北極に位置する世界一大きな島グリーンランドを舞台にしたフランス映画『北の果ての小さな村で』が、現在シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国にて順次公開中です。
本作は、グリーンランド東部の人口80人の村の小学校に赴任したデンマーク人の新人教師が、村の人々や子供たちとの交流を通して、異境の地で生きる術を学び成長していく姿を描いた作品。主人公のアンダースをはじめ、村人や子供たち、猟師など、すべての登場人物を本人自身が演じ、独特のリアリティがあふれるドキュメンタリータッチのドラマとなっています。
日本の約6倍の面積をもつグリーンランドは、東京ドームの収容人数とほぼ同じ約56,000人が暮らす世界一大きな島。1953年にデ ンマークの一地方と同格の地位となるまで、1721年から200年以上にわたり植民地だったという歴史があります。1979**年に念願だった内政自治権を獲得し、現在も独立をめざして自立性を高めるグリーンランドと旧宗主国デンマークの関係性は、本作の重要な側面として描かれています。
そんな中、いま世界を騒がせているのが、トランプ米大統領による「グリーンランド購入」発言。先週、トランプ米大統領が米国によるグリーンランド買収に興味を示しているとウォールストリート・ジャーナルが報じたのをきっかけに、9月に予定していたトランプ米大統領のデンマーク訪問が中止になる事態にまで発展しています。大地の80%**以上が氷に覆われている“氷の島”グリーンランドの購入に、なぜトランプ米大統領が興味を示したのか、その真意は明らかになっていません。しかし、グリーンランドの地下にねむる石油や天然ガス、レア・アースなどの豊富な地下資源の存在が、世界各国から注目を浴びているのも事実です。
さらに、今夏、例年に比べ約14〜17°Cも気温が上昇し史上最高気温を記録したグリーンランドでは、氷床の融解が急激に進んでいます。そういった状況下でのトランプ米大統領の発言を受け、グリーンランドの地元住民からは反発の声が多数上がっています。この発言により、日本でもにわかに注目を集めた「グリーンランド」。地名自体は聞いたことがあるものの、一体どんな場所でどんな人々が暮らしているのか知らない人も多いのではないでしょうか。
現在全国順次公開中の『北の果ての小さな村で』は、大画面に映し出される一面の雪原やフィヨルド、氷山、オーロラといった美しい手つかずの大自然や、シロクマ親子、クジラの群れなどの野生動物が見どころの一つです。さらに、イヌイットの人々のありのままの暮らしがドキュメンタリーのように映し出されているのも、本人自身が演じる本作ならでは。
北海道大学北極域研究センター助教の高橋美野梨氏や、『極夜行』の著者である角幡唯介氏、そして犬ぞり北極探検家の山崎哲秀氏ら、グリーンランドを頻繁に訪れる専門家も太鼓判を押しています。
現在、東京・シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国にて順次公開中。8/30(金) からは、大阪シネ・リーブル梅田、8/31(土)から京都シネマほか、今後全国約30館にて公開が決定しています。
『北の果ての小さな村で』予告
<STORY>
グリーンランドの小さな村の小学校に、デンマークから新米教師アンダースが赴任した。言語の違いで授業はままならず、考え方の違いから村では孤立。そして過酷な自然...。ある日狩猟のために学校を休んだ児童の一人アサーの家を訪れたアンダースは、少年の祖父母から、しなやかに強く生きていく術を学ぶことになる...。
監督・撮影・脚本:サミュエル・コラルデ
脚本:カトリーヌ・パイエ
音楽:エルワン・シャンドン プロデューサー:グレゴワール・ドゥバイ
出演:アンダース・ヴィーデゴー、アサー・ボアセン、チニツキラーク村の 人々
2017年/フランス/グリーンランド語、デンマーク語/94分/カラー/5.1ch/1:2.39/原題:Une année polaire(英題:A POLAR YEAR)/字幕翻訳:伊勢田京子
配給:ザジフィルムズ
©2018 Geko Films and France 3 Cinema