前作『ひかりの歌』が、口コミなどの評判により全国各地での公開へとつながった
杉田協士監督の⻑編第3作『春原さんのうた』が2022年新春よりポレポレ東中野ほかにて公開されることが決定した。
『春原さんのうた』は、作家・歌人の東直子による第一歌集『春原さんのリコーダー』(ちくま文庫)の表題歌「転居先不明の判を見つめつつ春原さんの吹くリコーダー」を杉田協士監督が映画化。撮影を飯岡幸子(『うたうひと』、『ひかりの歌』、『偶然と想像』)、照明を秋山恵二郎(『花束みたいな恋をした』、『きみの鳥はうたえる』)、音響を⻩永昌(『不気味なものの肌に触れる』、『VIDEOPHOBIA』)が務めた。
第32回マルセイユ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門正式出品決定
マルセイユ国際映画祭は、地中海に面したフランス第2の都市マルセイユで、ジャンルの垣根を超えた多彩なプログラムを行うことで知られる映画祭。今年は7月19日から25日まで開催され、杉田監督と主人公・沙知を演じた荒木知佳が参加予定。
原作者の東直子のコメント
『春原さんのうた』へのコメント短歌は、五七五七七の音韻でつくる詩の小宇宙です。杉田協士監督は、この小宇宙をふくらませて、あるいは一度解体して、この世の光であらたな映画の小宇宙を形成する。それはそれは幸せな共鳴です。
偶然のように知りあった私たちが、映像の中では永遠のひとときを生きる。この上なくしずかに、やさしく、痛々しく、儚く、強く、あたたかく。女の子の顔に、みんな映っている。過ぎてしまった時間から、一通の手紙が戻ってくる。遠い昔に吹いたリコーダーは、今も奏でることができる。昔作った短歌を思いながら、今日の空気をゆっくりと吸った。
マルセイユ国際映画祭で、ポレポレ東中野で、そして偶然のような場所で、永遠のひとときが再生される、この宇宙の希有なできごとを心から喜びたい。
東直子(作家・歌人)
マルセイユ国際映画祭・総合ディレクターのジャン=ピエール・レム氏からのメッセージ
何よりもまず選考委員会の全会一致をお伝えします。誰もが心を動かされ、言葉をなくし、涙し、映画が終えたときには限りない幸せに包まれていました。それはこの映画が持つ繊細さと精密さ、他に類のない見せ方がもたらした小さな奇跡です。俳優たちはみな素晴らしく、フレームにはずっと驚かされました。時折り挟まれるコメディのあり方、音の響きや色彩......、この映画に流れる時間は平和でありながら、それによって美しさにさらに美しさが迎えられています。『春原さんのうた』は紛うことなき傑作です。
ジャン=ピエール・レム(マルセイユ国際映画祭・総合ディレクター)
<STORY>
美術館での仕事を辞めてカフェでのアルバイトを始めた沙知(24)は常連客から勧められたアパートの部屋に引越しをする。そこでの新しい生活を始めた沙知だったが、心にはもう会うことの叶わないパートナーの姿が残っている。
監督プロフィール
杉田協士(すぎた きょうし)
1977 年、東京生まれ。映画監督。2011 年に⻑編映画『ひとつの歌』が東 京国際映画祭に出品され、2012 年に劇場デビュー。⻑編第2作『ひかりの 歌』が 2017年の東京国際映画祭、2018 年の全州国際映画祭に出品され、 2019年に劇場公開。各主要紙や映画誌「キネマ旬報」において高評価を得 たことなどで口コミも広まり、全国各地での劇場公開を果たす。 他、小説『河の恋人』『ひとつの歌』を発表(文芸誌「すばる」に掲載)、歌人の枡野浩一による第4歌集『歌 ロングロングショートソングロング』(雷鳥社)に写真家として参加するなど、幅広く活動をつづける。
春原さんのうた』は2022年新春よりポレポレ東中野ほかにてロードショー
出演:荒木知佳、新部聖子、金子岳憲、伊東沙保、能島瑞穂、日髙啓介、名児耶ゆり、北村美岬、黑川由美子、深澤しほ、安楽涼、大須みづほ、DEG、徳倉マドカ、清水啓吾、吉川愛歩
原作:東直子
原作短歌:転居先不明の判を見つめつつ春原さんの吹くリコーダー(ちくま文庫『春原さんのリコーダー』より)
プロデューサー:髭野純
脚本・監督:杉田協士
撮影:飯岡幸子/照明:秋山恵二郎/音響:⻩永昌/衣裳:小宮山芽以/編集:大川景子/仕上監修:田巻源太/音楽:スカンク/ SKANK/照明助手:平谷里紗/衣裳助手:田島あかり/スチール:鈴木理絵/イラスト:カシワイ/題字:荒木知佳/協力:インターセプター /配給・宣伝:イハフィルムズ/宣伝:平井万里子/製作:Genuine Light Pictures
2021年/日本/カラー/スタンダード/DCP/5.1ch/120分