7月8日より「CO2オンライン上映特集」がGAGAの配信サイト青山シアターにて期間限定で開催されています!
CO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)とは
大阪をターミナルにして、映画のリテラシーの活性化を目的に2004年よりスタートした組織。
インディペンデント映画への製作助成、国内外を問わず優れた作品の上映、関西圏で俳優や映画スタッフを志望する人々に実践ワークショップや製作参加の機会を斡旋。また、子供から大人まで参加できる映画ワークショップの開催や、旧作のアーカイブなど古いフィルムの収集などにも取り組むとともに、映画の基礎知識を学習する講座なども開催・運営している。
青山シアターでは、今までのCO2助成作品・ワークショップ作品のうち、厳選した作品を【期間限定】にて順次オンライン上映。
現在最終回となる第3弾が配信中。見応えのある作品ばかり。
貴重な機会をお見逃しなく!
<オンライン上映>
【第1弾】7/8(月)-7/21(日) 【第2弾】7/22(月)-8/4(日) 【第3弾】8/5(月)-8/18(日)
第3弾ラインナップ紹介!
8/5(月)~8/18(日)配信作品
CO2 オンライン上映作品
(単品700円(税込)/3日間、パック1800円(税込)/15日間
https://aoyama-theater.jp/feature/CO2_online
『誰もわかってくれない』監督:松本大志
第11回 CO2助成作品
監督:松本大志
1985年生まれ。成城大学卒業。映画美学校フィクションコース修了。演出部として万田邦敏監督『イヌミチ』、染谷将太監督『シミラーバットディファレント』などに参加。短編『NEVER TO PART』が第1回LOAD SHOWコンペティションに入選。
流されるままに婚約してしまった少女漫画家の塔子。担当編集者でもある婚約者・瑛志の実家へあいさつに行った帰り、二人は交通事故を起こしてしまう。塔子は事故を隠蔽しようとするがその中である少年と出会ってしまい……。
監督・脚本:松本大志
撮影:高嶋正人
照明:迫田遼亮
録音:杉本崇志
助監督:大久保愉伊
制作:鈴木英生
メイク:大河内ともみ/鹿糠蛍
衣裳:豊田香純
美術:鈴木知史
音楽:下社敦郎
編集:松本大志/野坂拓彰
CAST:
辻凪子/新倉ケンタ/泉翔竜/玉川佐知/橋本一郎/中川ゆかり/角村響/矢野昌幸/澤田由衣/奈良佳代子/若栗有吾
製作年: 2015年
製作国:日本
配信時間:70分
(C)松本大志
『螺旋銀河』監督:草野なつか
第10回 CO2助成作品
監督:草野なつか
1985年生まれ。神奈川県大和市出身。東海大学文学部文芸創作学科卒業後、映画美学校12期フィクションコースに入学。在籍中から自主映画制作に参加。2014年CO2助成作品『螺旋銀河』で長編映画監督デビュー。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭にてSKIPシティ・アワードと監督賞、第14回ニッポン・コネクションでは審査員賞を受賞。本作が初の劇場公開作品となる。
美人だが自分本位な性格で友だちのいない綾(石坂友里)は、OL勤めの傍らでシナリオ学校に通っている。ある日、綾の原稿が学校課題のラジオドラマに選ばれるが、今のシナリオでは不十分で共同執筆者を立てることが放送の条件だと講師に言われてしまう。負けず嫌いな綾は、会社で偶然言葉を交わした同僚・幸子(澁谷麻美)の地味でおとなしい性格に目をつけ、共同執筆者に仕立て上げようとする。華やかな綾に憧れ過剰に接近して行く幸子は、綾と同じような服装をして行きつけのカフェに突然現れ、さらにはラジオドラマのシナリオにも「役に立てれば……」と口を出すようになる。そんな幸子を鬱陶しく思う綾。そして二人のことを知る寛人(中村邦晃)の出現により困惑を深める綾と幸子の関係性は、シナリオ朗読によるラジオドラマの収録を通して、思いもよらぬクライマックスへとひた走る―。
監督:草野なつか
脚本:草野なつか/高橋知由
音楽:上野紘史
撮影:岡山佳弘
照明:田上直人
録音: 島津未来介
助監督:滝野弘仁/花山奈津
ヘアメイク:小野寺里紗
整音:黄永昌
編集:鈴尾啓太/草野なつか
制作:今田恭輔/徳元優太/佛木雅彦
統括プロデューサー:城内政芳
CAST:石坂友里/澁谷麻美/中村邦晃/恩地徹/石橋征太郎
製作年:2014年
製作国:日本
配信時間:73分
