『十階のモスキート』(83年)『月はどっちに出ている』(93年)『血と骨』(04年)など、先鋭的な傑作・問題作を連打してきた崔洋一は、本年1月、がんを患っていることを公表した。
そして彼は、行方知らずの自身の本質を深掘りしてみたいという崔洋一らしい発想で、『松田優作・メモリアル・ライブ』『優作について私が知っている二、三の事柄』の劇場公開と併走し、一週間連続のトークイベントを決行することがわかった。
会場は、松田優作と崔洋一が深く関わった街・新宿にある老舗映画館、テアトル新宿。
気恥ずかしいほどに自意識過剰のエモーショナル……題して、「ラスト・ショー」。
今回上映する2本の作品は、いずれも崔にとって思い入れの深い作品だ。
彼は誰にも告げず、自らの病と相対するように、そして憑かれるように、時に重く、時に崔洋一らしい癖のあるジョークと共に、これらの作品と向かいあった。
上映作品は、
『松田優作・メモリアル・ライブ』は、松田優作の死の一年後に、水谷豊、原田芳雄、内田裕也、宇崎竜童、世良公則、シーナ&鮎川誠、桃井かおり等々彼の友人たちが開催した、伝説のライブを完全収録したもの。開催当時ライブを構成・演出した崔洋一が、親交深かった松田優作への思いをこめ、30年の月日を超えて再編集を施し、作品化したものだ。
そして、
『優作について私が知っている二、三の事柄』は、崔洋一が新たに制作したドキュメンタリー作品。水谷豊、桃井かおりをはじめ、かつてライブを表で、陰で支えた者たちに新規にインタビューを敢行。映画監督・崔洋一が、松田優作という存在自体に鋭く迫る、渾身のドキュメンタリーだ。
本上映企画では、崔洋一が一週間毎日登壇し、自身と過ぎ去った時代を振り返り、各日テーマを変えてトークイベントを敢行する。
崔と共に時代を疾走してきた者たち、そして、現代そのものを象徴するゲストの招聘も企画中で、詳細が決定次第、公式サイトにて発表される。
伝説のライブと魂の「ラスト・ショー」、この一週間を見逃すな!
【崔洋一】
1949年長野県生まれ。大島渚監督等の助監督を務め、78年に松田優作主演の『最も危険な遊戯』のチーフ助監督を担当する。83年にベネチア国際映画祭に出品された『十階のモスキート』で劇場映画監督デビューを飾る。以後、84年、『いつか誰かが殺される』など一連の角川映画を監督したほか、数々のテレビ映画を手掛け実力を開花させていく。93年、『月はどっちに出ている』で53にわたる映画賞を総なめにし、一躍脚光を浴びる。98年、ロカルノ映画祭国際シネクラブ賞を受賞した『豚の報い』、02年、ブルーリボン賞などを受賞した『刑務所の中』、04年、日本アカデミー賞最優秀監督賞など数々の受賞を果たした『血と骨』と、立て続けに話題作・意欲作を世に問い、高い評価を得ている。松田優作がイメージ・キャラクターをつとめた『焼酎貴族トライアングル』のTV CMの演出も担当。このCMは斬新・洒脱な映像センスで一世を風靡した。
崔洋一監督トークイベント「ラスト・ショー」
開催日 2022年4月15日(金)~4月21日(木)
「優作について私が知っている二、三の事柄」上映(52分)
「松田優作・メモリアル・ライブ」上映(116分)
会場 テアトル新宿 https://ttcg.jp/theatre_shinjuku/
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