ヤン・シュヴァンクマイエル監督作『アリス』のBlu-rayとDVDが復刻、10月6日より発売が決定した。高解像度、高画質、高精細のHDマスターでBlu-ray&DVD化し、Blu-rayにはチェコ語版に加えて、初めて英語版音声が収録される。
誰にも真似できない独特の映像が観る者を摩訶不思議な迷宮世界へといざなう
ウサギを追いかけたアリスが迷い込んだのは、不気味で摩訶不思議な世界…。ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」を元に、実写とストップモーション・アニメを組み合わせて創られた本作は、チェコスロバキアの鬼才アニメーション作家シュヴァンクマイエルが3年の歳月を注いで完成させた初の長編映画である。1988年のベルリン映画祭でプレミア上映後、89年に日本でも劇場公開された。いかがわしくもユーモラスな表現と、グロテスクなのにどこか愛らしいキャラクターたち。誰にも真似できない独特の映像が、観る者を摩訶不思議な迷宮世界へといざなう。
チェコに現存していたオリジナルフィルムを基に、HDマスター製作が行われ、汚れや傷などを全面的に修復。高解像度、高画質、高精細の作品として生まれ変わった。音声もオリジナルのチェコ語版と英語版を収録した。映画ファンが諦めていた、ノーカット完全版のBlu-rayとDVDが待望の復刻となる。
特典映像には、シュヴァンクマイエル監督による貴重な絵コンテを収録。封入特典には、3種類のポストカードが用意された。
価格はBlu-rayが税込5,170円、DVDが税込4,180円。
<STORY>
ある日、雑然とモノが散らばった部屋の中で少女のアリスが退屈していると、彼女の目の前で人形の白ウサギがふと生気を帯びて動き出し、ガラスケースをハサミで打ち壊して外に飛び出していく。驚きながらもウサギの後を追いかけたアリスは、穴の中へと落ち込み、それを通っていつしか不思議の国へとたどり着く。そこで彼女は、クッキーを食べるとなぜか体が伸び縮みするなど、さまざまな奇想天外な冒険を繰り広げることになり…。
<ヤン・シュヴァンクマイエル>
1934年、チェコスロヴァキア(現在のチェコ共和国)のプラハに生まれる。共産党政権化でブラックリストに載りながらも、創作活動を続けてきた。チェコの第三世代のシュルレアリスト。映像作品では、2010年に『対話の可能性』が、国際アニメーション協会のアンケートで、世界短編アニメーション史上No.1の作品に選ばれた。コラージュ、オブジェ、ドローイングなど、美術造型作品の創作活動の範囲も多岐にわたっている。
監督・デザイン・脚本:ヤン・シュヴァンクマイエル
原作:ルイス・キャロル(「不思議の国のアリス」の主題による)/製作:ペーター=クリスティアン・フォイター
撮影:シュヴァトプルク・マリー/美術:エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー/アニメーション:ベトリフ・グラセル
出演:クリスティーナ・コホウトヴァー
製作国:スイス=ドイツ=イギリス/本編86分/カラー/チェコ語音声、英語音声/日本語字幕/製作年:1988年