『都会の夢』監督:髙木駿一
第4回 CO2助成作品、CO2シネアスト優秀賞・CO2男優賞(チョップリン・小林幸太郎)受賞。
監督:髙木駿一
劇映画・個人映画とジャンルを問わず制作を続け、本作では大阪・東京、その後はドイツの映画祭『Asian Hot Shots Berlin』『ハンブルク日本映画祭』でも招待上映され、盛況を博した。近年は『変魚路』(2016)などの髙嶺剛監督作品で撮影・編集を務めている。監督としての近作は『椿、母に会いに』(2016)で、第11回大阪アジアン映画祭での上映後、大阪で劇場公開された。
冴えないカップルが下らない口げんかをしているバーガーショップ、その外では家出少女・久嶋留美がスリにカバンを奪われる。カバンを奪われて行く当ても無くさまよう久嶋は、どこか陰のある男・井草順平と出会い、二人はさしたる会話も無いままホテルに入る。いつもネットカフェで寝泊りしていると言い、嬉しそうに自分の母の写真を見せてくる井草の不器用な佇まいに、安らぎを得る久嶋。結局何もしないままに別れた二人だが、二人とも、お互いの存在が胸に引っかかるようになる。井草は久嶋を恋人のように勝手に思い込むが、連絡手段を持たない久嶋と再会する方法が無い。久嶋は無目的に街をふらつき、街の不良たちに襲われそうになったところをそのグループの下っ端である気弱な青年・菊池尚人に助けられる。
助け出しておきながら自分はグループに戻るべきか悩む優柔不断な菊池とも別れることになった久嶋は、いつしか井草を探して街をさまよい出す……。
コミュニケーションが一方通行な人々がすれ違い、都会には様々な夢の断片が浮かび上がっては消えていく――――――。
監督・脚本・編集:髙木駿一
撮影:谷康生
照明:熊谷宗洋
録音:浅井佑介
MA:木本幸弘
助監督:梅澤和寛/小谷忠典/原田冬馬
制作:真栄城 雄/三丸聡
制作進行:井上智江/村岡善輝
記録:木下雄介
グラフィックデザイン:三輪景子
ヘアメイク協力:中本由理
スチール:芝朋美
CAST:重実百合/小林幸太郎(チョップリン)/小林政善/山脇唯/DJ.KOJI/河村宏正/藤井美保/岬千鶴/古賀聖司/大庭高志/風太郎/西野恭之介(チョップリン)
製作年:2008年
製作国:日本
配信時間:86分
(C)2008 Shunichi Takagi
『にくめ、ハレルヤ!』監督:板倉善之
第2回 CO2助成作品
監督:板倉善之
熊切和嘉・山下敦弘・柴田剛・石井裕也など近年活躍目覚ましい監督を多数輩出する大阪芸術大学出身。本作は1995年に起きた阪神大震災が重要なテーマの一つとなっており、物語の設定は 震災から10年後が舞台となっている。CO2の企画選考会において阪神大震災をテーマとして扱うことが論議を呼んだが、震災の面影を探し求めるように浮遊するカメラワークは、それとせめぎ合うように街の音を録音する裕人が、少女・沙樹に妄執していく姿を生々しく捉え、選考委員のひとりであった黒沢清監督より高い評価を得る。その後、国内外の映画祭に参加し各地でも好評を博した。
僕らは何も知らないまま間違った10年を過ごしたのかもしれない。
10年前、阪神大震災で両親を亡くし、祖母とともに叔父の家に引取られた青年・裕人。しだいに震災の記憶もうすれ、平穏にくらしてきた裕人だったが、ある日、認知症が進行してきた祖母の口から、瓦礫の街の記憶、そこに<サキ>という妹がいたことが語られる。祖母の話した<サキ>という名前だけの妹は、裕人を再び震災と直面させることになる。そんなおり、街中で裕人と似た境遇の少女・沙樹と出会う。沙樹は自分の妹<サキ>ではないのか……。祖母の暗示のままに少女・沙樹を連れ出すと、 2人の逃避行が始まった。
監督・脚本・編集:板倉善之
助監督:伊月肇/剱妙子
撮影・照明:高木風太
撮影助手:高田真助
照明助手:星野あい
録音:松野泉
録音助手:余合祐加子
整音:東岳志
メイク:窪田弥生
メイク助手:竹岡美華
美術:内堀義之
美術助手:岡藤真依
衣装:奥井朗海
記録:園部典子
VFX:松浦勝一
音楽:桝井孝則/人工の夜
制作:桝井孝則/奥秀孝/葛原亜也子/塩川節子
ラインプロデューサー:城内政芳
CAST:苧坂淳/藤本七海/長綾美/デカルコ・マリィ/渡辺大介/平松実季/西村仁/谷口勝彦/森川法夫/木村文洋/絵沢萠子(特別出演)
製作年:2009年
製作国:日本
配信時間:75分
(C) 2009 思考ノ喇叭社
『続・映画列車 リュミエールかエジソン』監督:小出豊
第11回 CO2ワークショップ作品
