開時には、カナダの映画賞を筆頭に38もの映画賞を獲得。Rotten Tomatoes100%を記録し続けている、のちのハリウッドでの活躍の礎となる監督のカナダ時代の代表作だ

画像1: © 2005 PRODUCTIONS ZAC INC.

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1960年、カナダ・ケベックに生まれ、成長に従い父親の理想の息子でいられなくなる主人公ザックと、「男らしくあれ」と事あるごとに口にする父親ジェルヴェの関係を中心に、ザックを「特別な子」だと信じる母、そして4人の兄弟との数十年に渡る日々が描かれる。シャルル・アズナヴール、デヴィッド・ボウイ、ローリング・ストーンズらの時代を彩る名曲が、登場人物の心情や空想、動揺や隠された思いまでをも我々に伝える本作。キーワードとなる音楽や、目を見張る演出についての一端が明かされたインタビューが到着した。

<ジャン=マルク・ヴァレ監督インタビュー>
※本国公開当時のインタビューです

画像: ジャン=マルク・ヴァレ監督

ジャン=マルク・ヴァレ監督

Q:『C.R.A.Z.Y.』は、ある家族の約30年にわたる喜びと悲しみ、そして何よりも、父親ジェルヴェが主人公ザックとの違いを受け入れることの難しさを描いた物語です。自伝的な要素もあるのでしょうか?

共同脚本家であるフランソワ・ブレの人生と、彼の父親、そして4人の兄弟とのエピソードにインスピレーションを受けました。内面的な宗教的葛藤や中流家庭の描写は、私自身の経験が反映されています。

Q:ちょっと変わった家族の物語なのでしょうか?

彼らは幸せを追い求めるふつうの家族です。映画は、1967年〜1968年、1974年〜1975年、1980年〜1981年の3つの主要なパートで構成され、数十年にわたって一家を追いかけます。演出においては、登場人物の狂気と詩情を極限まで突きつめてみたいと思いました。そういうわけで、彼らの物語は、不思議な力と霊性、空想が織りなす人間の魂についての寓話となったのです。

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Q:ボーリュー家には5人の息子がいますが、主人公のザックは突出していますね。

5人それぞれに魅力があります。ぽっちゃりしていても、瓶底メガネをかけていても、ボーリュー兄弟は、シャープで、クールで、セクシーです。ですが、特別な運命を背負っているのは、ザックと呼ばれているザッカリーです。母親は彼に、ヒーラーとしての特別な才能があると考えています。

Q:シャルル・アズナヴールの歌をことあるごとに歌う父ジェルヴェ、デヴィッド・ボウイに傾倒し、父のレコードを借りてDJを始める主人公ザック…。この一家はまさに、体の中に音楽があるようですね。

音楽は私が自分の映画にサインを加える手段の1つです。そこに特別な予算を準備し、編集室には200枚近いCDを持っていきました。私の父はラジオの番組編成の仕事をしていたんですよ。自分が好きな音楽を集めて、それを観客に聞いてもらうことに、大きな幸せを感じます。それはこの映画の登場人物たちが味わうのと同じ喜びです。音楽はこの家族全員を真に結びつけるものです。彼らの歴史は実は1枚のディスクに刻まれていて、それが歌であり彼らのアイデンティティでもあります。

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Q:『C.R.A.Z.Y.』には、観る人をびっくりさせるような演出がありますね。

ボーリュー家のイメージに似て、時には控えめで、時には爆発するような演出です。物語が前面に出てくるのを分かりやすく演出した場面と、ザックがふくらませた想像を見せる場面とのちょうどいいバランスを探りました。物語を豊かにするために、何でも試したいんです。このシナリオには、私が映画を深く探求できるような可能性がありました。映像や音楽、音声、編集で十分に遊ぶこと、スペクタクルを作り上げること。私は映画に心をつかまれ、驚かされ、混乱させられたり挑発されるのが好きなんです。夢を見て、笑い、泣き、2つのことを同時に味わいたい。リズムを乱したり、元に戻したり、速くしたりするのも好きです。

Q:そんな風に出来上がったこの映画を、どのように分類しますか?

そうですね。ファンキーでセクシー、慎ましく、おかしくて衝撃的で、魔法のようで、”クレイジー”な映画だと思います。

『C.R.A.Z.Y.』予告編

画像: 7/29(金)公開『C.R.A.Z.Y.』予告編 youtu.be

7/29(金)公開『C.R.A.Z.Y.』予告編

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【ストーリー】
1960年代の保守的な家庭で、5人兄弟の4男として育ったザック。「特別な子」と呼ばれた彼は、軍で働き音楽を愛する父親と過保護気味の母親、それぞれ文武に秀でた兄2人、問題だらけの次男を観察しながら幼少期を過ごす。やがて思春期に足を踏み入れる1970年代。ザックは同性に惹かれ始めた自らのアイデンティティと、男らしくあれという父親の価値観の間でもがくようになる。

監督:ジャン=マルク・ヴァレ『ダラス・バイヤーズクラブ』
出演: ミシェル・コテ、マルク=アンドレ・グロンダン、ダニエル・プルール

2005/カナダ/フランス語、英語/カラー/129分 映倫:PG12 後援:カナダ大使館、ケベック州政府在日事務所

原題:C.R.A.Z.Y. 
配給ファインフィルムズ   
© 2005 PRODUCTIONS ZAC INC.

7月29日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷他にてロードショー

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