暗闇の中にスポットが当てられ、目の前に広がるのは、斬首され鮮血が滴り落ちる巨人ゴリアテの頭部を持つ聖人ダヴィデ。
こんなにも残虐な場面を描いてもよいものでしょうか?
この画家にはモラルというものがないのでしょうか?
見る人誰もが衝撃を受けるこの作品を描いた画家の名は、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(Michelangelo Merisi da Caravaggio(1571- 1610)))。
カラヴァッジョ(Caravaggio)という通称で、知られるイタリア人画家で、 鋭い写実性と光と影の手法で一躍、脚光を浴びました。
神話や宗教画を題材にしたドラマティックな情景は、センセーションを巻き起こし、17世紀バロック絵画の創始者となりました。
このたび、イタリア芸術の至宝であり大変貴重な機会となる「カラヴァッジョ展」が、札幌の北海道立近代美術館を皮切りに、名古屋、大阪と国内3会場で開催されます。
38歳という若さで生涯を終えたカラヴァッジョの作品数は約60点強といわれ、大変稀少とされていますが、その中から《病めるバッカス》(札幌会場のみ)、《ゴリアテの首を持つダヴィデ》(名古屋会場のみ)、日本初公開を含む約10点が来日します。
また、カラヴァッジョに影響を受けた画家たちや、同時代の個性派画家の秀作なども多数展示されます。
札幌会場は好評を博し、現在開催中で、10 月14(月・祝)までとなっています。
是非、この機会に会場に足をお運びください。
では、シネフィル上で、代表的な作品を紹介致します。
※ 12 月 26 日(土)から 大阪・ あべのハルカ ス美術館で開催する「カラヴァッジョ展」につき まして、 展示予定とお 知らせしたカラヴァッジョ作「ホロフェルネス の首を斬るユディト」 は、イタリア側の手続き上の問題などにより展示できなくなりました。
公式ホームページ( http://m caravaggio.jp/ jp/)や 読売 新聞紙上にて 告知されています 。
シネフィル上でも紹介致しましたのに、誠に申し訳ございません。
ブドウの房を手に持った若いバッカス(ギリシャ神話の酒の神様)のモデルは、カラヴァッジョ自身です。
肌が土色で、「病める」とされたのではなく、画家のメランコリックな気質を表すものといわれています。
ミラノで画家の修行をし、ローマに出た、初期の頃の作品でしょう。
静物の描写は、完成度の高い写実性が見られる作品もありますが、この作品の石板の上にある果物の描写は、それほど迫真的ではありません。
天才の資質を持ったカラヴァッジョでしたが、生来の激しい気性のため暴力の末、殺人を犯してしまう犯罪者でもあったのです。
逃亡したカラヴァッジョが、その間も持ち歩いたのか、何枚か同じ絵を描いたのか、死の直前までも手放さなかったとされる作品が、この《法悦のマグダラのマリア》です。
17世紀に神と人との合一を表す、「法悦」というテーマが描かれるようになりましたが、カラヴァッジョはその先駆けとなったようです。
聖女の頬には涙の粒が光り、カラヴァッジョ自身の罪への後悔の念が描かれているようです。
カラヴァッジョ最期の作品。
巨人ゴリアテの斬られた首は、カラヴァッジョ自らの自画像となっています。
ゴリアテの首をはねたダヴィデの表情には、勝利の喜びは感じられず、苦悩が感じられます。
カラヴァッジョの罪の意識と懺悔、悔恨が感じられる作品です。
※展示予定とお 知らせしたカラヴァッジョ作「ホロフェルネス の首を斬るユディト」 は、イタリア側の手続き上の問題などにより展示できなくなりました。
誠に申し訳ございません。
ユダヤ人ユディトが、自国を救うため、敵国に乗り込んで、将軍ホロフェルネスの寝首を切り落とすという旧約聖書外典の一場面を描いたものです。
このテーマは、弱きものが悪に打ち勝つことの教えとして、よく扱われていましたが、カラヴァッジョのように惨殺の瞬間を生々しく描いたものは今までになく、衝撃的だったようです。
嫌悪の表情で斬りつけるユディト、驚愕と恐怖に怯えるホロフェルネス、それを凝視し冷静に見守る老婆、の三者それぞれが見事に描かれ、惨劇を目の当たりにしているかのような革新的な作品です。
ルネッサンス時代の3大画家、ミケランジェロ、ラファエロ、ダ・ビンチは、偉大で、遠近法などによって、写実性においても集大成がなされましたが、カラヴァッジョは、緻密な観察眼により、迫真の写実、強烈な明暗表現を可能にしました。
