『死神ターニャ』(第26回・東京国際映画祭 日本映画スプラッシュ)、『時時巡りエブリデイ』『ロード・オブ・ツリメラ』など独自の世界観の映画を創り続けている塩出太志監督の最新作『この世はありきたり』が2020年1月4日(土)から新宿K’s cinemaをはじめとする劇場で公開されることが決定となりました。
この度、シネフィルでは岡田あがさ作・演出による10年前の一人芝居『ワタシガタリ』を原案に、再構成して10年越しの映画化となった、塩出太志監督と主演の岡田あがささんに独占インタビュー
いたしました。
二人が出会ったきっかけ
(塩出)
14年前、僕が東京に出てきて、すぐの時、25歳くらいの時ですかね。
知り合いの劇を観に行ったときに岡田あがささんが出ていて、そのインパクトが強烈で。
劇終わった後に声をかけて「僕、映画撮っているんですけど、今度出ていただけませんか?」って。そこからの知り合いですかね。
お声かけてから短編1本、出ていただいたんですけど、その後、なかなかタイミングも合わずなかなか映画ではご一緒できなかったんですけど。
(岡田)
勝負作を撮ろうって(笑)声かけられて、その時にちょうどタイミングがよくて。
私、そのころ、ありがたいことに休みなく舞台ばかりやらせてもらっていて。
(塩出)
そうそう、それをずっと繰り返したいたらしくて。
(岡田)
それもなんとなく出方も決まってきていて、ある程度、ね。だから新しいことにチャレンジしてみたいなっていうときで、たまたま少しの期間、スケジュールが空いていたんです。
その時に偶然、監督から「勝負作だ」ってお声かけていただいて・・。
(塩出)
しかも死神の役(笑)
(岡田)
それが『死神ターニャ』です。
(塩出)
そこから、『ロード・オブ・ツリメラ』や『時時巡りエブリデイ』と立て続けに長編に出ていただいて。
『この世はありきたり』映画化のきっかけ
(岡田)
10年前くらいに一人芝居をしたんですけど、その時に塩出監督に記録映像を撮っていただいていて。
(塩出)
脚本・出演、岡田さんで。すごいインパクトでしたよね。狂気の芝居。
その時に漠然と、いつかこれを映画にできたらなあ、なんてことを考えていたんですけどね。
そこから少し時間が経ったんですけど、昨年、ちょうどいいタイミングがあって、岡田さんにお声かけたら、またまた岡田さんのタイミングが良くて。
(岡田)
そのころ、私ちょっと体調崩して、入院してたんですよ。
(塩出)
そうそう、実を言うと、岡田さんが入院しているって小耳にはさんで、あ、岡田さんスケジュール空いている、なんて(笑)
狙いすまして・・・
(岡田)
10年前の一人芝居を映画にしてみませんかって監督からお声かけていただいて、最初は嫌でしたね。昔の作品だし、恥ずかしいし・・・
(塩出)
岡田さんといろいろお話したりして。
難しいのは一人芝居なので、ファンタジーっぽくはしたくない、というところでしたかね。
(岡田)
あと・・・昔の自分が書いたものなので、嫌悪とかもあったりしましたね。
それも改稿しているうちに形になったり、撮影をしているうちに抜け出したり。
自分で書いて自分で演じる一人芝居って、これがはじめてなので。
塩出太志 監督について
(塩出)
いや、めちゃくちゃ映画創ってましたよ。昔。
映画祭に出しても出しても引っかかんなくて。
某映画祭はその時の応募作3作品(笑)だったらしいんですけど、そこにも落ちましたからね(笑)
人ってこんなに映画祭に落ちるんだって。
もうね、そのころの作品はやばいですよ。
(岡田)
めちゃくちゃとがってましたよね。
(塩出)
映画祭に行くこともなかったので、どんな作品が受けるのかも知らずに。
自分の創りたいものを創っていました。
今も変わらずですけどね。
自分の作風がポップだと思ってもいたんですけど、最近はそんなにポップでないと気付いて、少しブラックな部分もあるし。
(岡田)
ヒールな感じ(笑)
映画を観て、平和に帰ろうと思う人には向かない映画を創っているのかも(笑)
塩出監督は観客全員に媚びるわけではなく、「俺は好きに行くぜ」みたいな姿勢で作品を創っている感じですよね。
自身のスタイルを貫いて作品を創っている。
『この世はありきたり』の見どころ
(塩出)
「憑依型」の役者、岡田さんでなければ本作は成り立たなかったと思います。
本物の憑依、役に乗り移った時の感じが本当にすごいです。
ちょっとした遊びのシーンでも全力でやってくれるので・・・邪念もなく全力なので、そこが作品の魅力につながっていくんだろうなって思います。
とにかく、役に入った時の集中力、爆発力がすごいんですね、それが自分の作品にもとてもあうような気がします。
万人には受けなくても・・・観たことのない刺激的な前半20分についてきていただける方は絶対に作品を楽しんでいただけます。
(岡田)
事前の打合せでも、かなり攻めすぎているな、って話はしてましたよね。
不安はありましたけど。
今までの塩出作品とはがらっと違う感じではあると思います。
『この世はありきたり』予告編
『この世はありきたり』63分|日本|塩出太志監督