第 33 回東京国際映画祭開催まで残すところあと約 1 カ月!
本日六本木ヒルズ:タワーホールにて各部門の全ラインナップ・ 各イベントの魅力・見所を発表する記者会見が開催されました。
イベント冒頭、安藤裕康チェアマンより開催の挨拶と今回の企画や上映に関する発表がありました。新型コロナウイルスが依然として猛威を振るっている中、本年の東京国際映画祭は、下記の3つの目的を掲げ、映画館でのフィジカルな実施を基本として開催されます。
1 映画を観る喜びを再認識し、映画の未来への希望の光を灯す
2 映画を通じて国際的な連帯を強める
3 コロナ後の映像文化についての考察を深める
本日はゲストとして、本年度のフェスティバル・アンバサダーを務める役所広司(やくしょこうじ)さん、「JapanNow」部門監督特集から、深田晃司(ふかだこうじ)監督、また、国際交流基金アジアセンターとの初めての取り組み「アジア交流ラウンジ」を検討会議メンバーと共に企画した是枝裕和(これえだひろかず)監督が登壇しました。
また、本年はコロナ禍の国際情勢下において、海外からの作品ゲストおよびコンペティティブ3部門(「コンペティション」部門、「アジアの未来」部門、「日本映画スプラッシュ」部門)の国際審査委員の来日も難しいため、その代わりにショーケース部門としての「TOKYO プレミア 2020」部門を新設。ワールド・プレミアやアジアン・プレミア作品上映を中心に日本、アジア、欧米といった地域のバランスは保ちながら、従来のコンペ3部門の選定視点も残し、32 本の上映を予定しています。
※他、各部門の詳細は映画祭公式サイトに掲載されています。
<第33回東京国際映画祭 ラインナップ発表記者会見 概要>
■日時:9 月29日(火)14:00~
■会場:六本木アカデミーヒルズ 49 階 タワーホール
■司会:中井美穂アナウンサー
【ゲスト】
役所広司(フェスティバル・アンバサダー)
深田晃司監督(「Japan Now」部門特集)
是枝裕和監督(「アジア交流ラウンジ」企画)
【出席者】
安藤裕康(東京国際映画祭チェアマン)、久松猛朗(東京国際映画祭フェスティバル・ディレクター)
下記に記者会見の概要と登壇者のコメントまとめとなります。
東京国際映画祭チェアマン 安藤裕康 コメント
今年の本映画祭の目標として、3 つのコンセプトを掲げます。一つは、映画を観る喜びを盛り上げるため、日本映画界との連携を従来以上に盛り上げていきたい。「映画館に行こう!」キャンペーンのアンバサダーを務めている役所広司さんに、今年の本映画祭のフェスティバル・アンバサダーも務めて頂く事になり、「映画館に行こう!」実行委員会と協力し、これから上映される新作映画の予告編を一気に見せる機会も企画いたしました。2 つ目は、海外との連帯。「カンヌ」「ヴェニス」「ベルリン」「上海」等で上映された秀作を今年も多く上映する事になっています。また、ゲストの招聘が難しい本年は、世界の映画人よりメッセージを頂き、オープニングセレモニーにてお披露目をさせて頂くなど、このコロナ禍でも世界中とつながっていきたいと考えております。3 つ目は、「ポストコロナ」の時代に向けて、“これからの映像文化”がどうなるのかを考えていきたいと思っております。具体的には、是枝裕和監督の企画のもと、国際交流基金との共催で「映画の未来」について議論を毎日重ねる「アジア交流ラウンジ」。パネリストとして、アジアや日本の、有力な映画人が参加予定。もちろん、是枝監督も本企画に何度か登壇頂く事になっております。
第 33 回東京国際映画祭フェスティバル・アンバサダー 役所広司さん コメント
Q.(コロナ禍で)映画祭が開催できる事について、どう思われますか?
A.(例年とは)形は変わっているのかと思いますが、映画を通して、様々な方に「勇気」や「力」を与えられるための映画祭ですから、なんとか盛り上げてやっていきたいと思います。
Q.役所さんにとって、東京国際映画祭はどんな映画祭ですか?
