1月15日からユーロスペース公開から、SNSでも多くの反響を呼び、その独自の世界観からリピーターも続出。劇場での再々延長が続いた宇賀那健一監督『異物-完全版-』。

この度、代官山シアター・ギルドにて全国公開に向かってますます勢いがついた、『異物-完全版-』を中心に、新作短編のシークレット上映やコメンタリー上映、また新作長編のシークレット上映など4日間にわたる「宇賀那監督不条理新作祭り」が急遽開催されることとなりました。
発売と同時に完売の回もすでに出ていて、盛り上がりをみせている今回のイベントを前に宇賀那監督の、現在の心境をシネフィルはお聞きしました。

画像: 『異物-完全版-』ポスタービジュアル

『異物-完全版-』ポスタービジュアル

宇賀那健一監督への質問

映画監督になったきっかけ

元々俳優部として映画に携わっていたのですが、アップリンク渋谷で平野勝之監督の『人間らっこ対かっぱ』という映画を観て衝撃を受けて、僕も映画を作ってみたいと強く思い、『着信アリfinal』という映画で共演したメンバーで見よう見まねで映画を作りはじめたのがきっかけです。

影響を受けたもの(映画以外でも構いません)

僕は幼稚園の頃ずっと登園拒否をしていて、することといったら親の買い物に付き合うくらいでした。で、買い物に付き合うと好きなVHSを一本借りてくれたんです。僕は『アンパンマン』とかを借りていたんですが、うちの母親はスプラッターが大好きで。お腹を空いた人に自らの顔をあげるアニメを観た一時間後に、顔がバンバン吹っ飛ぶ映画を観せられる日々を送っていました笑 だから、スプラッター映画には多大な影響を受けています。

画像: 宇賀那健一監督

宇賀那健一監督

『黒い暴動♡』『サラバ静寂』『魔法少年☆ワイルドバージン』など、それぞれの作品の登場人物や世界観が独特だと思うんですが、どのようにその世界を考えていくのでしょうか?

自分ではそれほど独特だとは思ってないんです。ただ、影響を受けた作品は映画に限らず多いので、それらが入り混じって独特の世界になっているのかもしれません。

『異物-完全版-』は、モノクロそして、ちょっと不思議な世界観で作品を作られていますが、どうしてこのような作品を作られようと思ったんですか?

画像: 『異物-完全版-』場面写真

『異物-完全版-』場面写真

どう言葉にしていいのか難しいのですが、実際の世界の目に見える物事から逸脱したほうが、実際の世界に起こっている物事の本質が捉えられることってあると思うのです。本作はそう思って、モノクロや派手な衣装を当てはめました。ただ、個人的にはこれが不思議な世界観だとは思っていないです。

海外の映画祭に多く出品され受賞なさっていますが、海外では日本と違う反応なんでしょうか?

画像: 数々の海外受賞を重ねた『異物-完全版-』

数々の海外受賞を重ねた『異物-完全版-』

映画祭をまわっているときは、海外の方が日本より深く考察してくれているなとか、シンプルに笑ってくれているなと思っていたのですが、いざ日本で上映が始まるとそれほど変わらないような気もしています。ただ、その一方で「移民」などのその国独自の問題と結びつけて語ってくださったり、逆に葛飾北斎など日本独自の文脈と絡めた考察が出てくるのは日本より海外の方が多いと思います。

新作ホラーコメディ『往訪』について

画像: 『往訪』ポスタービジュアル

『往訪』ポスタービジュアル

『異物-完全版-』が終わった後、僕がどこに向かいたいのかということが一番如実に表れている作品でもありますし、大好きなホラーコメディと真正面から向き合った作品でもあります。音も素晴らしい仕上がりなのでシアターギルドのヘッドフォン上映というシステムにもピッタリだと思います。何も考えずに観て、ゲラゲラ笑ってほしいです。

画像: 『往訪』イメージビジュアル

『往訪』イメージビジュアル

シークレット上映される短編について、今言える範囲で

『転がるビー玉』以来のカエルムさんと再びタッグを組んだ作品で、個人的には『異物-完全版-』くらいからアクションで語る映画ということに拘っていたのですが、会話劇に挑戦しました。初めてほっこりするような作品を撮った気もするんですが…ほっこりしてもらえるかな?笑 幅広い客層の方に楽しんでもらえたら嬉しいです。

シークレット上映される長編について、今言える範囲で

2020年の3月に撮影していた作品で、実は『異物-完全版-』も含めた今回の作品群の中で一番前に撮影していた作品で、今見返すとひたすら僕の怒りが充満してます。とは言っても初めて脚本には僕が参加していない作品でもあるんですが。重たい作品ではありますが、何かを感じ取ってもらえたら嬉しいです。

