3 月 5 日(土)よりポレポレ東中野にて公開される舩橋淳監督『ある職場』の特別イベントが決まりました。加えて各界の識者よりコメントも到着しました。
『ある職場』は、実在したセクシャル・ハラスメント事件に基づき、その後日談として創作されたフィクション。本作で描かれているセク シャル・ハラスメント、そして、どこにでもある職場の風景は、同調圧力の空気が蔓延する日本社会の縮図とも言えるでしょう。
この度、本作の鑑賞と共に、それらの問題について、ゲストをお呼びして徹底的に語り合う特別イベント「ある職場とジェンダー不 平等を巡って」が開催されます。
ゲストは、長年、労働問題や人権問題に関わり続けてきた清龍美和子弁護士、東京新聞の記者として、伊藤詩織さんのセクシャル・ハラスメント問題の取材を続ける望月衣塑子さん。長年、男性主導のメディア業界でアナウンサーを務めた大橋未歩さんら3名が、女性の視点から、この日本社会がどのような困難を抱えているのか、多角的な論点から、本作監督の舩橋淳と共に語り合います。
3月6日(日)「セクハラと日本社会 〜労働環境と法整備〜」
登壇者:青龍美和子(弁護士)、舩橋淳監督
3月 12 日(土)「ジェンダー不平等と性暴力」
登壇者:望月衣塑子(ジャーナリスト)、舩橋淳監督
3月 13 日(日)「メディアと男性社会」
登壇者:大橋未歩(フリーアナウンサー)、舩橋淳監督
全日、15:00『ある職場』上映開始、17:15 よりトーク開始(40 分)
料金:特別料金 2,200 円均一(映画料金込み)
各界の識者よりコメントも到着!
作家の桐野夏生さんは、**「セクハラという言葉の中に、屈辱や孤独や偏見や差別や無知がいっぱい詰まっている。すべての人が絶対に見るべき映画。」++と語り、トークにも登壇する望月衣塑子さ んは、「ハラスメント事件の多くは、被害者は声も上げられず、事件として扱われることもない。周囲の「無関心」とともに葬られてしまう。このままでいいのか。」と、日本社会への憤りと共に本作を評価しています。
その他、映画評論家の蓮實重彦さん、映画監督の諏訪敦彦さん、西川美和さん、ミュージシャンの後藤正文さん、ジャーナリストの堀潤さんら多くの方より真摯かつ切実なコメントが届きました。
各界からのコメント
ハラスメント事件の多くは、被害者は声も上げられず、事件として扱われることもない。
周囲の「無関心」とともに葬られてしまう。このままでいいのか。
映画は、真正面からこんな疑問をつきつける。
望月衣塑子(ジャーナリスト)
ドキュメンタリーかと思ったほど、迫真のリアリティに戦慄した。
セクハラという言葉の中に、屈辱や孤独や偏見や差別や無知がいっぱい詰まっている。
すべての人が絶対に見るべき映画。
桐野夏生 (小説家)
やはりモノクロームは落ちつくといった漠たる郷愁を超えたところで、
この黒白画面には映画の現在に触れる迫力が漲っている。必見である。
蓮實重彦(映画評論家)
これが日本の共同体の活写なのかもしれない。
仲間が大事だ、信じることだ、僕が、私が守る、と取り憑かれたように繰り返される言葉の上滑りは、目を覆いたくなる。そんな少年漫画的な団結のイデオロギーに飲み込まれて、誰も本音や苦痛を言い出せず、船ごと沈んで行くのは、この国の共同体のお家芸だろう。こんな職場はいやだ。こんな職場がほとんどなのか? 私の職場も? 嘘でしょう? ものすごく嫌な汗が出る。
西川美和(映画監督)
それぞれのキャストの台詞に、いくらかの違和や嫌悪を抱いて身も心も軋みました。
それは現在進行形で、僕たちの社会の至る所で、誰かが感じている痛みの切れ端なのだと思います。より良い社会にするためには、自分もその変化の一部でなければならないと、映画を見て改めて決意しました。
後藤正文(ミュージシャン)
これは「ある職場」のリアルな再現ではない。これは映画という実験室なのである。
