女優で活躍する今泉 惠美子がメガホンを取り門真国際映画祭で、優秀賞を受賞したファンタジー作品 『ウマレル、オモイデ。』と、長編監督デビュー作『消せない、家族。』が、10月1日から3日まで連続上映になります。両作とも東京での劇場初上映となります。
この度、「シネフィル」では、今泉 惠美子監督に、映画を撮りはじめたきっかけから、両作についての想いを語っていただきました。
今泉監督は、もともと役者からスタートなさったと思うのですが、監督として作品を作られ るようになったきっかけは?
初監督作品を創ったきっかけは、衝動でした。 当時私は東京に一人暮らし。家族は地方に引っ越しをして暮らしていました。 久しぶりに弟から電話があり、家族なのに、私だけ知らなかった事があって。 変えられない現実を変えたい。映画の中だけでも変えてあげたい。 もしかしたら、作品を観てくれたら何かが変わるかもしれない。 映画は何かを変えてくれる力を持っていると思うので、期待と希望を込めて映画を創りたいと思ったのがきっかけでした。
俳優仲間の古川照之君と、映画を創りたいと以前から話していたので家族の話をベースに脚本を考えていきました。
初長編作となった『消せない、家族。』は、どういう作品なのですか?
今迄制作した映画は、⻑編が 2 本 短編が 3 本なのですが、『消せない、家族。』は、初監督作品です。最初は、古川照之君から薦められた小説の中の焚き火のシーンが印象的で。 海辺の焚き火のシーンがある映画を撮りたいという話になりました。 ちょうどその時、私の家族の問題も勃発して、色んな事が組み合わさって出来た作品になりました。
私にとって恩師でもある俳優の酒向芳さんにも、脚本を読んでいただいたりして、 私、古川君、酒向さんの三人で脚本を創っていきました。
映画は、多層な作りになっていますが、この作品は初めから、こういう構想を考えていたの でしょうか?
最終的には想定外な部分も多くなりました(笑)。現実の方が映画みたいだと感じることって生きていると時々あるんですが、自分の体験を交えながら脚本を書く中でリアルとフィクションの境目がわからなくなるような感覚があって。その感覚を映像として表現してみたいと思い、構成をつくりました。
長編第二作となる『ウマレル、オモイデ。』は、賢島映画祭などへの出品、門真国際映画祭では優秀作品賞を受賞なさっていますがこの作品は、どのような作品なのでしょう?背景などをお聞かせください。
一緒に制作をしている古川君が小田原出身で、生まれ故郷に何か恩返しをしたいとの思いを聞きました。小田原城にある城址公園にメリーカップとゆうアトラクションがあったのですが老朽化の為に撤去される事が決まりました。 それを知った、小田原出身の有志達、監督や役者達で一緒に制作をする事が決まりました。 そして、メリーカップを題材としたオムニバス映画が 2 本創られました。 『ウマレル、オモイデ。』は、その中の一本の作品でもあります。
監督(演出)をするにあたって、特に気を使っていらっしゃることはありますか? また、苦労なさっていることを教えてください。
自分のイメージを伝える事の難しさを知りました。 また、自分だけの作品、自分の想いだけにならないように気を遣いました。
言葉の扱い方、キャスト、スタッフにどうしたらわかって貰えるのか? 一緒に創っている仲間にどうしたら、この作品を愛してもらえるか?
1 番身近な人達に愛してもらわなければ、お客様に愛してもらうえる訳が無い。
大人数で一緒に物を創る楽しさ厳しさを創るたびに学んでる気がします。
今まで、影響を受けた映画、監督、他のジャンルのものでもいいですが教えてください。
大林宣彦監督、大森立嗣監督、山本政志監督、行定勲監督他にも沢山います(笑)
大林宣彦監督には、『消せない、家族。』を観ていただき理科室映画祭を企画した時にいらして下さいました。30 分ぐらいトークして下さり、そこに居てくださるだけであたたかくて涙が出そうでした。大林監督の声、お顔、お言葉を今でも鮮明に覚えています。
海外の監督で特に影響を受けたのが アレハンドロ・ホドロフスキー監督の『リアリティのダンス』を観た時は、衝撃を受けました。暫く頭の中で画が焼きついて離れませんでした。
グザヴィエ・ドラン監督の、作品も大好きです。
今後の予定は?次回作の予定などはありますでしょうか?