A.今まで何度もこの映画祭には参加させて頂き、素晴らしい賞もいただいたこともありますし、役者として「育ててもらった映画祭」だと思っています。
Q. このコロナ禍で、お仕事をする上で何かご自身の心構えや、感じ方などで変化したことはございますか?
A. 実際に、今年撮影しようとしていた作品がほどんと中断してしまったり、公開が来年に延期になってしまったりと、(関係者は)その決断をするのも相当大変だったと思うのですが、正しかった、と思っています。僕は、色んな事が起きて(世間が)激変してしまい、それを乗り越えたときに素晴らしい映画が出来上がると思っています。撮影の現場は、まだまだ苦労がたくさんあるかと思いますが、スタッフやキャストは何とかこの苦難を乗り越えようとしています。
Q. 役所さんは、このコロナ禍をどのように過ごされていらっしゃったのですか?
A. 身の回りの断捨離や掃除、かなりやりましたね。こういう事が自分は好きなんだな、という発見もありました(笑)。この機会に、少し運動も始めましたね。
Q. そんな中、「映画館に行こう!」キャンペーンのアンバサダーなど、映画人として「今何か発信しなければ」という意思を感じました。役所さんご自身はどんなお気持ちだったのでしょうか。
A. (映画の現場は)自分の職場ですし、一緒に(映画を)作ってきた仲間がスタッフ・キャスト含め沢山いますし、そして皆、生活もしていかないといけない。そんな中で、我々“俳優”が何をやれるのか、断捨離をしながらいろいろと考えましたね。 映画祭のフェスティバル・アンバサダーのお話をいただいた時は、いつもなら、若くて美しい女優さんがミューズを務めるのに、今年はなんで私なんだろう?と、少し躊躇もしました(笑)。しかし、ちょっとでもこの映画界の活性化のために役に立つことがあれば、と思って引き受けさせて頂きました。
Q. 今年の TIFF は、映画を映画館で観る喜び、時間、空間などを共有しようというコンセプトがあるのですが、役所さんにとっても 「映画館で観る映画」は、やはり(他の方法と比べて)違うものですか?
A. いやぁ、違うんですよね。確かにステイホーム期間、配信等で映画を楽しまれた映画ファンの方も沢山いらっしゃると思います。自分の好きな時間に観る事ができてそれはそれで便利なんですが、やはり、映画館に行って、暗闇になるあの瞬間、大きなスクリーンと包まれるような音響で、ドキドキしますね。あれはテレビでは体験ができない事です。あとは、観客同士、“良い映画”を観たときの一体感。これも映画館でしか経験できない事だと思っています。僕もDVDを観たりはしますが、映画館に行くと「来てよかった、やっぱり違うな」と実感するんです。同じ作品を観ても、テレビと映画館では、まるで違う作品のように感 じると思います。
Q. 新たな作品や映画人の方々との出会いも映画祭にはたくさん詰まっていますよね。
A. いろんな国の映画人との交流というのは、映画祭の一つの役割だと思います。
「JapanNow」部門監督特集 深田晃司監督 コメント
Q.深田監督は『歓待』という作品で 2010 年「日本映画ある視点」部門で作品賞を受賞しました。ある意味、東京国際映画祭から世界に羽ばたいていかれたわけですが、今年の特集のお話を受けたとき、どんなお気持ちだったでしょうか。
A. 『歓待』は国際映画祭で初めての賞でした。その後、『歓待』はロッテルダム映画祭をはじめ多くの映画祭に呼んでいただけるキッカケになりました。日本だけではなく、海外にも私の映画を観たいと思ってくれる方が居るんだと初めて知る事になった初めての作品でした。私の映画監督としてのキャリアで大きな意味を持つ作品であり、そのキッカケが東京国際映画祭だったわけですが、ちょうどそれから 10 年経ち、このように声をかけて頂けたのは非常に有難かったが、最初聞いた時はとても驚きました。よくぞご決断頂いたという事に感謝いたします(笑)。
Q.今年は特に「ミニシアターエイド」の活動が、ご本人が思っていた以上に広がったと思うのですが、実際集まった金額や周りの反応などをご覧になってどう思われましたか?
