工藤将亮長編二作目、映画「未曾有」が第25回エストニア/タリン・ブラックナイト映画祭「Rebels with A Cause」コンペティション部門にてワールドプレミアが決定。
同時に第22回TAMA NEW WAVEにて国内プレミアが決定いたしました。
長編映画「アイム・クレイジー」で商業デビューを果たし世界から注目される工藤将亮監督、待望の長編第二作目、実験的アプローチで完成した映画「未曾有」(英題:Unprecedented)がエストニアの第25回タリン・ブラックナイト映画祭(Tallinn Black Nights Film Festival)にて前衛的な作品を集めたコンペティション「Rebels with A Cause」部門にてワールドプレミアが決定した。同じく今年第22回目を迎えるTAMA NEW WAVEにて国内プレミアが決定した。本作は本来撮影予定であった、工藤将亮監督の沖縄長編映画企画がコロナ禍の影響で制作が困難となった中で、同じ様に職を失ったスタッフ、そして役者をリモートオーディションで決定させた。本作の着想から工藤監督の想いに賛同した役者、スタッフメンバーが集まり構想から1ヶ月で撮影を終えた。制作作業は、撮影以外は全てリモートで行い、最小人数のスタッフで撮影に挑んだ。コロナ禍の中の日本の状況に反応して作った本作は、2020年5月初めて直面する緊急事態宣言中の当時の様子を生々しく映し出す、意欲作であり、当時の様子を思い出す貴重な記録映像ともなっている。実験的な要素が多く詰まった本作は、タリン・ブラックナイト映画祭の中でも前衛的な作品のみを集める部門で賞を争う。2021年11月19日にエストニア現地でワールドプレミア、その後、TAMA NEW WAVEにて国内プレミアを迎える。
・工藤将亮監督コメント
昨年4月に緊急事態宣言が発令され、準備、制作していた映画が中断を余儀なくされた。先の予定も立たず、これから何をして良いか、どう生きていけばまったくわからなくなってしまった。
そんな中、知人の俳優が生活の為バイトで生計を立てていたが「君たちみたいなのがいるからコロナが広がる。今は自粛と我慢が大事だ」と有名な監督に言われ呆然としていた。
彼らに俳優として仕事をさせるのが自分のモチベーションになり、完成した作品が映画「未曾有」である。
・プロデューサー キタガワユウキコメント
本作は、監督の工藤将亮と私が進めていた沖縄長編映画企画がコロナ禍で延期になってしまった期間に制作した作品になります。本作の物語の舞台は、2020年5月の東京。
緊急事態宣言中の人々は、充分な社会保障を受けることもできず、強制ではない休業要請という形をとっていました。その中で、生きていくことさえ困難になってしまった人たちがいました。私たちの映画チームもそうでした。インターネットを通じて俳優募集を行い、リモートでオーディション。それに合格したメンバーたちで撮影に入り本作を制作いたしました。本作は人類が初めて直撃する姿の一部です。隠すより現れる未曾有の現実の一部です。
コロナ禍を通してあらわになった、個人個人の問題の一部を映画を通して共有していけることがこの映画の見所です。
一人でも多くの方に作品が届くことを祈っています。
髙橋雄祐コメント
未曾有の事態に遭遇した人々はどのように生活が変化し、どこに向かうのか。見えない毒巣がどこかに存在するのだろうか、いや自分もそれをつくりだしている一因だろうかと、この作品に正面から向き合い考え続けました。
完成を観たときはこの世界が自分事か他人事か着地したくてもできず、そんな渦中の人々を冷静でありながらも鋭くとらえていて「未曾有」らしい映画だと感じました。撮影現場では毎日発見と刺激に溢れていていました。
工藤監督をはじめ素敵なスタッフやキャストと作品をつくれたこと、これから多くの方々にお届けできる機会をいただけたことに喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。どうぞよろしくお願い致します。
