9月12日に開幕した「第42回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」。
本日、映画祭のメインプログラムである自主映画のコペティション「PFFアワード2020」の表彰式が、会場の国立映画アーカイブにて行われ、最終審査員等により、各賞が発表されました。
480本の応募作品の中から一次審査、二次審査を経て17作品が入選し、本映画祭で各2回ずつ上映されました。

最終審査員:
大森立嗣(映画監督・俳優)、齊藤 工(俳優・映画監督)
樋口泰人(プロデューサー)、平松 麻(画家)、古厩智之(映画監督) 

画像: 最終審査員の一人、齊藤 工

最終審査員の一人、齊藤 工

以下受賞作品

グランプリ
『へんしんっ!』石田智哉監督
(22歳/東京都出身/上映時間:93分) 

画像: グランプリ 『へんしんっ!』石田智哉監督 (22歳/東京都出身/上映時間:93分)

石田智哉監督 受賞コメント

映画を作ることでしか表せない、吐き出せないことがあることを作品を撮りながら発見していきました。
ダンスやアートのシーンは、体がほぐれていくところを込めたいと思い最後のシーンをつくりました。周りの人たちも自分が監督すること表現することに葛藤や不安がありましたが、撮影はとても楽しく、自分らしい作品にすることができたと思います。ありがとうございました。

画像: 石田智哉監督

石田智哉監督

画像: 中央、石田智哉監督と、右、審査員の大森立嗣(映画監督・俳優)

中央、石田智哉監督と、右、審査員の大森立嗣(映画監督・俳優)

『へんしんっ!』
車椅子に乗った監督が、しょうがい者の表現活動の可能性を探ったドキュメンタリー。映画製作を通じて様々な人と関わりあう中で、多様な"違い"を発見してゆく。周囲の人を巻き込む、彼の映画の作り方にも注目。

監督・企画・編集:石田智哉

1997年生まれ、東京都出身。中学生の頃、自分に合った学習方法としてiPadを紹介され、映像制作に興味を持つ。立教大学入学後、映像制作系のゼミに所属し、ボランティアサークルではバリアフリー映画上映会を行う。本作が初監督作品。

準グランプリ
『屋根裏の巳已己(みいこ)』監督:寺西 涼 
(24歳/神奈川出身/上映時間:102分)  

画像: 準グランプリ 『屋根裏の巳已己(みいこ)』監督:寺西 涼 (24歳/神奈川出身/上映時間:102分)
画像: 左、寺西 涼監督と審査員の齊藤 工(俳優・映画監督)

左、寺西 涼監督と審査員の齊藤 工(俳優・映画監督)

審査員特別賞
『頭痛が痛い』監督:守田悠人
(22歳/愛知県出身/上映時間:131分) 

画像: 審査員特別賞 『頭痛が痛い』監督:守田悠人 (22歳/愛知県出身/上映時間:131分)
画像: 中央、守田悠人監督と左、審査員の平松 麻(画家)

中央、守田悠人監督と左、審査員の平松 麻(画家)

審査員特別賞
『MOTHERS』監督:関 麻衣子 
(22歳/東京都出身/上映時間:63分) 

画像: 審査員特別賞 『MOTHERS』監督:関 麻衣子 (22歳/東京都出身/上映時間:63分)
画像: 左より、関 麻衣子監督、審査員の樋口泰人(プロデューサー)

左より、関 麻衣子監督、審査員の樋口泰人(プロデューサー)

審査員特別賞
『未亡人』監督:野村陽介
 (23歳/埼玉県出身/上映時間:54分) 

画像: 審査員特別賞 『未亡人』監督:野村陽介 (23歳/埼玉県出身/上映時間:54分)
画像: 左より、野村陽介監督と審査員の古厩智之(映画監督)

左より、野村陽介監督と審査員の古厩智之(映画監督)

エンタテインメント賞(ホリプロ賞)
『こちら放送室よりトム少佐へ』監督:千阪拓也
(22歳/兵庫県出身/上映時間:10分)

画像: エンタテインメント賞(ホリプロ賞) 『こちら放送室よりトム少佐へ』監督:千阪拓也 (22歳/兵庫県出身/上映時間:10分)
画像: 中央、千阪拓也監督

中央、千阪拓也監督

映画ファン賞(ぴあニスト賞)
『LUGINSKY(ルギンスキー)』監督:haiena
 (42歳/東京都出身/上映時間:63分)

画像: 映画ファン賞(ぴあニスト賞) 『LUGINSKY(ルギンスキー)』監督:haiena (42歳/東京都出身/上映時間:63分)

中央、haiena監督

観客賞
『アスタースクールデイズ』監督:稲田百音
 (18歳/東京都出身/上映時間:38分)

画像: 観客賞 『アスタースクールデイズ』監督:稲田百音 (18歳/東京都出身/上映時間:38分)
画像: 中央、稲田百音監督

中央、稲田百音監督

26日、グランプリ・準グランプリ作品を国立映画アーカイブで上映!!

