現代の私たちからみた<奇想>をテーマに、16世紀の歴史的なファッションプレートからコンテンポラリーアートに至るまでを、幅広く展覧した「奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム」が、東京・白金台の東京都庭園美術館で開催中です。

20世紀最大の芸術運動であるシュルレアリスムは芸術の枠を超えて、人々の意識の深層にまで影響力を及ぼしました。ファッション・デザイナーやクリエイター達はシュルレアリスムの理念を作品に取り込み、一方でシュルレアリストたちは帽子や靴、手袋といったファッションアイテムを霊感の源として、絵画や写真、オブジェといった作品のなかに生かしました。

本展の見どころが4つ挙げられています。
◎自由で斬新な個性が遺憾なく発揮されたシュルレアリストたちの傑作の数々
◎“奇想”をテーマに古今東西の作品が集結 ――纏足やコルセット、 花魁の装いからコンテンポラリーアートまで
◎シュルレアリストの感性を持ち合わせた ファッション・デザイナーたちの紹介
◎モードと宮邸の展示空間が交わることで起きる化学反応

展覧会は9章構成となっており、第1章の「有機物の偏愛」では、有機物(動植物)を素材やモチーフに取り入れた衣装や装飾品が展示されています。

画像: 第1章展示風景 中央:サルヴァドール・ダリ 《抽き出しのあるミロのヴィーナス》(1936~64年)、右手奥:ヤン・ファーブル 《甲冑(カラー)》(1996-2002年) photo©️saitomoichi

第1章展示風景 中央:サルヴァドール・ダリ 《抽き出しのあるミロのヴィーナス》(1936~64年)、右手奥:ヤン・ファーブル 《甲冑(カラー)》(1996-2002年)
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第2章の「歴史にみる奇想のモード」では、限りなく細いウエストへの憧憬から生まれたコルセットや、足が小さいことを理想とした中国の纏足などが展示されています。

画像: 第2章展示風景 コルセット(1880年頃) photo©️saitomoichi

第2章展示風景 コルセット(1880年頃)
photo©️saitomoichi

画像: 第2章展示風景 纏足鞋(19世紀末〜20世紀初頭) photo©️saitomoichi

第2章展示風景 纏足鞋(19世紀末〜20世紀初頭)
photo©️saitomoichi

第3章の「髪(ヘアー)へと向かう、狂気の愛」では、人体の一部の髪をジュエリーに組み込んだものや、マルタン・マルジェラによる頭髪のプリントドレスなどで、素材としてと髪を扱う様子を展示しています。

画像: 第3章展示風景 マルタン・マルジェラ 《ドレス》(2004年秋冬) photo©️saitomoichi

第3章展示風景 マルタン・マルジェラ 《ドレス》(2004年秋冬)
photo©️saitomoichi

 第4章は「エルザ・スキャパレッリ」。シュルレアリストたちと親交のあったエルザ・スキャパレッリが、シュル レアリスムの潮流のなかで示された特異な感覚をモードの世界に積極的に取り込んだ作品を展示しています。

画像: 第4章展示風景 エルザ・スキャパレッリ 左:《イヴニング・ケープ》(1937年)、中央:《イヴニング・ドレス》(1952年頃)、右:《イヴニング・ドレス》(1935年夏)、中央下:《イヴニング・ケープ》(1938年) photo©️saitomoichi

第4章展示風景 エルザ・スキャパレッリ 左:《イヴニング・ケープ》(1937年)、中央:《イヴニング・ドレス》(1952年頃)、右:《イヴニング・ドレス》(1935年夏)、中央下:《イヴニング・ケープ》(1938年)
photo©️saitomoichi

画像: 第4章展示風景 エルザ・スキャパレッリ 香水瓶「Shocking」(1937年) photo©️saitomoichi

第4章展示風景 エルザ・スキャパレッリ 香水瓶「Shocking」(1937年)
photo©️saitomoichi

第6章の「シュルレアリスムとモード」では、「裁縫とシュルレアリスム」・「分断化される身体」・「物言わぬマネキンたち」という項目でシュルレアリスム運動とモードの関係と共鳴する様子が展示されています。