A. 私だけではなく、濱口竜介監督をはじめ有志の方々数人で分担して進めていたことです。あの時期はどの業界も大変だったとは思いますが、もともと助成金の少なかったミニシアターは特に大変でした。そんな中、役所広司さん、是枝監督をはじめとした多くの監督、映画人の方々が真っ先に賛同のコメントを贈ってくださいました。あとは映画ファンの力ですね。これだけ「ミニシアターに無くなってほしくない」「ミニシアターが支える多様な映画に無くなってほしくない」と願う映画ファンがこんなに居たんだと思えたことは、多くの映画人にとって大きな支えとなったと思います。
Q. あの時、すべてのエンタテインメント界がストップしてしまったわけですが、監督ご自身は何を無くして、逆に何を得ましたか?
A. 幸い自分は、その時脚本を書く時期だったので、直接的に撮影が中止になってしまったわけではなかったのですが、「ミニシアターエイド」の活動をやってみたら、朝から晩までその活動に時間を費やしていたため、脚本の執筆が思い切り滞ってしまい、その後プロデューサーに怒られました(笑)。しかし「ミニシアターエイド」で多くのミニシアター業界の方々とも知り合えましたし、自分の思ってもいなかった所にミニシアターがあって、そこに映画ファンのコミュニティがあるという事を知れたのは、とても楽しい経験でした。
Q. 演劇界と映画界などの横のつながりが日本のエンタメ界には今まであまりなかったわけですが、今回のコロナでようやく手に手を携えて頑張っていかなければ、という形ができたように思えますね。
A. 確かにそのスタートラインには立ったと思います。しかし映画・演劇・音楽が一体となり今回「We Need Culture」で支援を求める社会活動を起こしましたが、これがコロナが収束した後にも継続をしていけるものかが不安。文化庁からも補正予算が今回出ましたが、他国と比べ、いかに国の文化予算が極端に少ないかということが明らかになりましたよね。よく言われたのが、国家予算における文化予算の規模が、日本は韓国の 9 分の 1、そしてフランス8分の 1 しかないという事。当然あるべきミニシアターへの恒常的予算というものもほとんど無かったわけで、その結果がこのコロナ渦の事態につながったと思っています。今後まだどうなるか分からない中で、今後「ミニシアターエイド」のような一時的な支援ではなく、いかに恒常的な支援を作っていけるか、という事が大事だと思います。
Q. 遅れた脚本は無事書き上げたのでしょうか?
A. はい、なんとか書き上げ、来年の撮影の準備に取り掛かっています。釜山映画祭のAPM(Asian Project Market)というマーケットで新しい企画を出しているのでご興味ある方はそちらも覗いて頂ければ。『LOVE LIFE(仮)』 という企画です。出資者募集しています。
Q. アジアやカンヌ、様々な映画祭を経験されたかと思いますが、東京国際映画祭は何が違いますか?
A. それぞれカラーはありますが、基本的に担っている役割は同じだと思いますね。ハリウッドのグローバリズムがある中、売れるか、売れないかではない文脈で、いかに英語ではない多様なアート系映画がきちんと生き残れるかという使命のもと、カンヌ国際映画祭やヴェネチア国際映画祭ができたという話を聞いたことがあります。先ほども言いましたが、日本は公的な文化支援が少ないですし、その中で映画祭というのは、映画の「多様性」を守る最後の砦だと思っています。だからこそ、この日本の中で映画祭の価値というものは、相対的に高いと思うし、重要なんです。東京国際映画祭にもぜひ“文化の砦”として頑張ってほしいと思っています。
Q. コロナ禍で、様々な事柄の概念が変わったなと実感しました。こんなにもエンターテイメントという“架空の世界”に癒されていたんだなという事がハッキリもしました。監督はどうですか?
A. 僕はコロナ禍に「ミニシアターエイド」という(ある意味)仕事がありましたので、そこに時間を費やせましたが、やはり思ったのは、“社会システムの変化”に人の“心の変化”が追い付いていないという事。少しずつ、気付かないレベルで皆どんどん病んでいるではないかと思いますね。実際に日本の中でも自殺者が増えている報道を耳にしますけど、そういうときこそ(人々の)心に寄り添えるような芸術文化はとても大きな価値をもっていると思います。ドイツの文化省が「芸術文化は人間の生存にとって必要なものである」と言ったのに対し、日本の文化省にそれが言えなかったのはなぜだろう?と、我々が今考えなければいけない事です。
Q. 新作『本気のしるし 劇場版』の見どころを教えてください。
A.約 4 時間弱の映画ですが、ちゃんとトイレ休憩はあります(笑)。主演の森崎ウィンさん、土村芳(つちむらかほ)さんだけでなく多くの俳優さんに出て頂いたのですが、皆さん素晴らしいです。カンヌのプログラマーの方からも感想を頂きましたが、 皆さん口をそろえて「4 時間があっという間だった」という事。ぜひ、4 時間という時間に怯えずに、映画館や TIFF に観に来てほしいです。
Q.今回の特集で監督の作品を沢山の方が目にしていただける事になりますね。
A. 今回上映する『東京人間喜劇』は 2008 年に青年団の俳優さんたちと制作した映画で、普段は演劇をやっている劇場にスクリーンを設置して手作りで映画館をつくって上映したため、観た人がとても少ない映画なんです。作品としてはとても気に入っていて、自分らしい映画だと思っているので、ぜひこの機会に再発見していただけたら嬉しいです。
「アジア交流ラウンジ」企画 是枝裕和監督 コメント
Q.「アジア交流ラウンジ」、是枝監督としてどんなお気持ちで臨まれますか?
