山田孝之さんプロデュース映画『デイアンドナイト』とドキュメンタリー映画『TAKAYUKI YAMADA DOCUMENTARY「No Pain,No Gain」』。山田さんを中心とした気鋭のクリエイターたちが表現の本質を追い求める、志が重なった2作品。10/13(日)~25(金)アップリンク渋谷で2作品日替わり上映・トークイベントを好評開催中。
「山田がこういうことをやりたいって言ってるんですけど、いいですよね?」と会社や周囲を説得して、山田さんの様々な挑戦を支える日下マネージャー。山田さんのヘアメイクを20年担当している灯さん。表舞台にはほとんど出ないお二人が登壇。牧監督は、長年連れ添う二人しか知らない、貴重な話を引き出していく。
10月18日(金)『No Pain, No Gain』
牧有太(監督)×日下和明(山田孝之マネージャー)×灯(山田孝之ヘアメイク)
■――山田孝之さんとの出会い
【牧】灯さんは山田さんがデビューした16歳位からヘアメイクとして付いて19~20年、日下さんは山田さんがドラマ『白夜行』から13年。
【日下】灯さんは、大先輩です。
【牧】僕はまだ5年の関係で、ぺえぺえなんですけど。
作品ごとにヘアメイクさんがいるんですよね。
【灯】ドラマの時にはドラマのヘアメイクさんがいますし、映画の時は映画の方がいます。取材・舞台挨拶とかコマーシャル・テレビの時、山田さんが <山田孝之さん>として出演する時には私がほぼ担当させてもらっています。
【牧】ちょうど半分くらいですよね。
【灯】はい、だから『デイアンドナイト』の裏はほぼ知らないんですよ。帰ってくる山田さんを迎える側でした。秋田から帰ってきた時は衝撃でしたね。大変でめっちゃ乾燥してるなあ、何もケア出来てないんだろうなって。
山田さんは基本乾燥肌で、冬はカッサカサで来ます。多分お酒を飲んでチェイサーが足りないのと、シャワー好きなのは皆さんもご存知かも知れませんが…茶碗をお湯で洗うと手がカサカサになるじゃないですか。山田さんがシャワー浴びると、全身…つま先までそれみたいな。あと沢山お酒を飲むとスライムみたいになるので、私はそんな「妖怪」「妖怪のんべえ」を人に戻す、みたいな仕事です。
■――10代の山田はどうだったんですか?
【灯】全然喋らなかった。必要以外のことは全く喋らなかったです。中学生の時はよく喋る子だったって言ってますけどね。
【牧】「闇時代」ですか?
【灯】闇に入りつつあったんですかね…。
【牧】灯さんの思う、山田の大きな変化って何ですか?
【灯】3ブロック位に分かれると思ってます。日下さんの知らないツルツルの山田、だんだん毛が生えて来た山田、毛が伸びて闇に入って行く山田、今に続いていく覚醒していく山田。
【牧】なるほど、今は「覚醒状態」なんですね。どういう風に変わったんですか?
【灯】かっこいい大人になったって感じじゃないかな?
色々なことを諦めた大人じゃなくて、かっこいい大人だと思います。
【日下】20代後半から俳優以外の仕事が増えて、交友関係が広がってきて徐々に変わってきた。でも役者としてのスタンスは全く変わってないですね。役者が嫌いになったわけじゃなく、役者が好きだからこそ、後輩たちがやりやすい環境を作るために映画をプロデュースをして。俳優が好きだということは一切ブレてないと思います。
10月16日(水)『No Pain, No Gain』
牧有太(監督)×日下和明(山田孝之マネージャー)
■――山田さんの暗黒時代
【日下】最初に出会った『白夜行』の時は全く心を開いてくれなくて、挨拶以外の会話をしなかったですね。いつまでやっていけるのかなぁ…って思ってて。半年経って『手紙』という映画の時に突然でしたね。帰りの車の中で初めて1時間半くらい、悩み相談みたいに話して。
【牧】そこから関係性が動き出すわけですか?
【日下】そうですね徐々に…。
でもその後6、7年は「闇」だったんですよ。20代は、本当にこちらも辛かったです。
【牧】陽の当たらない部屋にずっと住んでいたと聞いたことがあるんですけど…。
【日下】最大の遮光カーテン。一番真っ黒な。
【牧】本当に闇の中にいた、っていう。
【日下】朝電話すると一応「はい」って起きるんですよ。でも迎えに行くと2度寝してて、電話しても出ないからピンポンを押したり。心配でしょうがないのが何年か続きました。
■――日下さんは大丈夫だったんですか?