画像: 第6章展示風景 表紙 アドルフ・ムーロン・カッサンドル 『ハーバパス・バザー』1938年10月号表紙 photo©️saitomoichi

第6章展示風景 表紙 アドルフ・ムーロン・カッサンドル 『ハーバパス・バザー』1938年10月号表紙
photo©️saitomoichi

画像: 第6章展示風景 ハリー・ゴードン 《ポスター・ドレス》(1968年頃) photo©️saitomoichi

第6章展示風景 ハリー・ゴードン 《ポスター・ドレス》(1968年頃)
photo©️saitomoichi

第7章の「裏と表─発想は覆す」ではマルセル・デュシャンなどの作品とともに、同じくコンセプチュアルなマルタン・マルジェラの服や熊谷登喜夫の靴などを展示しています。

画像: 第7章展示風景 マルタン・マルジェラ 《ジャケット》(1997年春夏) photo©️saitomoichi

第7章展示風景 マルタン・マルジェラ 《ジャケット》(1997年春夏)
photo©️saitomoichi

第8章の「和の奇想─帯留と花魁の装い」では、和装における「奇想」の系譜を紹介しています。

画像: 第8章展示風景 花魁を描いた浮世絵 photo©️saitomoichi

第8章展示風景 花魁を描いた浮世絵
photo©️saitomoichi

第9章「ハイブリッドとモード─インスピレーションの奇想」は、現在活躍してるアーティスト達による新館での展示です。花魁の高下駄からインスピレーションを受け「ヒールレスシューズ」を制作する舘鼻則孝の作品群が目を引きます。さらに動植物をモチーフとした串野真也の靴達や永澤陽一による実物の馬毛によるジョッパーズパンツ、そして蚕の遺伝子を組み換え、発光する糸を使ったANOTHER FARMのドレスなどが展示され、現代に繋がる「奇想」を体感できるものとなっています。

画像: 第9章展示風景 舘鼻則孝 《ヒールレスシューズ》と《ベビーヒールレスシューズ》(2021年) photo©️saitomoichi

第9章展示風景 舘鼻則孝 《ヒールレスシューズ》と《ベビーヒールレスシューズ》(2021年)
photo©️saitomoichi

画像: 第9章展示風景 舘鼻則孝 左:《太郎へのオマージュ:呪力の美学 #2》、中央:《太郎へのオマージュ:ヒールレスシューズ/太陽の靴 #2》、右:《太郎へのオマージュ:呪力の美学 #1》(すべて2016年) photo©️saitomoichi

第9章展示風景 舘鼻則孝 左:《太郎へのオマージュ:呪力の美学 #2》、中央:《太郎へのオマージュ:ヒールレスシューズ/太陽の靴 #2》、右:《太郎へのオマージュ:呪力の美学 #1》(すべて2016年)
photo©️saitomoichi

画像: 第9章展示風景 串野真也 《Sphinx of the forest》(2017年) photo©️saitomoichi

第9章展示風景 串野真也 《Sphinx of the forest》(2017年)
photo©️saitomoichi

画像: 第9章展示風景 永澤陽一ジョッパーズパンツ《恐れと狂気》(2008年) photo©️saitomoichi

第9章展示風景 永澤陽一ジョッパーズパンツ《恐れと狂気》(2008年)
photo©️saitomoichi

画像: 第9章展示風景 ANOTHER FARM《Modified Paradice》(2018年) photo©️saitomoichi

第9章展示風景 ANOTHER FARM《Modified Paradice》(2018年)
photo©️saitomoichi

モードから現代美術まで幅広いジャンルで「奇想」の流れを辿り、それを宮邸のアール・デコの空間で体感するという贅沢な時間をぜひ、楽しんでください。

展覧会概要

会期:開催中〜2022年4月10日(日)
会場:東京都庭園美術館(本館+新館)
住所:〒108-0071 東京都港区白金台5-21-9
時間:10:00–18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:毎週月曜日 *ただし3月21日は開館、3月22日(火)は休館
観覧料:一般 1,400円、大学生(専修・各種専門学校含む): 1,120円、中学生・高校生:700円、65歳以上 700円
※事前予約制
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式URL:https://www.teien-art-museum.ne.jp/

cinefil 読者チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム」プレゼント係宛てにメールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効のこの招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス  miramiru.next@gmail.com
*応募締め切りは2022年2月27日 24:00 日曜日

記載内容
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