『選挙』『精神』『演劇』『港町』などの想田和弘監督最新作 『精神 0(読み:せいしんゼロ)』が【第 70 回ベルリン国際映画祭(2020 年 2 月ドイツ・ベルリンにて開催)・フォーラム部門】への正式招待、【ニューヨーク近代美術館(MoMA) Doc Fortnight2020(2020 年 2 月ニューヨークにて開催)】へのセンターピース(目玉作品)での正式招待も決定いたしました。
また、日本では 5 月上旬・渋谷シアター・イメージフォーラムを皮切りに全国順次公開いたします。

画像: 想田和弘監督 観察映画第 9 弾『精神 0』ベルリン国際映画祭正式招待並びに、NYのMOMAでの“Doc Fortnight”ではセンターピース作品として選出!

俳優・仲代達矢氏からのコメント到着!

素晴らしいドキュメンタリーでした。
愛おしく、やさしい気持ちになり、最後は泣きました。
『精神』からだいぶ時が流れたことも思い知らされ、人間は年をとるもんだし、人間はやっぱり穏やかでいることが何よりだ、と。資本主義に埋もれた感性に、少しでもこの慈しみが沁みれば良いなあ。――――仲代達矢(俳優)

画像: 俳優・仲代達矢氏からのコメント到着!

想田和弘監督 Statement

『精神』(観察映画第2弾、2008年)を撮り始めたとき、僕の興味は精神科診療所「こらーる岡山」に通う患者さんたちに向いていて、診察室で彼らの話を眠そうな顔で聞いている老医師には、 特別な注意を払っていなかった。しかし彼が患者さんたちから神か仏のように慕われ、絶大な信頼を得ていることを知るにつれ、この山本昌知という精神科医はいったい何者なのだろうと思い始めた。

山本医師の凄さを「発見」したのは、「精神」の編集を進める過程においてである。診察の様子を 繰り返し観察していると、彼が発する一つひとつの言葉や仕草に、治療的な戦略が隠されているこ とがわかる。そして彼のあらゆる行動が、静かで豊かな慈愛の情によって基礎づけられていること に気づかされる。僕はいつかこの類まれなる医師を主人公にしたドキュメンタリーを撮りたいもの だと、漠然と考え始めた。そうこうするうちに、10年が経ってしまった。

2018 年、山本医師が 3 月一杯で、82 歳でついに引退するとの報に接した。彼のドキュメンタリー を撮るならば、今すぐにカメラを回さなくてはならない。僕は『港町』の宣伝キャンペーンの合間 をぬって、新幹線で岡山へ通った。いつものことだが、どんな作品になるのか、かいもく見当もつ かなかった。制作過程は、僕が自分自身に課したルールである「観察映画の十戒」を忠実に実践する場となった。

撮りながらすぐに感じたのは、仕事中毒の山本医師にとって、精神医療は彼の人生そのものであったということである。仕事こそが山本昌知という人間を定義づけ、生きる意味をも規定しているように見えた。そして山本氏は、そのあまりにも重要な現場を、今まさに手放そうとしていた。

山本氏が、医師という地位や看板、役割や生きがいから離れ、一人の「人間」になったときに、どう生きていくのか。同じく仕事中毒の僕には、その点が興味津々だった。想像するだけで途方に暮れてしまうが、それは僕もいつかは通らなければならない道である。いや、何らかの仕事をする人間ならば必ず通ることになる、普遍的で過酷な道である。

そのような視点で山本氏を撮影していくうちに、もう一人の主人公が浮かび上がってきた。妻の芳子さんである。そしてこの映画は、山本昌知個人というよりも、夫婦についての作品になっていった。その結果、本作は期せずして「純愛」についての映画になったのではないかと思っている。
ー想田和弘

画像1: 想田和弘監督 Statement
画像2: 想田和弘監督 Statement

STORY
A Love Story.
82 歳。精神医療に捧げた人生。突然の引退。夫婦の純愛物語。
ベルリン国際映画祭をはじめ世界で絶賛された『精神』(08 年公開)の主人公である山本昌知医師が、82 歳にして突然引退を決意した。戸惑う患者たち、妻の芳子さんとの生活...。精神医療に捧げた人生のその後を、深い慈しみと尊敬の念をもって描き出す。

監督・製作・撮影・編集:想田和弘
製作:柏木規与子
製作会社:Laboratory X, Inc
配給:東風
2020 年/日本・アメリカ/128 分/カラー・モノクロ/DCP/英題:Zero

2020 年 5 月上旬より、
シアター・イメージフォーラム 他、全国順次ロードショー

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