【日下】僕もやっているうちに、負のオーラというか、闇の何かをもらい続けて。現場が終わって夜中1時、2時に山田を自宅前で降ろすわけですよ。その時にイライラしている自分がいる。もうダメだ、帰れないって思って、そこから高速に乗って厚木までワーッて叫びながら走って。厚木くらいまで行くと「よしっ」ってなるんですよ。
【牧】抱えていた想いが爆発したんですね。
【日下】ずっとずっと毎日そんな感じだから…何かピリピリしたものが...。仲が悪いわけじゃなく、何か言われたわけじゃないけど...本人が持ち出す鬱々としたオーラが...。
【牧】耐えきれずに高速を飛ばす…。
【日下】厚木までが40分くらいなんですけど、そこまで行くと気がおさまる。こっちもやられると思ってたから、寝る時間よりも発散する時間の方が大切だった。そういう時代が何年かありましたよ。
■――程よい距離感は意識されてるんですか?
【日下】あくまでビジネスパートナーとして向こうが意識してるんじゃないですかね。とはいえ家族以上に一緒にいる時間が長かったり、割り切れない。
【牧】好きですか?
【日下】好きです。
めちゃくちゃ優しい。優しいから甘えちゃいけない。ほとんどのことを許してくれる、そこに甘えちゃいけない。
【牧】でも、わがままじゃないですか?
【日下】わがままで優しい。だから感情の引っ張り合いになっちゃうんです。13年、好き嫌い、好き嫌いってその繰り返し。もう明日から来ねえぞ!って思っても次の日に行くと優しかったりする。結局やっぱり面白いな、好きだなって。
【牧】一番近い存在を楽しませ続けるってすごいですよね。
【日下】すごいと思います。本当飽きないですね。人として面白い存在じゃないですか。だから俳優だけをやっていればいいと考えず、やりたいように。
僕はそれをやるために上手く会社に言わないといけない。「山田がこういうことをやりたいって言ってるんですけど、いいですよね?」って。映画のプロデュースにしても、会社の上の人には「大丈夫か?」って言われるんですよ。そこを上手く説明しながら「大丈夫です」って。
■――山田さんに何かプレゼントをもらったことはありますか?
【日下】何か物をもらったことはないけど、経験をもらったと思っています。僕は誕生日も教えてないし、でもそれで良いと思っています。欲しいものも全くないし、そういう次元じゃないんです。
【牧】でも伊藤プロデューサーなんか鞄をもらったり...ね。
【日下】…伊藤プロデューサーって、最初に会った時はあまりにおどおどしてて、プロデューサーとして大丈夫かなって思ってたけど、付き合って行くうちに、あの人はそういう人間性が面白いなと思って。山田の周りって悪い人がいないんですよ。だから良い人だけが残っている感じがします。
【牧】みんなが空気感を共有していくんですかね。
【日程】10月13日(日)〜10月25日(金)(2作品日替わり上映)
詳細は劇場オンライン/劇場窓口にて
【会場】東京・アップリンク渋谷 〒150-0042東京都渋谷区宇田川町37-18トツネビル
https://shibuya.uplink.co.jp/
映画『デイアンドナイト』
善と悪はどこからやってくるのか。
父が自殺し、実家へ帰った明石幸次(阿部進之介)。父は大手企業の不正を内部告発したことで死に追いやられ、家族もまた、崩壊寸前であった。そんな明石に児童養護施設のオーナーを務める男、北村(安藤政信)が手を差し伸べる。孤児を父親同然に養う傍ら、「子供たちを生かすためなら犯罪をも厭わない。」という道徳観を持ち、正義と犯罪を共存させる北村に魅せられていく明石と、そんな明石を案じる児童養護施設で生活する少女・奈々(清原果耶)。しかし明石は次第に復讐心に駆られ、善悪の境を見失っていく——。
■出演/阿部進之介 安藤政信 清原果耶
小西真奈美 佐津川愛美 深水元基 藤本涼 笠松将 池端レイナ
山中崇 淵上泰史 渡辺裕之 室井滋 田中哲司
■企画・原案/阿部進之介
■脚本/藤井道人・小寺和久・山田孝之
■監督/藤井道人
■プロデューサー/山田孝之・伊藤主税・岩崎雅公
■制作プロダクション/and pictures inc.
■制作協力/プラスディー・BABEL LABEL
■配給/日活
©2019「デイアンドナイト」製作委員会
12 月 13 日(金) Blu-ray&DVD 発売
映画『TAKAYUKI YAMADA DOCUMENTARY「No Pain, No Gain」』
節目の30歳を迎えた2013年〜2019年まで、激動の5年=2045日に完全密着!
山田孝之が30歳を迎えた2013年から直近の2019年まで約5年間=2045日の長期に渡って、所属事務所スターダストのグループ会社SDPが主導となり完全密着。人生の節目を迎えた一人の男が、信念の元に絶えず挑戦を続け、懸命に生き、苦悩を繰り返しながら「人生を楽しもう」と必死にもがく、実直な山田孝之の姿が収められている。彼は一体、何を考え、感じ、どんな未来をみていたのか。山田孝之の5年間の全記録とともに、本心が垣間見えてくる。
■出演/山田孝之
■監督・撮影・編集/牧 有太
■制作/テレビマンユニオン
■企画・制作・配給/S・D・P
©2019・SDP/NPNG