主演サンドラ・ブロック、共演チャニング・テイタム、ダニエル・ラドクリフ、ブラッド・ピットとハリウッドが誇る豪華スター競演。予測不能!「謎解きアドベンチャー」大作 映画『ザ・ロストシティ』が公開中です。
「ザ・ロストシティ」
失われた都市で秘宝をさがすという内容からもわかるように、「インディ・ジョーンズ」シリーズにつながる冒険活劇であり、サンドラ・ブロック製作・主演らしくロマンティック・コメディの要素もたっぷり盛り込んだ作品である。
ブロックの演じるのはそのものずばりのロマンス小説家ロレッタ。ロマンス小説といえば、日本人の想像をはるかに超える人気を博すジャンルであり、原作者もスター並みに注目される。ハードカバー(分厚い)で、ダストジャケットにはたいていが肌をあらわにして筋肉美を披露する男と、彼に抱かれている美貌の女性が描かれている。情熱ほとばしるラブシーンといったところだ。宣伝プロモーションもインターネットのホームページ、ブログから著者本人が登場するサイン会、講演会、ブック・コンペティションまで、あの手この手で売り込みが図られる。
エピック・ファンタジー要素と考古学の知識を盛り込んだのが、ロレッタのアンジェラ・ラブモア・シリーズで、ヒロインを助けるアランとの愛と冒険がつづられている。アランのカバーモデルを務めるダッシュに対する女性ファンの熱狂はものすごく、原作者など眼中にないというありさま。エージェントに無理やり公開インタビューに連れ出され、肉体美を誇示するダッシュにうんざりして逃げ出すと、今度は怪しい男たちに拉致されて南洋の小島まで連れてこられる。
彼女をさらわせたのは、アビゲイル・フェアファックスというエキセントリックな大富豪。メディア帝国の後継者の座についた弟への対抗心から、失われた都市Dにある秘宝を探し出して、弟を見返してやろうと考え、考古学に造詣が深く、小説にも秘宝のことを盛り込んでいる彼女に秘宝の場所を特定させようというのだ。ダッシュはヨガと人質奪還に精通する元海軍特殊部隊員ジャック・トレーナーを雇い、小島へやってくる。
ジャックは経験に裏打ちされた発掘サイトへのみごとな潜入法、ガードとの死闘と、格好いいところをみせる。ジャックを演じるのはブラッド・ピットだから強いのは当たり前か。テイタム・チャニング扮する意欲はあるが多分に足手まといのダッシュとの対比が面白い。その直後に「えっ」という驚愕の出来事があるのだが、それは見てのお楽しみとしておこう。
ダッシュとロレッタは逃げ出し、ガードに追われて密林、峡谷、断崖絶壁へと入り込んでいく。小島の火山がまさに噴火直前という時間との競争もあり、バイクチェイス、格闘、銃撃とアクションもてんこ盛り。さらに脇の人物たちのどたばたで笑わせ、そりの合わなかったロレッタとダッシュのロマンスの花も咲くと娯楽映画らしい味付けがされた一編である。
「ハリー・ポッター」シリーズのダニエル・ラドクリフが一転して、誇大妄想の悪の権化のようなフェアファックスを楽しそうに演じているのが印象的だった。監督はアーロンとアダムのニー兄弟。ちなみにロマンス小説家を主人公にした作品には「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」(84)、「シー・デビル」(89)があり、特に前者はジャングルでの冒険が描かれているので、見比べるのも一興だろう。
北島明弘
長崎県佐世保市生まれ。大学ではジャーナリズムを専攻し、1974年から十五年間、映画雑誌「キネマ旬報」や映画書籍の編集に携わる。以後、さまざまな雑誌や書籍に執筆。
著書に「世界SF映画全史」(愛育社)、「世界ミステリー映画大全」(愛育社)、「アメリカ映画100年帝国」(近代映画社)、訳書に「フレッド・ジンネマン自伝」(キネマ旬報社)などがある。
映画『ザ・ロストシティ』予告
監督:アーロン・ニー&アダム・ニー
プロデューサー:ライザ・チェイシン、サンドラ・ブロック、セス・ゴードン
出演:サンドラ・ブロック、チャニング・テイタム、ダニエル・ラドクリフ、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ、ANDブラッド・ピット
配給:東和ピクチャーズ
全米公開:2022年3月25日予定
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