本年度アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート作品『アイダよ、何処へ?』が、2021 年 9 月 17 日(金)より、Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、他全国順次公開となる。このたび、「スレブレニツァの虐殺」追悼の日に合わせ、ヤスミラ・ジュバニッチ監督のコメントが到着、場面写真が公開された。

戦後ヨーロッパ最悪の集団虐殺事件「スレブレニツァ・ジェノサイド」とは?

わずか四半世紀前のボスニアで何が起こったのか? ユーゴスラヴィアから独立したボスニア・ヘルツェゴヴィナで1992年から95年まで続いたボスニア紛争は、ボシュニャク人(イスラム教徒)、セルビア人、クロアチア人の3民族が、お互いに激しい武力闘争を繰り広げた結果、人口432万人のうち、死者20万人、難民・避難民200万人以上が発生し、第二次世界大戦後のヨーロッパで最悪の紛争となった。『アイダよ、何処へ?』は、ボスニア紛争末期の1995年7月11日、ボスニア東部の街スレブレニツァがセルビア人勢力の侵攻によって陥落し、ほんの数日間のうちに約8000人ものボシュニャク人が殺害された、戦後ヨーロッパで最悪の集団虐殺事件「スレブレニツァの虐殺」の真実に真正面から迫った衝撃作。紛争が泥沼化するなか、セルビア人勢力に包囲されたスレブレニツァは、国連によって攻撃してはならない‟安全地帯”に指定され、現地には国連保護運も派遣され約400名のオランダ軍が任務を展開していた。本作では、主人公アイダが、その施設で国連保護軍の通訳として働き、避難場所を求めた2万人以上の避難民の中から家族を探し出し必死で守ろうとする姿を通して、実際に行われたボシュニャク人男性の虐殺というおぞましい真実に迫っていく。

場面写真11点を公開

映画の最後に出るボシュニャク人の行方不明者8,372という数字のうち、いまだ1500人以上が行方不明のまま、今現在も事件の傷は癒えることなく、犠牲者の慰霊の施設と墓地が設けられているスレブレニツァでは、毎年7月11日に大規模な追悼式典が行われ、1年間で身元が判明した犠牲者を埋葬している。このたび、「スレブレニツァの虐殺」追悼の日にあわせ、『アイダよ、何処へ?』の場面写真、主人公アイダが国連保護軍に踏み入ろうとするセルビア人勢力との間で通訳するシーン、2万人以上の避難民が保護を求め国連施設に押し寄せるシーン、2021年6月8日に「スレブレニツァの虐殺」の有罪判決を受け終身刑が確定したセルビア人勢力の元司令官ラトコ・ムラディッチ将軍の登場シーン、ポスターで使われている強い視線が印象的なアイダが何かを見据えるシーンなど11点が公開された。

監督からのコメント

綿密なリサーチに基づき、事件から25年を迎えた節目の年に本作を発表した、『サラエボの花』、『サラエボ、希望の街角』などをはじめ故郷ボスニアの紛争の傷跡を描き続けている女性監督ヤスミラ・ジュバニッチからは、「5年の歳月をかけ、多くの障害を乗り越えて、ようやく映画を完成させることができました。スレブレニツァ事件はボスニア人にとってつらい記憶です。25年を経た今でも遺体の捜索は続いているし、虐殺を逃れた人たちの多くはまだ生きている。そして、殺害された遺体が新たに発見されたら誰かが刑に処されることになる。だからセルビアでは事件自体を否定する声もあるし、さまざまな感情が渦巻く政治的にも難しい問題なのです。そこに踏み込むのは私には無理だとずっと思ってきました。ですが5作品を手掛け、ようやく私にも撮れると感じたんです。それで調査を始めて大勢に話を聞くところから始めましたが、想像以上の大仕事でした。生き延びた人たち―彼らは今も生きているし、実際に起こったことをその目で見ている―への大きな責任もある。だから、私たちボスニア人にとって苦痛に満ちたこの出来事を、できるだけ正確に世界に伝えたかったのです」とコメントが到着しました。

<STORY>
ボスニア紛争末期の 1995 年7月11日、ボスニア東部の町スレブレニツァがセルビア人勢力の侵攻によって陥落。避難場所を求める 2 万人の市民が、町の外れにある国連施設に殺到した。国連保護軍の通訳として働くアイダは、夫と二人の息子を強引に施設内に招き入れるが、町を支配したムラディッチ将軍率いるセルビア人勢力は、国連軍との合意を一方的に破り、避難民の“移送”とおぞましい処刑を開始する。愛する家族と同胞たちの命を守るため、アイダはあらゆる手を尽くそうと施設の内外を奔走するが――。

『アイダよ、何処へ?』は9月17(金)より Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、他全国順次公開

監督:ヤスミラ・ジュバニッチ『サラエボの花』、『サラエボ、希望の街角』
出演:ヤスナ・ジュリチッチ、イズディン・バイロヴィッチ
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、オーストリア、ルーマニア、オランダ、ドイツ、ポーランド、フランス、ノルウェー、トルコ合作映画/ボスニア語・セルビア語・英語他/2020年/101分
原題:Quo Vadis, Aida?
提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム

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