26日(土) 14時~ 準グランプリ受賞作品上映 『屋根裏の巳已己』(102分)
17時30分~ グランプリ受賞作品上映 『へんしんっ!』(93分)

「PFFアワード2020」入選作品17本を10/31(土)まで期間限定で配信!!

【配信プラットフォーム】
(1)DOKUSO
映画館(国内最大級のインディーズ映画配信サイト)
https://dokuso.co.jp/lp/pff2020

(2)uP!!!
(KDDI×ぴあによるエンタメサイト)
https://bit.ly/3jOrkhR
⇒auスマートパスプレミアム会員に加入すると全作品観放題!(au以外の方でも入会可)

単品購入も可。 

最終審査員5名による審査総評 (敬称略)

大森立嗣(映画監督・俳優)
僕は映画をつくる時、他者という分かり合えないものに対しどうやって向き合うか、観客、スタッフ、俳優といった他者たちとどうやって向き合っているかということを映画づくりの原点にしていて、そういう観点で映画を観てしまうところがあります。今回の作品たちを観ていて「死」という一番大きな分からないものに関する映画が多かった気がしました。わからないもの、自分と違うものに対して映画をつくっている。17作品のレベルの高さを感じました。

齊藤 工(俳優・映画監督)
今回審査員として関われたことが本当に楽しかったです。映画の見方は一人だと一つの見方、角度で見てしまうのですが、他の4名の審査員の方と一緒に作品と向きあう中で、個人的にもとても貴重な体験をさせていただきました。
映画の見方には「一目惚れ」と「徐々に発酵していく」パターンがあって、恋愛のようですが(笑)、準グランプリの「屋根裏の巳已己」は一目惚れでしたが、他の作品では、自分の中でどんどん何かが発酵していく感覚になる作品がありました。
全体を通して、皆さんの作品は巧妙だと感じました。それはスマホで撮影できたり、技術の進化や柔軟性がそう感じさせるのですが、その巧妙さに隠れて、実は、その人の人間性や、個性が隠れがち、探さないと見つからないくらい薄まっているのでは、と感じることがありました。
PFFは受賞できなかった方にとっても、一つの大いなるきっかけになると思うので、皆さんに持ち帰ってほしいと思います。次の座標に向かえる、皆さんにとってのきっかけになるからです。
私事ですが、気づけばセクシー俳優と言われ、それを受け入れて、自分の中になかった地点を頂いて。でも、そこからどうしていくかを自分は考えるきっかけになったと思うのです。皆さんも今日のこのきっかけを大切に、今後もフィルムメーカーとしての時間を楽しんでほしいと思います。

樋口泰人(プロデューサー)
ものすごく新しい体験をしたという気持ちでいっぱいです。ここ10年くらい、「若い人が映画を観ない」「スマホでしか映画を観ない」という話を聞いていましたが、俺らも小さいころはテレビで映画を観て好きになったりしていたな、と思っていました。その中で、こうして全作品まとめて観ると「映画」の位置づけが、若い人たちの間で俺らの考えている映画とは大きく変化していることに気づきました。自分の足元をものすごくちゃんと見ている。自分の目の前の人とどう向き合うか、今ここで思っていることをどう捉えるかというところにカメラを向けて映画を撮っていることがしっかり伝わってくる。映画というものが遠くにあって走っていくのではなく、自分の足元から何かをすると自然に映画になっていく。そんな映画作りの新しいやり方を、若い人たちが自分たちの関係性の中で作り上げてきたという印象を受けました。皆さん今の作り方を曲げないで、自分の足元から、目の前の人と一緒に、映画を作り続けていってほしいです。

平松 麻(画家)
審査をさせて頂いた1ヶ月間は、絵を描いて、映画を見て、という毎日でした。作品や他の4名の審査員の方と向き合う時間はこれまで経験したことがない、幸せな時間でした。
私は画家として、いつも他者とは関わらず、自分の内的世界に矢印を向けて創作しているのですが、今回のように皆さんが他者に向き合ってある姿が美しいと本当に感じました。
映画は「人」そのもの、なんだなと強く思います。映画には、絵画にない光、動く人、音、そういう表現方法がたくさん詰まっている芸術表現は、映画以外にないのではないか?と、とても羨ましく思っています。

古厩智之(映画監督)
審査会でも話したのですが、今回は独りぼっちで作っている作品が多く、コミュニケーションのある作品が少ないなと感じました。
映画はコミュニケーションがないと成立しないと思っていて、人と人がいて、そこで何かが投げ交わされないと全然面白くないんです。でも同時に映画はどこか不健全で、一人の手遊びとか独りぼっちの世界が必ず深部にあって、どっちもどっちなんです。それだからお互い苦しい。映画とはそんなものなんだなというのを作品を観ながら改めて思い出したりしました。

画像: 受賞者と審査員、プレゼンターが一堂に!

受賞者と審査員、プレゼンターが一堂に!

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