第76回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)を 受賞したスウェーデンの巨匠ロイ・アンダーソン監督最新作『ホモ・サピエンスの涙』が11月20日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館にて公開します。
ホモ・サピエンス
映像の魔術師が、この時代を生きる 全 人 類 に贈る――。
愛と希望を込めた映像詩。
この世に絶望し、信じるものを失った牧師。戦禍に見舞われた街を上空から眺めるカップル。これ から愛に出会う青年。陽気な音楽にあわせて踊るティーンエイジャー...。 本作で描かれるのは、時代も性別も年齢も異なる人々が織りなす悲喜劇。映像の魔術師ロイ・アン ダーソン監督が構図・色彩・美術と細部まで徹底的にこだわり、全33シーンすべてをワンシーンワンカットで撮影した。実在の名画の数々からインスパイアされた美術品のような映像美にのせて「千夜一夜物語」の語り手を彷彿とさせるナレーションが物語 へと誘う。
そんな唯一無二の世界観は、『ミッドサマー』アリ・アスター、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』イニャリトゥ ら名匠をも魅了している。
公開に先立ち、ロイ・アンダーソン監督自身が『ホモ・サピエンスの涙』について語る、メッセージ動画が到着しました。
ロイ・アンダーソン監督が新作『ホモ・サピエンスの涙』を語る。
別タイトル案は「私、トマトの方がいい」だった...!?
この度到着したメッセージ動画は、今年9月に開催されたぴあフィルムフェスティバルでのロイ・アンダーソン監督の大規模な特集上映に際して寄せられたもの。その中から、今回は特別に最新作『ホモ・サピエンスの涙』について語ったものが公開された。
本作のテーマや監督のお気に入りのシーン、そして『ホモ・サピエンスの涙』(英題:「ABOUT ENDLESSNESS」)に代わる、驚きの別タイトル案まで飛び出すなど、監督の人柄がうかがえる微笑ましいメッセージ動画となっている。
ロイ・アンダーソン監督が新作『ホモ・サピエンスの涙』を語る
<ロイ・アンダーソン監督 コメント>
私が撮りたかったのは、永遠という概念に向き合う人間の姿を示す場面。この作品で美しいと感じるのは、永遠とは何か、という問いに直面する若いカップルの姿だ。その場面で少年は少女に物理学の一分野である熱量学について説明する。熱量学の仮設や理論によると、破壊されるものは一切なく、すべてが単純に別の形で存在し続けるというものだ。破壊は不可能。そもそも全てが最初からエネルギーなのだし、それは破壊できないもので、ただ新しいものに姿を変えるだけ。そこで彼は彼女をからかい、こんなことを言うんだ。「どんな物も今とは違う姿で現れるかもしれない。君も生まれ変わったなら、次はジャガイモになるかも。もしくはトマトか」。すると少女がすぐに応える「私、トマトの方がいい」。彼女の返答が愛らしかったので、そのシーンを残すことにした。「私、トマトの方がいい」...作品のタイトルに使ってもよかったくらいだね。タイトルだけで相当観客数を伸ばせただろう。美しくて愉快な表現だ からね。
出演:マッティン・サーネル、タティアーナ・デローナイ、アンデシュ・ヘルストルム
監督・脚本:ロイ・アンダーソン(『愛おしき隣人』『さよなら、人類』)
撮影:ゲルゲイ・パロス
2019 年/スウェーデン=ドイツ=ノルウェー/カラー/76 分/ビスタ/英題:ABOUT ENDLESSNESS/原題:OM DET OÄNDLIGA
後援:スウェーデン大使館
提供:ビターズ・エンド、スタイルジャム
配給:ビターズ・エンド
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