テレビCM、テレビドラマの監督としても活躍する宗野賢一監督の2019年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭ファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門正式出品作『フェイクプラスティックプラネット』が、アップリンク渋谷にて2月7日より公開が始まりました。

画像: 『フェイクプラスティックプラネット』
主演 山谷花純さんcinefilインタビュー

今作は、東京でネットカフェ暮らしをする貧困女性のシホが、自分と瓜二つの人間が25年前にいた事を知り、その真実を知ろうとした時に、今までの「自分」が崩れ落ちる・・・。 自分はいったい「誰」なのか? 運命のいたずらに立ち向かう主人公を描くサバイバルストーリーです。・
今回シネフィルでは。今作で、運命のいたずらに翻弄される主人公シホと、女優・星乃よう子の二役を演じマドリード国際映画祭2019で最優秀外国語映画主演女優賞に輝いた、山谷花純さんの単独インタビューを行いました。

『フェイクプラスティックプラネット』
主演 山谷花純インタビュー

画像1: ⒸKenichi Sono

ⒸKenichi Sono

「今まで結構大作とか色々出ていらっしゃいますけど、こういう形で、インディペンデントの作品に参加して、その印象からお聞かせてください。」

山谷「自主制作に関しては、より好きを追求してやる場所なんだろうなっていうイメージがあったんですよ。自分のやりたいことだったりっていう。本当の意味でやりたいことが具現化できるのが自主制作なんだろうなっていうのがイメージで。実際に現場に行ったらそうで。より物作りに対する思いが強い人たちと仕事できて感動しました。ある意味等身大でやらせてもらえた感じがしました。そういうのが多分自主制作の環境なのかな、とは思いますね。自由ですから、自分の中で制限決めてやるってことがある意味大変だったかな、とは思いますね。」

「今回シホという役を演じられましたけど、この役に対する率直に感じたイメージって何かありますか?役作りとかも拘ったりとかして」

山谷「心を閉ざしてしまって自分の殻に閉じこもってしまった女の子だなっていう印象があって、決して明るい子って言うイメージは何一つ持っていないんですが、そんな子の成長を演じられるのは凄い光栄だなって思いました。役作りもあんまりしなかったですね。映画なんであまり作りこんでいくのもあれなのかなーって。作品的にも私自身の本心と役の本心とで何か革命が起きたら面白いだろうなって。」

画像1: 山谷花純さん

山谷花純さん

「じゃあどっちかというと自然体というか元々自分の持っているものでって形ですか?」

山谷「そうですね。ちゃんとそこにいれたらいいな、っていう。だから現場で凄い意識したのはその場の空気だったりとか、風が吹いてるなとか。環境に順応することを意識しながら大事にしました。」

「今回一人二役やったじゃないですか。シホ役と星乃よう子役で演じ分けとかに工夫した点とかありますか?」

山谷「いや、CMのシーンしか星乃よう子のシーンはなかったので。よりアイドルっぽくというか、定番な王道っぽい感じでやってって言われたので。それはちょっと昔のCMっぽいような、アイドルがやってるようなCMっぽさを意識してやりましたね。あまり星乃よう子っていう役にスポットを当てて演じたりはしなかったですね。シホっていうフィルターを通して映し出されたのが星乃よう子が出てくるシーンでもあるので。あくまで客観的にシホがどう見てるのかっていうのを意識しながら演じましたね。」

画像2: ⒸKenichi Sono

ⒸKenichi Sono

シホは星乃よう子という存在に悩んでますけど、自分の出自とかに。もし山谷さんがシホと同じ立場だとしたらどういう風に思いますか?

山谷「似た人がいたら?うーん……。自分の今ある現状の、日常がどれほど満足したものかっていうか、裕福だったりとか環境が整ってるかってところでも変わってくると思うんで。私は本当の意味での孤独を知らないから……どう思うんだろう?」

ちょっと難しい部分がありますかね

山谷「でも例えば真冬の寒いところにいて、駅の改札入って、ちょっと個室みたいな部屋があったりとかしたら、入った瞬間笑顔になる感じなのかな?って私は思います。何か今までこんな寒かったとこから、暖かいところを見つけて嬉しくなる、安心するっていう気持ちと同じなのかなって思います。」

えっとつまり、ラストシーンのシホの気持ちってことですか?

山谷「いや違います。星乃よう子という存在を知ったときって、今まで一人で誰にも一緒に生きてなくて孤独な人が、ほんの一握りの希望を見つけた瞬間って何よりも大きなものに感じるのかなって。そういうイメージです。」

まあでもその希望が、に早々に打ち砕かれるじゃないですか?その後も、希望がどんどん離れていくというか

山谷「だからこそ、それを乗り越えた先にあるものを大事にして生きていこうというメッセージだと思うんですけど。」

ちなみに宗野監督とのお仕事は他のお仕事と比べてどうでしたか?