栗田学武コメント
「命があることが当たり前ではないこと」
表面上では理解はできているつもりでしたが、実感することはできていなかったんだと思いました。
コロナ禍で人類にとって未曾有の出来事が起こり、見えない大きな影に追われる感覚を覚えました。
2020年4月に発令された緊急事態宣言。
その時期のことを映画を通して記録に残せたことに大きな意義と感謝を感じ、工藤監督が灯してくれた明かりに未来を感じました。
あの時に作品を作ると行動を起こしてくれた、監督、スタッフの皆様、キャストの皆様に感謝申し上げます。
そしてあの時期に意義のある仕事を与えてもらえたことに感謝しています。
個人的にも初めて経験できたことが多かった成長できる撮影現場でした。
小倉綾乃コメント
オーディションで、監督から"この状況をどう感じているか"という質問を受け、私は「目に見えないコロナウイルスよりも、あっという間に変わってしまった環境や人が怖いです。」と答えたのを覚えています。
当時の私は、一人暮らしの家に引きこもって、何をする気にもなれず、よく泣いていました。
知り合いの表現者が自殺をして、私は羨ましいとすら思っていたそんな時でした。
「やるか、サクラ役」
深夜に監督からメッセージが来て、それからクランクアップまで、ずっとサクラのことばかりを考えて、久しぶりに生きた心地でした。
実際にTwitterで募集をかけて、こっそり取材がてらおじさんとお茶をしたら、「言ってよ!カメラ回したのに!」とちょっぴり怒られたのもいい思い出(笑)
芝居経験の少ない私を、自由にサクラと向き合わせてくれたこの組に感謝しています。
あの時、サクラとして生きたことは、これからの私に沢山の影響を与えてくれると思っています。
『未曾有』と出会えたおかげで、今も私はこの世界に存在しているのです。
辻千恵 コメント
タリン・ブラックナイト映画祭への出品おめでとうございます。
タイトル通り、だれも予期せぬ事態の最中この作品に参加させていただきました。
前が見えないときでも見ようとし続けると見えてくる大切なものがある。
もう今は最低限の「大切」をどれだけ大切にできるか。それに尽きる。いままで、これからの生き方を考えるきっかけになった作品に出会えたことを大変嬉しく思います。
世界中のみなさまに届きますように願っております。
映画『未曾有』(海外版ティザー映像)
コロナ禍の下、緊急事態宣言が敷かれた東京の街で、
未曾有の事態に戸惑う若者達の群像劇。
人気が減った都会の中、車を走らせるマナブとルー。ルーは金を稼ぐために素人AVの撮影を行う事をマナブに打ち明ける。ルーはマナブから借りたビデオカメラ持って、撮影相手であるサクラと合流する。ルーはサクラと身の上話をしながら撮影を試みるが...マナブと同棲しているユウカは(インスタグラマーだ。)SNSでファンと交流し、自宅待機(STAYHOME)を日々呼びかけている。
ユウカは外出を続けるマナブに不満を隠せない。マナブはユウカに秘密でとある中年男性と密会を続けていた。久乃(ひさの)はルイと結婚している。ルイの会社は、大手飲食店のオーナーであるが、コロナ禍で自粛を強いられ、二人は会話の無い夫婦生活を送っている。ストレスを送る毎日を過ごす、久乃は人気インフルエンサーで若手実業家の先輩であるダイキの部屋に呼び出されるが…それぞれの人生が交錯する。そこに待ち受ける、彼らの運命とは?隠すより現る、未曾有の現実。
STAFF
監督・脚本・編集 工藤将亮
プロデューサー キタガワユウキ
アソシエイトプロデューサー 鈴木茉美
撮影 大内泰
サウンドデザイナー 伊藤裕規
美術 小林蘭
装飾 龍田哲児
音楽 鈴木光男
海外トレイラー 藤元明緒
ポスターデザイン 小倉美緒
スチール 木村健太郎
CAST
髙橋雄祐
栗田学武
小倉綾乃
辻千恵
桜木梨奈
磯野大
來河侑希
製作 Allen