「私は慰安婦ではない----」
中国人女性のことばに耳を傾け、寄り添い、支え、記録を続けた20年。
「慰安婦」という言葉からは想像できない過酷な人生がそこにあった。
『チョンおばさんのクニ』(2000年)、『ガイサンシーとその姉妹たち』(2007年)の班忠義監督最新作『太陽がほしい劇場版』の劇場公開が決定しました。
20年にわたり、中国人女性に対する戦時性暴力の被害を記録し、被害女性への生活支援を続けてきた班監督が、歴史修正主義の台頭をはじめとした、「慰安婦問題」に関する日本社会の変化を肌で感
じ、本作の製作を決意しました。
2014年、企画に賛同した750人もの支援者と共に動き出した映画は、支援者向けの上映と編集を幾度となく重ね、5年の歳月をかけて<劇場版>として遂に完成。
海外の映画祭で最高賞を受賞するなど、高い評価を集めています。
現在、大ヒット公開中のドキュメンタリー映画「主戦場」が描く「慰安婦問題」から抜け落ちてしまう被害女性たちの存在と証言を記録し、その尊厳に光をあてた貴重なドキュメンタリーです。
班忠義監督が発表したコメント
留学先の日本でこの歴史問題に触れた私は、毎年被害女性の元を訪ね、証言や事実関係の調査・検証をしてきました。
24年にわたって活動を続けられたのは、日本の支援者の方々のおかげです。
今日、日本社会で「慰安婦問題」というと韓国女性を対象とした強制性の有無が議論の中心となっていますが、このような問題の矮小化は日本と中国、東南アジアの国々にとって、不幸な歴史をより不幸にさせるものだと思います。
中国人被害女性たちは「私は慰安婦ではない」と長年訴えていますが、実際、彼女たちの被害は日本で語られる「慰安婦」の実態とかけ離れています。彼女たちのほとんどは家から強制連行され、普通の農家に監禁、外から施錠をされ、用を足す時にだけ、門番の監視のもと外に出ることができました。「太陽が欲しい」という映画のタイトルは、当時の彼女たちが発した心からの叫びです。
映画の中で証言してくれた被害女性たちはすでに亡くなっています。生前、彼女たちが力を絞って私に託してくれた証言と、そこで示された事実を映画として広く日本社会に公開することは、長年、聞
き取り調査や生活支援に関わってきた私が果たすべき責任だと思っています。
本作の公開を通して、今を生きる日本の人々によって、被害彼女たちの歩んだ人生に慈愛に満ちたあたたかな光が当てられることを願っています。
ー監督・撮影 班忠義(はん・忠義)
ドキュメンタリー『太陽がほしい劇場版』予告
監督・撮影 班忠義
ナレーション 有馬理恵
編集 秦岳志
整音 小川武
音楽 WAYKIS
出演 万愛花、尹林香、尹玉林、高銀娥、劉面換、郭喜翠、鈴木義雄、金
子安次、近藤一、松本栄好、山本泉 など
製作 彩虹プロダクション
後援 ドキュメンタリー映画舎「人間の手」、中国人元「慰安婦」を支援する会
宣伝デザイン:直井恵
配給・宣伝 「太陽がほしい」を広める会
2018年/中国・日本/108分/BD/ドキュメンタリー