山谷「助監督さんをずっとやられてた方ですから現場を回すのが早いな、という印象はありましたね。他の現場でも助監督さんが回すことが多いので、的確な指示だったりセッティングの変え様だったりがすごく早いな、と思いました。」

画像2: 山谷花純さん

山谷花純さん

今回の作品は生まれ変わりがテーマとなっていますが、山谷さん自身は生まれ変わりの存在を信じたりしてますか?

山谷「生まれ変わりの存在ですか? 自分が誰かから生まれ変わって出てるってことですよね?どうなんですかね……。半々だと思いますね。信じてるか信じてないかだと。信じてない自分もいるし、そうだったら面白いなっていう自分もいるし、その間にいますね。逆にこういうことは思いますね。生まれ変わる前に、もしかしたら別の場所でこの人と会ってたのかもしれないな、って思う人と会った時とか、気の合う人と会った時とか。あとひょんなタイミングで重なったりするときに、自分が生まれてくる前の前世で同じ関りをその人としてたのかな? とは思ったりしますね。でも、記憶を持ち込んだまま生まれ変わりたくないかなって思いますね。全く無になって生まれ変わるのはいいけど。その時点で終わってるわけですからね。覚えてないんで。だから継続して生まれ変わるのは嫌ですね。」

画像3: ⒸKenichi Sono

ⒸKenichi Sono

『ヘンリー八世』

今やってる『ヘンリー八世』ではどういった役をやられているんですか?

山谷「ヘンリー八世が初めて離婚を成立させた王様なんですけど、そのヘンリー八世が離婚するきっかけとなった女の人、二番目の奥さんですね。生涯6人奥さんがいたみたいですけど。そのうちの初めて離婚するきっかけとなった女性で。英国夫人の中でも自分の意志というものが凄く強く、周りに流されない逞しい女性、嫌われる勇気を持った人だなと思いますね。」

ご自身で演じられてて結構魅力的だなって思ったり?

山谷「凄いかっこいいなって思いますね。ただ強いな、負けそうだなと毎回思いますね(笑)。役が強くて、その強さだったり感情に自分が追いついてない部分がまだあったりとかして。ただ劇場っていうパワーは何者にもならないほど大きくて。やっぱりお客さんがいて初めて成立するのが舞台ってものだと思うので。そのセットだったり劇場だったり、お客さんの空気だったりっていうのを力に変えながら、役を最後まで諦めないでシェイクスピアという世界とぶつかっていけたらなって思います。」

シェイクスピアは初めてだったんですか?

山谷「初めてです。読んだのも初めてでしたね。稽古が入る前に色々作品『ロミオとジュリエット』とか『ハムレット』とか『マクベス』とか『ジュリアスシーザー』とか読ませていただいたけど、やっぱり読んだときと演じるときって全然違うし、劇場で実際に舞台やってるときも見てる側とやってる側でこんなに違うんだってことにやっと気付けて。大変だなぁって。何かそれを長年やられてきている方が本当にたくさんいらっしゃって。それこそ自分の親より年上の人たちがたくさんいらっしゃるんですよ。だからその人たちと話すのも楽しいですね。」

『ヘンリー八世』は吉田鋼太郎さんが演出しますが、俳優さんの演出って本業の監督さんと比べてどうでしたか?

山谷「監督さんとかだと言葉で伝えることが全てであって。それをより伝わりやすくどう解釈されるのか? ということを一人一人言葉を選んで伝えてくれるのが、演出家さんのみをやられてる方で。そうじゃない鋼太郎さんの場合は自分でできちゃうわけだから、逆に言うと出ている人の誰よりも鋼太郎さんが全部やった方が上手いじゃないですか(笑)。だから演出のときも、鋼太郎さんが実際に台本片手に同じセリフを言って『こうやって』って体現して教えてくれるのが鋼太郎さんの演出の方法。できるかな?って思うときがあって(笑)。鋼太郎さんはできるけど、私も言ってることも分かるしやってることも目に見えて分かるけど、それを感情に乗せて体の動きと感情を成立させてやるには、ちょっと時間かかりましたね。やっぱり長年培った技術と1か月ってやっぱ違うのかなって思いましたね。」

表現者としての今後

ちょっと話変わりますが、『こういう俳優さんいいな』とか。先輩でもいいですけどそういうのあります? もしくは海外、国内を問わずに。

山谷「女優さんがいいですか?どちらでもというなら、エドワード・ノートンかな。あの人は目でちゃんと芝居してるから。目で人が変わるから好きですね。目の奥で光が消えたり灯火が灯ったり。よく有名になったら、その役者さんのイメージが先走って役柄というが後回しになることがあるけど、エドワード・ノートンに関しては役がちゃんと先に来るのが素敵だなって思います。」

映画、お芝居、テレビなどいろいろな場所がありますが。表現者としての今後は?

