『ムーンライト』、『ミッドサマー』など次々に斬新で良質な作品を生み出し続け、最も勢いのある制作・配給会社A24が製作、2020年のアカデミー賞撮影賞ノミネートほか世界中の映画賞を席巻した傑作『ライトハウス』。『CUBE』、『ウィッチ』などを手掛けるホラー映画音楽の巨匠による不穏な音楽が更なる恐怖を呼ぶ本編動画が公開された。この度、作家の桜庭一樹や小説家の乙一、ゲームクリエーターの小島秀夫、アーティストの鴻池朋子ら各界の著名人から本作に寄せられたコメントも到着。
第92回アカデミー賞撮影賞ノミネート、第72回カンヌ国際映画祭 国際映画批評家連盟賞受賞の恐ろしくも美しい、A24が放つ傑作スリラー
謎めいた孤島にやって来た“2人の灯台守”たちが外界から遮断され、徐々に狂気と幻想に侵されていく――人間の極限状態を恐ろしくも美しい映像で描いた本作。北米ではA24の配給で公開され、わずか8スクリーンでスタートしたミニシアター系の映画としては異例の興行収入1,000万ドル以上の大ヒットとなった。
長らく日本での公開も待たれていた本作の監督を務めるのは、長編デビュー作『ウィッチ』がサンダンス映画祭で圧倒的高評価を受け、一躍スター監督へと躍進したハリウッド屈指の才能、ロバート・エガース。そして、少しずつ狂気の世界に足を踏み入れていく2人の灯台守を演じるのは最新シリーズの『バットマン』の主演に決定し、2020年に公開し大ヒットしたクリストファー・ノーラン監督『TENET テネット』で人気が爆発したロバート・パティンソンと、言わずとしれた世界の名優ウィレム・デフォー。実力と人気を兼ね備えた2大スターがW主演を務めている。
ホラー映画音楽の巨匠による不穏な音楽が更なる恐怖を呼ぶ本編動画公開
今回公開された映像は、夜の浜辺を歩いていたイーフレイム・ウィンズロー(ロバート・パティンソン)が、“何か”に導かれるように海中へと引き込まれた末に、この世に存在するはずの無い“人魚”が目前に迫ってくるという悪夢に怯える様子を切り取ったもの。夢と現実の境が曖昧なまま、屋根から漏れ出る水滴で目を覚ますが、次々と仕事を指示してくるトーマス・ウェイク(ウィレム・デフォー)の言葉にようやく目が覚める。
本映像の背景に流れる金切り声のような弦楽器の音にも注目! 「古代ギリシャ音楽のような偶然性の音を探していた」、「バーナード・ハーマンのような古い映画音楽を思い起こさせる要素を取り込む必要がある」というエガース監督のこだわりを表現するために、『CUBE』(97)やエガースの前作でもある『ウィッチ』(15)などを手掛けた、ホラー映画音楽の巨匠とも言われるマーク・コーベンが人間の古典的な恐怖をジワジワと炙り出すような不穏な音楽を生み出している。
コメント一覧(順不同/敬称略)
★桜庭一樹(作家)
ウィレム・デフォーの言葉は拳、ロバート・パティンソンの沈黙は盾。
二人の命をかけた縄張り争いのドラマから、「言葉とは何か?」と今一度深く考えさせられた。
★乙一(小説家)
時代を超越した、怪奇幻想世界の映画フィルム。
狂気に蝕まれていく人間は、美しい!
★小島秀夫(ゲームクリエイター)
35mm、モノクロ、閉塞感を煽る真四角に近いスクリーン、ふたりの役者、黒く畝る海、海鳥の鳴き声、仄かに薄暗い灯台。たったこれだけの素朴な古典的画材でエガース監督は才能をまた見せつける。光を求めて幻想の螺旋階段を登りつめていく、人間の狂気と闇の恍惚を「ライトハウス」は照らす。
★深緑野分(作家)
光は呼ぶ、闇を、狂気を、渦潮から何者かを。ぬめぬめしたものが観客のうなじを逆撫でし、本当に狂っているのは誰かもわからなくなり、叫び出したくなる。
★中野京子(作家・ドイツ文学者)
灯台守にしてポセイドン、樵<きこり>にしてプロメテウス。そしてこれまで見たどんな人魚よりも怖い人魚!
★風間賢二(翻訳家・幻想文学研究家)
光の源は闇。めくるめく虚実の螺旋階段を転落させる、鬼才ならではの逆説的な展開に思考回路がショートする!
★滝本誠(ライター)
(私見)エドワード・ホッパー描く白い《灯台》(1929前後)をミュンヘン象徴派フォン・シュトゥックの《水》(1910)のセイレーンで黒く変容させる・・・。監督のウイッチクラフト、ラヴクラフトのクラフト連打がたまらない。
★人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)
画面に映るのはおっさんと灯台と動物だけ。なのに何だこの情報量の多さは!超絶変態演出の洪水に溺れる。
特に灯台を○○○に見立てたシーン、本当に参りました……。
★SYO(映画ライター)
気が触れ。心が屠られる。そして絶頂に至る。絶望するほど甘美な地獄へようこそ。
★鴻池朋子(アーティスト)
バケツに落ちる小便、人魚の匂い。映画という表象の光を生命の光へと追い込んでゆくその制作はすごい!
実際に起きた事件がベースになっている物語
1801年にイギリス・ウェールズで実際に起きた事件がベースになっている本作。より人間の感情を際立たせることのできるモノクロームの映像や、サイレント映画からトーキーへの移行期に隆盛した正方形に近い画面サイズにこだわったことで“シネマティックな映像美”も実現。そのこだわりと美しさによってアカデミー賞撮影賞にノミネートされるなど世界的評価も獲得、緊迫感を増大させるこだわり抜いた音響も評判を呼び、カンヌ国際映画祭監督週間でのプレミア上映では大喝采で迎え入れられた。やがて嵐が訪れ、二人きりの孤独な世界に取り残さたとき、おぞましくも美しい狂気の扉が開いていく――。
劇中、ほぼパティンソンとウィレム・デフォーの2人しか登場しないことでも話題の本作。“絶海の孤島”という極度の緊張感が強いられる空間の中、互いの魂をぶつけ合うような鬼気迫るやり取りを繰り広げる彼らの壮絶な演技合戦は数多くの映画祭で大絶賛。狂気に取り憑かれた男達の恐怖や愛憎を描き出し、スリリングで謎めいていながらも人間の本質に迫るような、凄みを持った物語に観客は魅了されること必須!
<STORY>
1890年代、ニューイングランドの孤島に二人の灯台守がやって来る。彼らにはこれから四週間に渡って、灯台と島の管理を行う仕事が任されていた。だが、年かさのベテラン、トーマス・ウェイク(ウィレム・デフォー)と未経験の若者イーフレイム・ウィンズロー(ロバート・パティンソン)は、そりが合わずに初日から衝突を繰り返す。険悪な雰囲気の中、やってきた嵐のせいで二人は島に閉じ込められてしまう……。
『ライトハウス』は7月9日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
監督:ロバート・エガース『ウィッチ』
脚本:ロバート・エガース/マックス・エガース
撮影:ジェアリン・ブラシュケ『ウィッチ』
製作:A24
出演:ウィレム・デフォー『永遠の門 ゴッホの見た未来』、ロバート・パティンソン『TENETテネット』
原題:The Lighthouse /日本語字幕:松浦美奈
2019年/アメリカ/英語/1:1.19/モノクロ/109分/5.1ch
提供:トランスフォーマー、Filmarks/配給・宣伝:トランスフォーマー