監督:小出豊
1分作品監督:CO2ワークショップ「映画列車~1分映画を作ろう~」参加の皆さん
参加者に課せられたお題はワンカット、フィックス、サイレントで1分の物語映画を制作すること。映画生誕120年が経とうとしている今なお人は「感情」や「関係」をフィルムに定着できないでいる。そんな中、彼らはどのように映画を発見するのか。
監督:小出豊
1分作品監督:CO2ワークショップ「映画列車~1分映画を作ろう~」参加の皆さん
撮影:小出豊/大岸智博/横田蕗子
編集:小出豊
ワークショップ講師:富岡邦彦/高木駿一/金井塚悠香
CAST:
「第11回CO2特別ワークショップ・映画列車~1分映画を作ろう~」参加の皆さん
制作年:2015年
製作国:日本
配信時間:76分
ドキュメンタリー
(C) 2015 CINEASTES ORGANIZATION OSAKA
『螺旋銀河』草野なつか監督に聞く!
今回、シネフィルでは第三弾ラインナップより、今回配信される『螺旋銀河』の草野なつか監督に様々なことをお聞きしました!
『螺旋銀河』インタビュー
本作はどのような経緯で企画が立ち上がっていったのでしょうか?
もうかなり前のことなので詳細思い出せないのですが、たしか2013年7月にCO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)の企画に応募をし、9月に面接、そこから助成が決定したという流れでした。当初企画書に書いた内容は「他者に異常な執着をする女性が、その執着のあまり行動がエスカレート」し、「執着される側がシナリオを執筆しており自身の体験をシナリオに反映させていく」という内容だった気がします。そこから企画会議(その年の審査員だった小出豊監督、CO2事務局長の富岡さん、共同脚本の高橋知由くんを交え)を経てこのような内容になりました。
物語の主な舞台としてシナリオ講座とコインランドリーいう、まったく違う2つの舞台が出てきますが、二人の対照的な女性の関係性を描くのにこの2つを使用した、また結びつけていった意図・経緯等をお聞かせください。
シナリオ講座はもともとあった設定なのでそれを生かしただけです。
コインランドリーは、高橋くんとプロットを詰めていくなかで「キーになる場所が欲しいね」という話になりつつも決定打がなく(映画の内容と同様、屋上という案がまず最初に挙がりました。)、アイデアに詰まっていた時に2人でCO2事務局の近所のコンビニに行ったのですが、その途中にコインランドリーがあり、「コインランドリーがいいのではないか」と。本当に偶然です。発想の原点になったそのコインランドリーは、実際撮影でロケ地として使用させてもらいました。
高橋知由さんとの共同脚本ですが、どのような共同作業または分業で物語を作り上げていったのでしょうか?
プロットが出来上がった段階でもう時間が全くなかったのですが、私に長編脚本を書いた経験がなかったので、初稿は高橋くんが一人で書き上げてくれました。かなり速いスピードで。2稿目以降は事務局でパソコンを並べながら実際に声に出して読みながら修正し、打ち込んでいく、という作業でした。この直しの作業は主にセリフについて。最終稿が3稿だった気がします。時間がない中での作業でしたので、本当に高橋くんには助けられました。
物語と同じくらい「螺旋銀河」というものすごく魅力的なタイトルについても、生まれていった経緯が気になります。是非、教えてください。
もともとのタイトルは映画内のラジオドラマと同じく『Antonym』でした。編集中、提出する直前でタイトルは替えました。
実際に撮影を経たとき、描くべき重心が「対である2人」ではないと判断したからです。タイトルの意味についてはご想像にお任せします。
キャスティングはどのように進んでいったか教えて下さい。
幸子役の澁谷さんは企画応募の段階で決まってしました。
綾役の石坂さんは澁谷さんとあまり身長差がない人がいいなと思ったこと、また、多少キツイ言動をしても愛されるキャラクターが良いと思ったのでぴったりだなと。
周りの主なキャラクターも二人とのバランスを重視しつつ、といった感じです。
「螺旋銀河」は二人の対照的な女性の物語ですが、美人で自分勝手な綾が、地味で大人しい幸子を利用しようとして、という物語の導入は、最初は幸子の目線が物語の主軸になるのかなと思わせます。しかし、物語が進むにつれ、むしろ綾に感情移入しやすくなっていきました。その辺りのバランスは意図されているのでしょうか?
