日本映画スプラッシュ部門
作品賞
『i -新聞記者ドキュメント-』
森達也監督コメント
「今年のスプラッシュ部門は、僕の作品もですけど「ドキュメンタリー」が存在感を示したと思っています。ドキュメンタリーはおもしろい。 メディアが閉塞状況にある中で、ドキュメンタリーが新たな領域を見せてくれる、そうした時代になってきていると思います。特にこの国は今、“空気”という目に見えないものが、いろんな機能を停止させている、言論の表現はかなり気まずい状況になってきている、 そうした中でこの作品が賞を取れた、この作品を推薦してくださったプログラミングディレクターの皆様の将来は危ないんじゃないか、 そう思います、自己責任ですね。僕自身は、ドキュメンタリーも、もちろん撮りますが、ドラマも撮ります。次回、数年後にはドラマでまたこの映画祭に来たいと思います。」
河村光庸プロデューサー『i-新聞記者ドキュメント-』コメント
「本当に取ると思わなくて森監督が大学の講義を入れてしまったので、代わりにプロデューサーから。20 年くらい日本では作られなかった話。この前に「新聞記者」という映画を撮っていて、ドラマとドキュメンタリー同時に撮っていた。海外で日本の映画が上映されますが、果たしてヨーロッパの人たちに日本ってどういう国なのか、どんな政治状況なのかが伝わる映画がない。本当に日本がどんな国なのか知られていない、というのが今作を製作することの原点。この数年で起きた出来事は政界が何度もひっくり返ってもおかしくないという事がメディアを含め知らせるものがない。まずは日本の人に国内で何が起きているのか伝えるものを作りたい。海外でいうと業界のために作られているような映画祭が注目されている、しかし本来はヨーロッパの田舎のどこでも映画祭がやられていて、そこで初めて日本の映画を観たりする。お客さんと向き合っている映画祭が多い。そういう点では、こういう政治的なテーマの映画をやることによって、東京の国際映画祭でどう評価されるのかと思い、出品した。」
主演・望月衣塑子(東京新聞)コメント
「東京新聞の望月です。15 日から上映映が始まる前に東京国際映画祭に出して頂き、しかもこのような賞を頂けて嬉しく光栄に思っています。ありがとうございました。」
「望月自身を撮って、今のメディアや社会の状況を描きたいというお話を聞いた時、凄い時代になっていまったなあと思いました。私みたいな記者は海外では当たり前なんですけど、私のような存在が浮いてしまって見えるという今の日本のメディアや社会全体の閉塞な状況を海外の人にも知るきっかけになったんじゃないかなと思っています。単に政治の責任でなく、この映画を見た人が、自分の中に問いかけるきっかけになって少しずつ社会が変わるような状況になるといいなと思います。」
監督賞
渡辺紘文監督『叫び声』
渡辺紘文監督コメント
「僕たちは、栃木県大田原市で小さな田舎町で自主製作映画をつくってきた団体です。家族で映画をつくってきた。隣にいるのは弟で音楽監督の渡辺雄司です。父親、母親、祖父はスタッフとして一丸となって映画を作っています。僕たちの大事なスタッフとして韓国人のカメラマンがいますが、現在帰国しております。もう10年間僕を信じて一緒に映画を作ってくれた彼にも感謝しています。叫び声は、102才の僕の祖母が出演している作品です。しかしこの8月に、僕の映画のすべてに出演してくれていたおばあちゃんを失いました。この賞は、おばあちゃんがいたからこそ取れた賞だと思います。天国にいる祖母に感謝したいと思います。僕たちは、映画をこれからも作り続けていきます。本当に皆さんありがとうございました。」
音楽監督・渡辺雄司コメント
「東京国際映画祭にはとても感謝しています。ありがとうございます。」
東京ジェムストーン賞
伊藤沙莉 日本映画スプラッシュ部門『タイトル、拒絶』
佐久間由衣 特別招待作品『“隠れビッチ”やってました。』
ヨセフィン・フリーダ コンペティション部門『ディスコ』
吉名莉瑠 日本映画スプラッシュ部門『テイクオーバーゾーン』
アメリカン航空アウォード大学対抗ショートフィルムコンテスト
奥井琢登(大阪芸術大学)『Down Zone』