A.海外の映画祭に数多く参加をしてきて、自分の映画を観て頂くときに、日本映画の「豊か」で「多様」な長い歴史に下駄をはかせて頂いて僕の作品を評価していただいているのを感じるんです。そのような長い歴史をもっている国の映画祭は、それに比例するように良いものであると思っているんですが、果たして、東京国際映画祭がそれに見合っているのだろうか、というのはずっと疑問でした。何が良くないと思うのかは、今までインタビューの形で沢山話してきましたし、5 年前、当時のチェアマンに 「このような点が改善されると良いのでは」といった提言書のようなものを直接お渡しして、それ以降、トップの方が変わる毎に手渡しをしています。以前、山田洋次監督たちとTIFF について話をしたことがありました。そこでの話を受けてかどうかだったかは定かではないのですが、安藤チェアマンから「そこまで言うなら、直接何か協力をしてほしい」という事がキッカケだったと思います。監督たちが集まって、できればお客様やゲストの方々と交流できる場があると良いですね、といった話もしていて、今年はコロナ禍のためオンラインにはなりましたが、本来であれば、ゲストと共に「映画の現在と未来」についてスタッフなども交えトークをするような交流の場を実現させたいと思いました。
Q.配信(リモート)の形であれば、世界中から参加できるメリットもありますよね。
A.そうですね。今年、トロントと釜山は、“アンバサダー”の形で参加をしまして、トロントはリモートの形で 1 時間半くらい、現地の若い作り人たちとディスカッションをさせて頂きました。そのことにより、つながりが広がる部分もありますが、やはり同じ空間に集う事が映画祭のひとつの喜びでもあるので、早く本来のそのような形を取り戻せると良いと思っています。
Q.国境を越えた形の映画作りに精力的に取り組まれていますが、その「面白さ」「むずかしさ」が沢山あると思います。他国との映 画作りの「面白さ」「大変なこと」はどんなところですか?
A.まだ 1 本しか撮っていないですが(笑)。大変なことよりは、自分にとってプラスになる事がとても多かったので、続けて韓国との取り組みに前向きになっているのだと思います。僕は日本語しか話せないですが、映画を作っていると言語を共有できなくても、「こういう映画が作りたいんだ」というビジョンが共有できれば、そこには濃密な共同体が出来上がる事は確信しましたね。
Q.言語ではなく、「こういう未来を映画界にもたらしたい」という思いを共有できる人と仕事ができるのは幸せな事かと思います。
A.コロナになったとき、役所さんに「何か自分にできることはないか」と真っ先にご連絡をいただいたり、僕よりも若い深田監督のような人が出てきて、非常に心強いと思います。
Q.(深田監督の取り組みなど)そういう動きをご覧になって、今の映画界を取り巻く新しいムーブメントを感じられましたか?
A.今回嬉しかったのは、やはり“ミニシアターに育てられた”という記憶みたいなものが、作り手にも一般のお客さんの中にも残っていて、その熱い思いが具体的に金額として出てきたことに勇気づけられた人は多かったと思うんです。映画業界全体が迎えている危機的状況は、コロナだけが原因ではなくて、潜在的にはこの 20 年近くで起こっている事。どうやって映画業界全体が改革の意識を持てるのか、僭越ながら一人の作り手として働きかける事を考えています。(日本が)豊かな映画祭を持つという事は、この国の文化にとってとても大事なことなので、できるだけ前向きに関与していきたいと思っています。
Q.今年の東京国際映画祭はどんな映画祭になったら良いと思いますか?