私は全く考えていませんでした。おそらく高橋くんがその点に意図的だったからそういったシナリオになったのかと。
ただ、キャスティングのときから綾については「言動はキツくてもどこか愛されるキャラクターの子」というのは一貫してありました。どちらのこともお客さんから好きになって欲しかったので。それは影響しているのかもしれません。
無意識な発言、服を真似したり、極めつけは助手席(!)等、幸子の数々の言動が綾を苛立たせていきます。なかなか人を怒らせる天才じゃないかなと思わせますが(笑)、幸子のキャラクターを作り上げていった話をお聞かせください。
幸子役は、企画応募当初から澁谷麻美さんに決めていたので完全にあて描きです。ただ、普段から彼女があのようなキャラクターというわけではなく(実際はとても快活な女性です。)、彼女が普段見せる面白い動作やリアクションなどを誇張して一人のキャラクターを作り上げた、という感じでしょうか。
一方、綾も、シナリオ学校に通い、自分のやりたい道をめざしている等、ただ美人でちやほやされてきただけの女性ではないですよね。綾のキャラクター作りについても教えてください。劇中では描いていない設定も数多くあるのでしょうか?
劇中では描いていない設定ももちろんあるでしょうがあまり覚えていません。(すみません…。なんでもすぐ忘れるんです。)
ただ、「何もないのが羨ましいの?」というセリフに象徴されるように、その容姿とは裏腹に、なにか、取り返しのつかないコンプレックスを抱えている女性だとは思いますね。その辺りが感情移入しやすくなった、という点にもつながるのではないかと。
終盤のラジオ収録のシーンはかなり印象的で、それまでとは一気に違う世界になりますが、こちらのシーンの演出についてお聞かせください。
このシーンを撮ることが私の一番の目的でした。このシーンに向かって走って行ったというか。でも、初めての長編でとにかく右も左もわからない状態だったので、実際演出では何をやったのかさっぱり覚えていません。何もできていないかもしれません。
劇中の現実世界(ラジオブース)からさらに別の、どこなのかわからない抽象的な場所へ飛んで行く、というのは企画段階のかなり最初の段階からやりたかったことでした。経験のない私にはあまりにリスキーだという意見もあったのですが(ラジオドラマ自体を劇中劇にした方が良いのでは?という意見もありました。)、なんとか撮ることができて本当に良かった、その反面、一番やりたかったシーンだからこそ反省もたくさん残っています。
ドイツのニッポンコネクションでも上映され、見事審査員賞を受賞されていますが、現地での反応はどうでしたか?国内と海外での上映時の反応の違いはありましたでしょうか?
あまり覚えていません。すみません。好意的なご感想が多かったのは憶えていますが。
影響を受けたものを教えてください。文学、映画、その他ジャンルは問いません。
あまりに多すぎて挙げきれません。
新作「王国(あるいはその家について)」についてお聞かせください。どのような作品でしょうか?今後の展開予定も教えてください。
一本の長編シナリオがベースとしてあり、役者がひたすらリハーサルを繰り返していく、そのなかで身体が役を獲得していく過程を捉えた作品です。脚本は『螺旋銀河』と同じく高橋知由くんです。10月に開催される山形国際ドキュメンタリー映画祭2019にて上映されます。
最後に、今回の期間限定オンライン上映についてコメントをお願いします。
『螺旋銀河』ですが、最近はなかなか上映の機会もなかったので、またこうして観ていただく機会を作れたこと、本当に嬉しいです。ありがとうございます。
今回は2週間限定ですが、また機会があれば配信できると嬉しいです。
映画『螺旋銀河』予告編
草野なつか
1985年生まれ、神奈川県出身。東海大学文学部文芸創作学科卒業、映画美学校 12期フィクション・コース修了。2014年『螺旋銀河』(第10回CO2助成作品)で長編映画を初監督。同作品で第11回 SKIPシティ国際Dシネマ映画祭にて SKIPシティアワードと監督賞を受賞、ユーロスペースを皮切りに劇場公開。長編2作目である『王国(あるいはその家について)』は2019年ロッテルダム国際映画祭や第11回恵比寿映像祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭などで上映される。
<企画概要>
企画名:CO2オンライン上映特集
上映作品:「都会の夢」他、CO2助成作品 下記15作品を予定
販売期間:第一弾 7/8(月)~7/21(日)5作品
第二弾 7/22(月)~8/4(日)5作品
第三弾 8/5(月)~8/18(日)5作品