「皆殺しの天使」のように、閉じられた部屋を出ることができない私たちは、俳優とともにこの耐え難い物語を、つまり私たちの現実を生きる。辛くとも、そこに世界との絆がある。
諏訪敦彦(映画監督)
見ていられない、そう思って映像から目を背けたくなった。理由は明白だ。そこには自分が立っていたからだ。「些細なこと」だと思いこまされ沈黙もした。空気に加担し、空気にのまれた。もう「ある職場」を繰り返してはいけない。だから僕はこの作品を何度でも見返す。
堀 潤(ジャーナリスト)
楽しい社員慰安旅行がどんどん日本社会の暗部の縮図と化してゆく。
この切実な怖さは映画でしか表現できないだろう。
山根貞男(映画評論家)
日本の組織に宿る狂気を描いた「コメディ」だと信じたいけれど、これは私の周りにもあるリアルだ。「私」がどんな言葉で、仕草で、他人と接し、関係性を作っていくのか、鋭く突きつけられる。
日向史有(ドキュメンタリー監督)
FUNAHASHI は最もリアリスティックな形で、#MeToo 運動が日本には到達していないことを示してしまった。
パノス・コザタナシス(映画評論家、Asian Movie Pulse 誌)
あまりのリアリティに胸を抉られる思いでした。
個人の痛みよりも組織の表面的な調和を最優先してしまう
事なかれ主義集団の生あたたかいノリの気持ち悪さ、不気味さを、
ここまでリアルに表現できるのかと感動しました。
大橋未歩(フリーアナウンサー)
(敬称略・順不同)
平日は特別イベントとは別に上映後トークも予定。そこでは、コメントも頂いた諏訪敦彦さん、西川美和さん、そして、ジャーナリストの津田大介さんらも登壇予定。
★上映後トークイベント ※映画料金のみ(一般1,800円)でご参加可能
3月5日(土)初日舞台挨拶 登壇者:平井早紀、伊藤恵、山中隆史、田口善央、満園雄太、辻井拓、藤村修アルーノル、万徳寺あんり、中澤梓佐、吉 川みこと、羽田真、舩橋淳監督
3 月 7 日(月) 登壇者:西川美和(映画監督)、舩橋淳監督
3月 10 日(木)登壇者:津田大介(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)、舩橋淳監督
3月 15 日(火)登壇者:諏訪敦彦(映画監督)、舩橋淳監督
3月 17 日(木)登壇者:舩橋淳監督 Q&A
場所:ポレポレ東中野 上映時間:3/515:00|3/7、10、15、17連日19:20より
※各上映日前日よりインターネットと窓口で指定席券を発売 https://pole2.co.jp/
映画『ある職場』予告
ストーリー
ホテルチェーンでフロントに務める大庭早紀は、上司に密室でセクシャル・ハラスメントを受けた。事件は瞬く間 にホテルの内外に知れ渡り、SNS 上でも誹謗中傷を浴びて炎上する事態に発展する。職場の暗い雰囲気を変えようと、ホテル の同僚スタッフたちは大庭を誘い、湘南の海辺にある社員用保養所へ2泊3日の小旅行を企画した。しかし、旅行先でも大庭は スマホに張り付きネットをひたすらチェックしている。そんな大庭を励まそうとする同僚たちだったが、ある時 SNS 上でバッ シングをしているアカウントが、職場の同僚である可能性が浮かび上がる。それはこの中の一人なのか。疑心暗鬼になる彼らは 互いに腹を探り合い、相互不信に陥っていくのだが...。
監督、撮影、録音、脚本、編集:舩橋淳
出演:平井早紀、伊藤恵、山中隆史、田口善央、満園雄太、辻井拓、藤村修アルーノル、木村成志、野村一瑛、万徳寺あんり、 中澤梓佐、吉川みこと、羽田真
2020年/135分/カラー&モノクロ/16:9/DCP
ワールドセールス:ARTicle Films 植山英美
配給・宣伝:株式会社タイムフライズ
© 2020 TIMEFLIES Inc.