A.コロナの状況で、なかなか思い通りにならない事も多く、忸怩たる思いの開催になるかと思います。この映画祭が映画の 「多様性」だったり、「作り手と観客の交流の場」だったり、そして山中貞夫監督の作品の上映などにみる「この国の映画の歴史」に対する意識と、「映画の未来に対する視線」というものは、映画祭にとってとても大事で、映画というものを、いまどう考えて、この先どのように捉えていくのかを表明する場所でもあるわけです。「TIFF ティーンズ映画教室」のように、映画祭を通じて、次の世代の子供たちにどのように映画の面白さを知ってもらえるか、そのような意識をもっているのはとても大事なことだと 思います。
記者とのQ &A
Q.世界中の映画祭が、コロナ禍で実施の有無、やり方を試行錯誤しているが、これをキッカケに、今後どのよう国際映画祭を発展させていったら良いかを考えているのかを聞きたい。
A.深田監督「なかなか今この場で、具体的には案を出すことは出来ないですが、映画祭が本来持っている「多様性を担う」ことが、コロナ前にどれだけ果たされていたのかを考えなくてはなりません。国内外多くの映画祭がオンラインで実施をしていますが、地域名をうたっている映画祭がオンラインでやる意味あるのか?と疑問に思ったこともあるのですが、発表されているラインナップを見ると、とても面白いんですよ。それを見ると、大事なのは場所ではなくてやはり“人”なんだな、と。映画祭の中で、上映する映画を選定した人の“考え方”や“哲学”のようなものが作品のセレクションという形で反映されていて、それを見るのがやはり面白いんです。できれば早くワクチンが開発されて、またみんなで集まれるようになれば良いと思いますが、逆にオンラインの形で、より多くの人にその 地域の事を届けられるというのは、必ずしも悪い事ではないと思っています。」
A.役所広司「世界中の映画祭は苦労していると思いますが、このコロナパニックの状況に合わせて、映画祭はやり続けていかなければならないと思います。一番大事なことは「やり続ける」という事。いかなる形になろうとも、それが映画祭自体の役わりだとも思います。」
A.是枝監督「映画祭は、その場所に行って、その街で、その街のおいしいご飯を食べるというのが目的の一つはあります。しかしその目的が叶わなかった場合、各映画祭のそれぞれの個性とは何なのかを考えると、“誰”が、“どのような”ラインナップを選ぶのか、という“作品セレクション”の部分が際立つんだと思いました。それぞれ競うわけではないですが、(今回のコロナを受けて)映画祭それぞれがどのような個性を持つのか、という事が大事なんだと思いました。TIFF に関して言えば、このような非常事態であるがゆえに、未来の TIFF の形を探れるような試みがあるのではと思っています。」
TOKYOプレミア2020 上映作品 全32作品
『アンダードッグ』(オープニング作品)監督:武 正晴
『オマールの父』監督:ロイ・クリスペル
『アフター・ラヴ』監督:アリーム・カーン
『アラヤ』監督:シー・モン [石梦]
『アップル』監督:フリストス・ニーコウ
『遺灰との旅』監督:マンゲーシュ・ジョーシー
『バイク泥棒』監督:マット・チェンバーズ
『カム・アンド・ゴー』監督:リム・カーワイ [林家威]
『ある職場』監督:舩橋 淳
『君は永遠にそいつらより若い』監督:吉野竜平
『ファン・ガール』監督:アントワネット・ハダオネ
『二月』監督:カメン・カレフ [Камен Калев]
『初仕事』監督:小山駿助
『赦し』監督:ジェム・オザイ
『私をくいとめて』監督:大九明子
『チャンケ:よそ者』監督:チャン・チーウェイ [張智瑋]
『最後の入浴』監督:デイヴィッド・ボヌヴィル
『蛾の光』監督:リャオ・チエカイ [廖捷凯]
『恋唄1980』監督:メイ・フォン [梅峰]
『Malu 夢路』監督:エドモンド・ヨウ [楊毅恆]
『皮膚を売った男』監督:カウテール・ベン・ハニア
『モラル・オーダー』監督:マリオ・バローゾ
『鈴木さん』監督:佐々木 想
『ノー・チョイス』監督:レザ・ドルミシャン
『兎たちの暴走』監督:シェン・ユー [申瑜]
『ポゼッサー』監督:ブランドン・クローネンバーグ
『佐々木、イン、マイマイン』監督:内山拓也
『スレート』監督:チョ・バルン [조바른]
『スウェット』監督:マグヌス・フォン・ホーン
『マリアの旅』監督:ダビッド・マルティン・デ・ロス・サントス
『ティティ』監督:アイダ・パナハンデ
『ゾッキ』監督:竹中直人、山田孝之、齊藤 工