武侠映画を生み出し、その道を極めたとされる映画監督キン・フーとは?
中国・北京生まれ、香港へ渡り、美術スタッフを経て、18歳で俳優として香港映画界入り、映画『大酔侠』で武侠映画ブームを巻き起こす。武侠映画とは、日本でいえば、チャンバラ・アクション、現代風にいえば、ソード・アクションものを指す。
代表作『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』(1967)は、香港の興行収入の記録を打ち立て、『侠女』(1975)が第28回カンヌ国際映画祭の高等技術委員会グランプリを受賞する。
ダイナミックな様式美にまで高めた武侠ものというジャンルで映画産業を活性化させ、情感豊かなヒロイズムを描いた作風から”香港の黒澤明”と称されているが、日本では80年代の香港映画ブームが訪れるまではその存在を知られることはなかった。
1997年、65歳で他界。生涯に監督した作品本数は決して多くはなかったが、ブルース・リーが出演を熱望し、子役時代のジャッキー・チェンの才能を見出した。
巨匠ツイ・ハークを愛弟子に持ち、ウォン・カーワァイ、ホウ・シャオシェンなどキン・フーを敬愛する映画監督は枚挙にいとまがなく、アン・リーの世界的ヒット作『グリーン・ディスティニー』はその影響が色濃く、チャイ・ミンリャンにいたっては映画『楽日』で『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』を題材としている。
誰もが一度は武侠映画を撮りたいと願う、その思いのルーツを作り上げたのがこのキン・フーという伝説的な映画監督。滅多なことでは日本国内で公開されることのなかった2作品『空山霊雨』(1979)と3人の監督によるオムニバス映画『大輪廻』(1983)が、この度、東京フィルメックスで特別招待作品として、久しぶりに上映される。
特別招待作品 フィルメックス・クラシック
『空山霊雨』
Raining in the Mountain
台湾 / 1979 / 120分
監督:キン・フー (KING Hu)
明朝時代の中国の仏教寺院を舞台に三蔵法師の経典をめぐって繰り広げられる争奪戦を気品高いカンフー・アクションで描き、キン・フー作品の一つの到達点とも言われる傑作。「山中傳奇」と同時期に韓国で撮影された。デジタル修復版で上映。
上映時間:
11月23日(土)15:20~ 有楽町朝日ホール
11月26日(火)10:20~ 有楽町朝日ホール
© 1979 Lo & Hu Co-Production Ltd. / © 2018 Taiwan Film Institute. All rights reserved.
『大輪廻』
The Wheel of Life
台湾 / 1983 / 104分
監督:キン・フー、リー・シン、パイ・ジンルイ (King HU, LEE Hsing, PAI Ching-Jui)
明朝、民国初期、現代の3つの時代にわたり、輪廻転生によって繰り返される三角関係がもたらす悲恋を当時の台湾映画界の巨匠3人が映画化したオムニバス映画。キン・フーは滝を背景とするアクションが素晴らしい明朝編を担当。デジタル修復版で上映。
上映時間:
11月25日(月)18:50~ 有楽町朝日ホール
11月26日(火)13:00~ 有楽町朝日ホール
第 20 回 東京フィルメックス / TOKYO FILMeX 2019
期間:2019 年 11 月 23 日(土)~12 月 1 日(日)(全 9 日間)
会場:
【メイン会場】有楽町朝日ホール(有楽町マリオン)11/23(土)〜12/1(日)
【レイトショー会場】TOHOシネマズ 日比谷 11/23(土)〜12/1(日)
【併催事業:人材育成ワークショップ】
<Talents Tokyo 2019> 11/25(月)〜11/30(土) 有楽町朝日スクエア B