32歳で命を絶った”非正規歌人”萩原慎一郎による歌集「滑走路」の映画化が決定、2020年秋に全国公開となります。

いじめや非正規雇用など、自らの経験をテーマに短歌を発表し続けた萩原の初の歌集にして遺作となった「滑走路」。苦難の中、それでも生きる希望を歌った295首は、作者と同じように苦悩を抱える人へのエールとして、多くの共感を呼び話題に。 新聞やTVでも次々と取り上げられ、初版500部、自費出版がメインの歌集において、累計8刷30,500部と異例のヒットを記録した。

映画『滑走路』の脚本を手掛けたのは1月期の連続ドラマ「やめるときも、すこやかなるときも」が話題となり、劇場アニメ『ジョゼと虎と魚たち』の公開も控える桑村さや香。監督をつとめるのは『マチネの終わりに』を始めとした西谷弘監督作品や『シン・ゴジラ』など数多くの作品で名助監督として活躍する大庭功睦。若き俊英がタッグを組み歌集「滑走路」から着想を得てオリジナルストーリーとして脚本化。非正規、いじめ、過労、キャリア、自死、家族―現代を生きる若い世代が抱える不安や葛藤、それでもなお希望を求めてもがき生きる姿を鮮烈に描き出す。

主演には今年『喜劇 愛妻物語』の公開も控える水川あさみ
30代後半に差し掛かり、将来への不安を抱える切り絵作家の翠(みどり)を演じる。非正規雇用者の自殺問題に向き合いつつ、自らも過重労働に苛まれる厚生労働省の若手官僚・鷹野(たかの)役に浅香航大
幼馴染をかばったことでいじめの標的にされてしまう中学二年生の学級委員長役に寄川歌太
TVドラマで多数の出演実績を持つ実力派の俳優二人と期待の新星の競演が実現した。

画像: ©︎2020「滑走路」製作委員会

©︎2020「滑走路」製作委員会

現在、撮影を無事終え、編集作業を行っている本作。大庭監督は「桑村さんとの脚本作り、また、撮影の現場において常に心がけていたのは、萩原さんの『繊細な感受性、優しい眼差し』を失わないことです」と語る。映画化に際し、原作者・萩原慎一郎の両親は「慎一郎が空を飛ぶための翼になると願った三十一文字が、皆様の心に届きますように祈っております」、弟の萩原健也は「兄は文学史に名を刻んでゆくと僕は確信しています。映画となる今こそ、萩原慎一郎の真骨頂を見せる時です」とコメントを寄せている。現代社会で苦悩を抱えながらも懸命にもがき生きる人々の背中を押す人生賛歌、映画『滑走路』の続報にご期待ください。

<コメント>

■翠役/水川あさみ
萩原さんの短歌は読む人の心にそっと寄り添いながらも包み込み、心に響くエールをくれるなと思いました。 映画では、それぞれの人生が交差し行き交いながら葛藤し決断し立ち止まり、前に進む姿は誰しもの背中を押し てくれる作品になったのではないかと思っています。 沢山の現場を助監督としても経験されてきた大庭監督ならではの細やかな視点や発想力は、一緒にいて刺激的かつ面白い経験をさせてもらい感謝しています。 原作同様に、観ていただいた人の心に寄り添う作品になっていれば嬉しいなと願っています。

■鷹野役/浅香航大
多くの人がなにかと生きづらさをどこかで覚えるこの時代に、ささやかな希望を見出せる、止まり木の様な作品だと思いました。僕が演じた鷹野は、厚生労働省に勤める若手エリート官僚で、官僚の仕事は、想像を超える仕事量と情報量、責任感などに圧倒されましたが、鷹野の苦悩や葛藤を演じるうえで重要なピースとなりました。 撮影に入る前の打ち合わせから印象的に感じた大庭監督の熱量の高さと、キャスト・スタッフ共に高い緊張感のなか撮影を終えた今、仕上がりをとても楽しみにしています。

■学級委員長役/寄川歌太
大切なものを守ること、それを貫くことで自分が辛い状況になっていく。そこから逃れたいけれど、人を傷つけたくない。前を向いて歩いていくんだ。
この一つ一つの思いを大切に演じ、そして僕自身葛藤もしました。 その葛藤に大庭監督はいつも気づき寄り添って、僕の思いを丁寧に聞き出してくださいました。 全ての撮影を終え、役から自分自身に戻った瞬間、涙が止まりませんでした。 沢山の方に支えていただき、僕にとって大きな一歩となりました。是非観て感じていただきたいです。

■原作者ご家族 
ご両親
息子萩原慎一郎が苦難を乗り越え希望へと編んだ第一歌集『滑走路』をイメージした映画化に心から感謝します。 慎一郎が空を飛ぶための翼になると願った三十一文字が、皆様の心に届きますように祈っております。
弟・萩原健也
歌集「滑走路」は、いかなる逆境にも立ち向かい、努力を惜しまなかった1人の歌人が作り上げた作品です。兄は文学史に名を刻んでゆくと僕は確信しています。映画となる今こそ、萩原慎一郎の真骨頂を見せる時です。

■大庭監督
「非正規雇用の歌人が遺した歌集」という触れ込みをもって読んだ歌集「滑走路」でしたが、そういった触れ込 みには到底収まりきらない豊かな感情の機微が感じられ、それらの歌を綴った原作者・萩原さんの繊細な感受性、優しい眼差しに思いを馳せました。考案した企画の端緒となったのは、webに数多く書かれていた、原作読者の方々の書評でした。萩原さんの歌を、まるで自分自身の事が歌われたかのように感受した読者の方々が、自らを投影しつつ気持ちのこもったレビューを多数書かれているのを目にし、その深い交流に感銘を受け、「この読者の方々を登場人物に据えた群像として、ストーリーを紡げないか」と考えたのです。桑村さんとの脚本作り、また、撮影の現場において常に心がけていたのは、萩原さんの「繊細な感受性、優しい眼差し」を失わないことです。それらが読者の方々の共感を呼び起こした大元にあるのなら、オリジナルストーリーとして作られる映画も、その感受性、眼差しに寄り添いながら作られていく必要があります。何よりも、原作者の萩原さんと、そのご家族、そして、原作歌集を愛する読者の方々を失望させてしまうような映画にだけは絶対にしてはならないと考えていました。その思いを心強いスタッフ、キャストらと共有して映画作りに臨みました。皆さまに映画としてし っかりとお返し出来るような作品になればと思っております。

<STORY>
厚生労働省で働く若手官僚の鷹野は、激務の中で仕事への理想も失い無力な自分に思い悩んでいた。ある日、 陳情に来たNPO団体から非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリストを持ち込まれ追及を受けた鷹野は、 そのリストの中から自分と同じ25歳で自死した青年に関心を抱き、その死の理由を調べ始めるが──。

出演:水川あさみ、浅香航大、寄川歌太
監督:大庭功睦
脚本:桑村さや香
原作:「歌集 滑走路」(角川文化振興財団/KADOKAWA刊)
配給:KADOKAWA
©︎2020「滑走路」製作委員会

2020年秋 全国ロードショー

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