「おちゃのじかんにきたとら」など、シンプルで味わいのあるイラストで世界中の子供や大人も夢中にしてきた世界的絵本作家ジュディス・カー。惜しくも昨年2019年5月に95歳で亡くなった彼女が自身の少女時代の体験をもとに書き、話題を読んだ自伝的小説「ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ」を映画化した『When Hitler Stole Pink Rabbit』の邦題を『ヒトラーに盗られたうさぎ』として11月よりシネスイッチ銀座ほか全国で公開されることが決定した。
本作の監督は『名もなきアフリカの地で』(01)で第75回アカデミー賞(R)外国語映画賞を受賞したカロリーヌ・リンク。『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』『アナと雪の女王』『ジュマンジ・ネクストレベル』などハリウッド超大作がひしめく中、初登場4位を獲得。公開初日からわずか4日間で$1,769,687(約1.8億円)の興収を達成するなど大ヒットを記録した。
1933年2月。ベルリンに住む9歳のアンナは、兄のマックスや友人とともにカーニバルを楽しんでいた。しかし、同じ夜、クラシックのコンサートに行く準備をしていたはずの両親はなぜか出掛けないまま、深刻な顔で話し込んでいた。そして翌朝アンナは「家族でスイスに逃げる」と母から突然告げられる。実は、新聞やラジオでヒトラーへの痛烈な批判を展開していた辛口演劇批評家だった父はユダヤ人であったため“次の選挙でヒトラーが勝ったらヒトラー反対者への粛清が始まる”という忠告を受けており、選挙が近づきヒトラーの勝利が現実味を帯びてくるにつれ、身の危険を感じた父と母はヒトラーの弾圧から逃れるために密かに逃避行の準備を始めていたのだ。住み慣れた家を離れる際「持ち物は一つだけ」と母に告げられたアンナは、大好きな“ピンクのうさぎのぬいぐるみ”、そしてお手伝いさんのハインピー、食卓、書斎、ピアノ、台所…一つ一つに別れを告げる。そしてそれは、それまで何不自由なく暮らしていた彼女の平和な家族の風景が一変、この日を境に過酷な逃亡生活へと足を踏み入れていく始まりでもあった。
主役である9歳のアンナ役は1000人ものスカウトから見出された新人のリーヴァ・クリマロフスキが、どんなに過酷な状況に出会ってもまっすぐに前を向く少女を瑞々しい感性で演じきった。アンナの父はオリヴァー・マスッチ(『帰ってきたヒトラー』(15)でヒトラー役)が、母はカーラ・ジュリ(『ブレードランナー2049』(17))が。アンナとその家族を常に気に掛ける心優しいユリウスおじさんはユストゥス・フォン・ドホナーニ(『お名前はアドルフ?』(18))、そして、アンナの兄マックスはマリヌス・ホーマン(『はじめてのおもてなし』(16)が演じている。
監督:カロリーヌ・リンク(『名もなきアフリカの地で』)
脚本:カロリーヌ・リンク/アナ・ブリュッゲマン
出演:リーヴァ・クリマロフスキ、オリヴァー・マスッチ、カーラ・ジュリ
2019年/ドイツ/ドイツ語/カラー/スコープサイズ/5.1chステレオ/119分/原題:When Hitler Stole Pink Rabbit/映倫 G
配給:彩プロ
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