山谷「基本は自分がちゃんと楽しみながら芝居続けられたらいいなって思っています。満足することのない仕事だから---。分野分野では、ドラマだったらゴールデンタイムのレギュラーやりたいなとか。映画だったら東京国際映画祭に行ける作品に出たいな。舞台だったら今回シェイクスピアやって凄く大変だけど、いつか今できなかった自分に対して鼻で笑えるくらい、これくらいできるようになったよってやれるようになりたい。それは続けるしかない。何に対しても目標に達成するためには続けるしかないんだなって思って。だから変わらずにやってきたいです。」

近々の目標はなんですか?

山谷「今年春、絵馬に書いたのは『心に従う』だったんですよ。より自分の心に正直に着飾りきる?なんて言うんですかね? 常識をわきまえたうえで、それが我儘だったりとか抽象的な言葉で思われないような、自然体の姿で人と関わって物作りをしていけたらいいなって思います。」

では映画に、舞台もそうですけど、見てくれる方に向けて。まずは映画を見てくれる方に対してご自身からどうぞ

山谷「はい。映画というのは役者にとって人生のアルバムみたいなようなものなので、私が二十歳の時にもがいてた葛藤だったりとかは役を通してお芝居に刻むことができて。つまり生っぽさというんですかね。そこは今回の『フェイクプラスティックプラネット』で本当に宗野監督が綺麗に切り取っていただいたと思うんで、細かいところまでも見逃さずに楽しんでいただけたらなと思います。舞台の方は仕事始めた当初の自分に戻るというか、自分ってこんなに芝居下手だったんだな、ということを痛感して、また違った葛藤を乗り越えて幕が上がることになるので。その先輩方ともう一人私と同い年の初舞台の子がいるんですけど、若手とベテランの上手く混ざったシェイクスピアの作品の空気を楽しんでいただけたらなと思います。」

画像3: 山谷花純さん

山谷花純さん

山谷花純
1996年12月26日生まれ、宮城県出身。
2007年、エイベックス主催オーディションに合格し、12歳で女優デビュー。 映画『告白』『船を編む』『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』、ドラマ『ファーストクラス』などに出演。
2月公演の舞台『ヘンリー八世』に出演が決まっている。

(取材・秋風昴)

『フェイクプラスチックプラネット』

画像: 映画『フェイクプラスチックプラネット』予告編 youtu.be

映画『フェイクプラスチックプラネット』予告編

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ストーリー
東京でネットカフェ暮らしをする貧困女性のシホ。
ある日、街角で初対面の占い師に「あんた、25年前にも来たね」と言われる。
それはいったい誰だったのか?そのふとした疑問をきっかけに、彼女の「常識」が全て覆される事態に発展していき・・・
自分と瓜二つの人間が25年前にいた? その真実を知ろうとした時、今までの「自分」が崩れ落ちる・・・。 自分はいったい「誰」なのか? 運命のいたずらに立ち向かう主人公を描くサバイバルストーリー!

【監督・脚本】
宗野賢一

【キャスト】
山谷花純、市橋恵、越村友一、五味多恵子、長谷川摩耶、大森皇、右田隆志

マドリード国際映画祭2019で最優秀外国語映画主演女優賞受賞
ブエノスアイレス・ロホサングレ映画祭2019に正式出品

配給:株式会社アルミード

UPLINK渋谷ほか全国順次ロードショー中!

『ヘンリー八世』

画像: 彩の国シェイクスピア・シリーズ第35弾『ヘンリー八世』スポット映像(30秒) youtu.be

彩の国シェイクスピア・シリーズ第35弾『ヘンリー八世』スポット映像(30秒)

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ストーリー
英国王ヘンリー八世の宮殿では、ウルジー枢機卿が勢力を強めている。国王の寵愛を受けながら、出世のために策略をめぐらし高慢なウルジーは公爵たちの非難の的になっている。そんな中、学識高く才能をもつバッキンガム公が、ウルジーの陰謀によって裁判にかけられ、冤罪により死刑となった。ある晩、王はウルジー邸の晩餐会で王妃に仕える女官アン・ブリンに心奪われる。王は王妃キャサリンとの結婚を無効にしようと離婚裁判を起こすが、キャサリンは自身の敵であるウルジーが審判する裁判への出頭を拒否、ウルジーもまた自分の得にならない離婚裁判の延期を謀るが……

| W. シェイクスピア

翻訳 | 松岡和子

演出 | 吉田鋼太郎

阿部 寛、吉田鋼太郎、金子大地、宮本裕子、山谷花純、谷田 歩、河内大和

大石継太、間宮啓行、廣田高志、工藤俊作、櫻井章喜、塚本幸男、飯田邦博、二反田雅澄、
杉本凌士、水口てつ、佐々木誠、福田佑一郎、大河原啓介、鈴木彰紀※、長谷川祐之、
齋藤慎平、内田このみ、古庄美和、山田美波、坂田周子、沢海陽子、悠木つかさ
※さいたまネクスト・シアター

音楽・演奏:サミエル

2月14日(金)〜3月1日(日)彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

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