10月28日(水)、今年初めて韓国・釜山にて行われた「第14回アジア・フィル ム・アワード(以下AFA)」は、新型コロナウィルスによる状況を鑑み、Asian Film Award Academyの公式YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/asianfilmawardsacademy)にて受賞者が発表され、 受賞者が喜びのコメントをビデオメッセージで寄せた様子が放送されました。
日本からは、加瀬亮さんが『旅のおわり世界のはじまり』にて最優秀助演男優賞を受賞した他、久連石由文さんが『蜜蜂と遠雷』で最優秀音響賞受賞。そして、HIKARI監督が『37セカンズ』にて最優秀新人監督賞受賞に輝くなど、第32回東京国際映画祭「Japan Now」部門において出品された作品に関連した注目の方々が受賞いたしました。
また、昨年『万引き家族』で最優秀作品賞を受賞した是枝裕和監督、また『孤狼の血』で最優秀主演男優賞を受賞した役所広司さんが、それぞれ今年の各賞の受賞者であるポン・ジュノ監督、イ・ビョンホンさんの発表をするという映像も流され、お祝いのコメントが寄せられました。
なお、本年は、2019年のカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した注目作、韓国ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が最多10部門でノミネートされ、作品賞を含む4部門で最多受賞しています。
これまで『万引き家族』(2019年作品賞)、役所広司さん(2019年主演男優賞『孤狼の⾎』)、石井裕也監督(2018年監督賞『夜空はいつでも最高密度の青色だ』)浅野忠信さん(2017年主演男優賞『淵に立つ』、2016年助演男優賞『岸辺の旅』)、樹木希林さん(2016年第10回アジア・フィルム・アワード・特別功労賞)など、これまで日本映画を代表する俳優や監督が受賞をしてきた歴史に新たな才能が加わることになりました。
最優秀助演男優賞
『旅のおわり世界のはじまり』加瀬亮
<加瀬亮さんコメント>
「この度「アジア・フィルム・アワード」で助演男優賞をいただきました。黒沢清監督、スタッフ、共演者、それから審査員の方々と映画を観てくださった皆様にお礼を申し上げたいと思います。この作品では男優たちは、主人公の葉子を孤立させる役割だったため、皆自分の仕事に徹して淡々とただ風景になじむようにしていた記憶があります。かなり見え方が静かな仕事でしたので、そのようなところにまで目をかけて評価をしてくださる方たちがいることにとても驚きました。今後の励みにしたいと思います。ありがとうございます。」
最優秀音響賞
『蜜蜂と遠雷』久連石由文
<久連石由文さんコメント>
「この度は、アジア・フィルム・アワード ベストサウンド賞をいただき、ありがとうございます。
本当に光栄に思います。この賞を受賞できたのは、良い作品、監督に出会えたことと、キャスト、プロデューサー始め、各スタッフのお力添えがあったからこそだと思います。また、このような音楽映画で受賞できたことも、嬉しく思います。この度は、本当にありがとうございました。」
最優秀新人監督賞
『37セカンズ』HIKARI監督
<HIKARI監督 コメント>
「アジア・フィルム・アワードより、このような素晴らしい賞をいただき、心より感謝申し上げます。全くもって予想を超えた吉報を頂いたので、このような評価に、身が引き締まる思いとともに、大変光栄に思っています。キャストやスタッフ、家族、多くの支援者の皆さん、そして主人公を演じた佳山明さんへ、感謝の思いを伝えたいと思います。この映画は、人々の心や意識を開き、外見の違いに関わらず、私たちが持つ心や想いは同じだということを描きたいと思い制作しました。人類誰にも愛や、希望、そして伝えたい想いがあります。いつの日か「Disable -障害」という言葉が「Differentlyabled -異なる可能性」として活され、互いに助け合い、理解しあえる世になることを心から祈ります。この度は本当にありがとうございました。」
<監督 プロフィール>
大阪府出身。脚本家、映画監督、撮影監督、プロデューサー。南ユタ州立大学で舞台芸術・ダンス・美術学部、南カリフォルニア大学院にて映画・テレビ制作を学ぶ。
卒業制作映画『Tsuyako』(2011年)が世界各地の映画祭で上映され、合計50賞を受賞。長編デビュー作の『37セカンズ』(20年)で第69回ベルリン国際映画祭パノラマ部門にて観客賞と国際アートシネマ連盟賞の2冠受賞。
現在、米国の大手エージェンシーに所属し、現在ハリウッドにて、マーク・ワトソン作、オリバー・ハラッド画による同名グラフィックノベルを映画化する『Dan&Sam(原題)』(Universal Pictures)を含め、映画、テレビシリーズなど複数のプロジェクトを進行中。
■アジア・フィルム・アワードとは
2007年に創設されたアジア映画を対象とした映画賞。東京国際映画祭は2013年より、香港国際映画祭、釜山国際映画祭と共にアジア・フィルム・アワード・アカデミーを創設し、アジアの映画業界と連携し、その年のアジアの映画人を表彰しスポットライトを当てることでアジア映画ファンの創出、世界へのアジア映画の振興、文化交流を図っています。これまでにポン・ジュノ(第72回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞、第92回アカデミー賞作品賞受賞『パラサイト 半地下の家族』)やジャ・ジャンクー(第63回ヴェネツィア国際映画祭・金獅子賞受賞『長江哀歌』)、といった国際的に活躍している監督たちが本映画祭での受賞をきっかけに世界へ活躍の場を広げて行きました。今年は受賞者の発表を2020年10月28日(水)に行ないます。