小出薫さんとのコメンタリー上映について

『異物-完全版-』はとにかくスタッフもキャストもずっとゲラゲラ笑いながら撮影をしていたので、オーディオコメンタリーも楽しんでもらえるんじゃないかなと思っています。キャストとの裏話や音の拘りについても色々話せたらなと。もう作品をご覧になった方は勿論、まだご覧になってない方にも楽しんでもらえるような話が出来たらと思ってますので、気軽にお越しいただけたら嬉しいです。現状、映画館での上映に拘りたいと思っていて、DVDにする予定はないので、もしかしたら本作のオーディオコメンタリーを聞く機会自体これが最初で最後かもしれません。あと、本作の非売品ポスターもプレゼント致します。

画像: 左より宇賀那監督と小出薫さん

左より宇賀那監督と小出薫さん

今後の予定、抱負をお聞かせください。

有難いことに、暫く撮影も新作の公開も続いていきます。どの作品も、心血を注いでバカバカしいことに挑戦していますので、楽しみにしておいてもらえたら嬉しいです。

今回の「宇賀那監督不条理新作祭り」にいらっしゃる方に寄せて

こんなご時世の中、沢山の方がチケットを予約して下さって完売の日が続出していること、本当に嬉しいです。感染症対策万全で“あいつ”と共にお待ちしております。

宇賀那健一監督

画像: 『異物-完全版-』のヒット記念で新たな新作&コメンタリー上映などを含む「宇賀那監督不条理新作祭り」緊急開催-宇賀那健一監督に聞く!

監督プロフィール
1984年4月20日、東京都出身。青山学院経営学部経営学科卒業。
ブレス・チャベス所属の映画監督/脚本家/俳優。初監督した『発狂』がアメリカを中心とした数々の海外映画祭に入選。第21回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭では宇賀那健一監督特集上映が行われた。近年ではガングロギャルムービー『黒い暴動♡』が2016年に、娯楽が禁止された世界を描いた『サラバ静寂』が2018年、30歳を超えた童貞が魔法使いになるラブコメファンタジー『魔法少年☆ワイルドバージン』が2019年、NYLON JAPAN15周年記念映画『転がるビー玉』が2020年に公開した。『魔法少年☆ワイルドバージン』は世界三大ファンタスティック映画祭の一つである第38回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭に入選した。
新作映画が多数公開待機中。

宇賀那監督 不条理新作祭り

2月15日(火)『異物-完全版-』上映 +『往訪-シアターギルドエディション-』
トークゲスト:詩歩さん×平井早紀さん×板橋春樹さん×遠藤隆太さん×宇賀那監督

2月16日(水)『異物-完全版-』上映 +シークレット新作短編-シアターギルドエディション-
トークゲスト:兵頭功海×関本巧文×宇賀那監督

2月18日(金)シークレット 新作長編 -シアターギルドエディション-
トークゲスト:安部一希さん×はぎの一さん×三溝浩二さん×石原理衣×宇賀那監督

2月19日(土) 『異物-完全版-』プレゼント付き 初コメンタリー上映!
初!小出薫さん×宇賀那監督によるコメンタリー上映!
来場者全員に『異物-完全版-』の非売品ポスタープレゼント !

上映作品

『異物-完全版-』

『黒い暴動♥️』『サラバ静寂』『魔法少年☆ワイルドバージン』『転がるビー玉』などで若者の心の叫びを描いてきた宇賀那健一監督の最新劇場公開作。トリノ映画祭、モントリオール・ヌーヴォー・シネマ映画祭、エトランジェ映画祭など世界20ヵ国70以上の映画祭及び映画賞で入選、11のグランプリを不条理コメディ。
監督:宇賀那 健一
出演者:小出 薫、田中 俊介、石田 桃香、吉村 界人、田中 真琴、宮崎 秋人、ダンカン、高梨 瑞樹、田辺 桃子
製作年:2020年 尺:61分

『往訪-シアターギルドエディション-』

ポルト国際映画祭、スラムダンス映画祭、リーズ国際映画祭、タンペレ映画祭など20以上の映画祭で上映され、3つのグランプリに輝く宇賀那監督によるホラーコメディがシアターギルドエディションとしてついに日本初上陸。

監督:宇賀那健一
出演者:詩歩、平井早紀、板橋春樹、遠藤隆太
製作年:2021年  尺:16分

その他、当日情報が開示されるシークレット長編作品、シークレット短編作品上映。

2 月 15、16、18、19 日シアターギルド にて緊急開催

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