あるドキュメンタリーをみて、もしも、この人がこうなってたら。とか、こうだったら。とか、 そこから想像して創作を、してみたいと思ってます。 今、企画段階ですがジャンルの違う作家さん 2 人と一緒に同じ人物を描いたらどんな人物になるのかなぁと思い色んな角度から描ける映画を創ってみたいなと思っています。
最後に、今回の劇場公開で、見られる方へのメッセージをお願いします。
コロナとゆう、パンデミック映画の中にいる様な時代に私達は生きています。 以前の様なコミニケーションが上手く取れなくなってしまった現在---
映画、音楽、舞台、写真、数多くの素晴らしいアートに触れて心を震わせ潤して欲しいと思います。
新しいカタチ、新しい今を受け止められる、逞しくしなやかな心を保つには、映画、アート、芸術は必要だと思います。 こんな時代だからこそ、色んな作品の映画を観て欲しいと思います。 映画は、未知なるパワーを秘めています。是非映画を観に来てください。
チケット予約は下記より
https://theaterguild.co/movie/
今泉 惠美子 プロフィール
[石田企画所属]
<女優>
・映画
大森立嗣監督作品『ぼっちゃん』短編『2・11』
行定勲監督作品『ジムノペディに乱れる』
武正晴監督『イン・ザ・ヒーロー』
・舞台
行定勲演出 「タンゴ・冬の終わりに」
三浦大輔演出 「娼年」
映画・舞台を中心に活躍。
<監督>
独自で映画制作を学ぶ。 実験映画やワークショップで作品を制作。
2014年 第一回新人監督映画祭 フォアキャスト部門 入選 初監督作品『消せない、家族。』
2015年 理科室映画祭を中野で主催。大林宣彦監督をゲストに迎え、 『消せない、家族。』が好評を得る。
2018年 南青山映画祭 第0回目 責任編集を担当 大盛況で幕が開く。
2019年 長編『ウマレル、オモイデ。』制作
2019年 第5回賢島映画祭 『ウマレル、オモイデ。』入選
2019年 インドコルカタ映画祭 短編 『風に戸惑う、君の声。』入選
2020年 門真国際映画祭 優秀作品賞受賞 長編『ウマレル、オモイデ。』
『消せない、家族。』予告
ぼんやりと毎日を生きている、映画スタッフの由美子。仕事、恋愛、家族に問題あり。
クランクインした映画も問題ありの家族映画であった。バランスのとれない父と母の間で育った劇中映画の主人公、透。由美子の家族も、また、非バランスな家族であった。
映画と現実、由美子と透、リアルとフィクションが交差する。
監督:今泉惠美子
キャスト:今泉惠美子、小林麻子、中條サエ子、古川照之、酒向芳、原田理央、細川岳、
中山竜也、宮島健、日下部そう、小石祐城、前川桃子、荒木祥吾、高麗道子、藍田奈結、
畠山真弥、小島法子、三浦景虎、高田裕司、福井裕子
『ウマレル、オモイデ。』予告
死のうと思った⼥、⼀度死んだ男、⽣死を彷徨う男。
女と男と男には、思い出にならない、オモイデがあった。
メリーカップが無くなる前夜に、奇妙な縁で繋がる3 ⼈。 出逢う事は必然だった。
眠ったままのメリーカップが、過去と現在の記憶を⾊鮮やかに巡らせる、、、、、。
記録と記憶の映画。
監督:今泉惠美子
キャスト:桜木梨奈、古川照之、鎌滝秋浩、沖⼭翔也、伊東由美子、森川恵古、鶴井ノエル、
もじゃ、さいださだこ、町屋友康、中村夏⼦、 須⼭結寿花、宮ゆい、⻫藤達⽮、
庄司浩之、ジッコ、おのさなえ、椎名香織