またその斬新な画風は、それまでの神話や宗教画の絵画表現を大きく改革するものでした。
彼の衝撃的な作品は、時空を超えてこれからも私たちを魅了し続けるでしょう。
天才的画家でありながら、犯罪者となり、波乱の人生を生きたカラヴァッジョ。
彼のドラマティックな生々しい惨劇を是非、ご堪能ください。
展覧会概要
《札幌展》
会場: 北海道立近代美術館(札幌市中央区北1条西17丁目 TEL 011-644-6882)
会期: 2019年8月10日(土)~10月14日(月・祝)
開館時間: 午前9時30分~午後5時(入場は午後4時30分まで)
休館日: 祝日を除く月曜日と8/13(火)、9/17(火)、9/24(火)
※8月と9月の金曜日は午後7時30分まで(入場は午後7時まで)
観覧料: 当日料金 団体/リピーター割引料金
一 般 1,600円 1,400円
高校・大学生 800円 600円
中学生 600円 400円
小学生以下無料(要保護者同伴)
※団体料金は、10人以上の料金です。
※リピーター割引料金は、道立美術館で開催された特別展の半券をご提示いただいた場合の料金(1枚につき1回限り有効)。
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害手帳をお持ちの方とその付き添いの方(1名まで)は無料(入館の際に証明できるものをご掲示ください)。
※近美コレクションとの共通券は一般1,900円、高大生850円(当日券のみ)。近美コレクションは中学生以下無料。
当日券販売所: 道新プレイガイド、展覧会公式ホームページ(オンラインチケット)、ローソンチケット(Lコード:12367)、セブンチケット(セブン-イレブン店内マルチコピー機、セブンチケットwebサイト)、チケットぴあ(Pコード:769-674)
主催: 北海道立近代美術館、北海道新聞社
後援: イタリア大使館、イタリア文化会館、北海道、札幌市、札幌市教育委員会、北海道PTA連合会、 北海道小学校長会、北海道中学校長会、北海道高等学校長協会、北海道私立中学高等学校協会、公益社団法人北海道私立専修学校各種学校連合会、北海道日伊協会
協賛: 野崎印刷紙業、医療法人さっぽろ脊椎外科クリニック、損保ジャパン日本興亜、
大和ハウス工業、トヨタ自動車
協力: アリタリア-イタリア航空、日本航空、日本通運、三本珈琲
特別協力: テレビ北海道
学術協力: メタモルフォジ財団
お問い合わせ: 北海道立近代美術館 TEL:011-644-6882
《名古屋展》
会場: 名古屋市美術館
会期: 2019年10月26日(土)~12月15日(日)
《大阪展》
会場: あべのハルカス美術館
会期: 2019年12月26日(木)~2020年2月16日(日)
巡回展情報詳細は、札幌展終了後、シネフィルに掲載させていただきます。
カラヴァッジョ展@札幌cinefil チケットプレゼント
下記の必要事項、をご記入の上、カラヴァッジョ展@札幌 cinefil チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効の、この招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。
☆応募先メールアドレス info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2019年9月22日 24:00 日曜日
記載内容
1、氏名
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
5、記事を読んでみたい監督、俳優名、アーティスト名
6、読んでみたい執筆者
7、連載で、面白いと思われるもの、通読されているものの、筆者名か連載タイトルを、
5つ以上ご記入下さい(複数回答可)
8、連載で、面白くないと思われるものの、筆者名か連載タイトルを、3つ以上ご記入下さい
(複数回答可)
9、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
10、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。
また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。