カンヌ国際映画祭パルムドール受賞の『秘密と嘘』や『ヴェラ・ドレイク』などで、アカデミー賞に7度ノミネートのイギリスの名匠、マイク・リー監督の最高傑作と呼び声も高い最新作『ピータールー マンチェスターの悲劇』は、2019年8月9日(金)TOHOシネマズシャンテ他全国順次公開となります。

リー監督が、監督生命のすべてを賭けて、1819年に起きた英国史上最も悪名高き事件 “ピータールーの虐殺”を描いた本作。

選挙権を求める民衆6万人の平和的なデモに、あろうことか騎兵隊と武装した軍隊が突進し多数の死者を出した恐ろしい事件を、200年の時を経て、その全貌を明かす歴史一大絵巻だ。

観る者は、この史実の渦中に投げ込まれ、その目撃者となる。そして、知るだろう。現在の世界に蔓延している問題と、あまりにも通じることに──。

わずか2時間程度でメディアが伝えない世界の様々な現実に触れられ、気づきを与えてくれるのは映画の大きな魅力のひとつ。
そこで、激動の時代にある世界や日本の“今”“真実”が伝わる、この夏観るべき<社会派映画>をまとめてピックアップしてご紹介いたします!

画像: ビジュアル左から:『新聞記者』©2019『新聞記者』フィルムパートナーズ/『ピータールー マンチェスターの悲劇』© Amazon Content Services LLC, Film4 a division of Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2018./『存在のない子供たち』©2018MoozFilms/©Fares Sokhon

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名匠マイク・リー監督が最新作に選んだのが、現代民主主義の原点ともいえる悲劇の物語を描く『ピータールー マンチェスターの悲劇』

画像: © Amazon Content Services LLC, Film4 a division of Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2018.

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ナポレオン戦争後の英国。経済状況の悪化により労働者階級の人々は職を失い、貧しさにあえいでいた。彼らに選挙権はなく、あちこちで不満が爆発し、抗議活動が頻発していた。そして1819年8月16日、マンチェスターのセント・ピーターズ広場で民主化を求める民衆6万人による大規模な平和的デモが行われる。そこへ、武装した政府軍が“丸腰”の民衆に向けて突入していく――。この悲劇はイギリス有力紙であるガーディアン紙の創刊のきっかけとなり、同紙のWEBサイトでは<ピータールーをきっかけとして>(In the wake of Peterloo)という見出しとともに同紙の激動の歴史も紹介されている。

長くこの史実を知らなかったというリー監督は、この事件に関する本を初めて読んだ際、「この事件は現代につながっている。誰かがこの事件を映画化するべきだ」と“英国史の暗部”ともいえるこの出来事を映画として残すことを決意。舞台こそ今から200年前の物語だが、リー監督は「製作を決定してから、今に至る2019年までの5年間で色々な事件が起きた。私のいるイギリスではブレグジット(イギリスのEU離脱)があり、香港デモで民衆が抑圧されたり、世界中で正気の沙汰ではないことが起こっている。この映画が描くのは、今と何も変わらない民主主義についての物語なんだ。
」とこの物語が持つ“現代性”を力説。歴史家とともに徹底的なリサーチを重ねて脚本を執筆したリー監督は、この悲劇の物語を3台のカメラとオールロケにより圧巻の大スペクタクルとして撮影。6万人の生と死を壮大、かつ壮麗な交響曲にまとめあげ、映画としてのクオリティと社会性を見事に両立させ、本作は第75回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門でHuman Rights Film Network Awardを受賞した。

(2019年8月9日(金)TOHOシネマズシャンテ他全国順次公開)

裁判を起こし両親を訴えた12歳の少年ゼインの姿を通じて中東の貧困や移民などの問題を描く衝撃作『存在のない子供たち』

画像: ©2018MoozFilms/©Fares Sokhon

©2018MoozFilms/©Fares Sokhon

過酷な現実を生きる子供たちの姿に心を揺さぶられる奇跡の物語。裁判長から「何の罪で?」と聞かれたゼインは、まっすぐ前を見つめて「僕を生んだこと」と答える―― ゼインが求めているもの、それは全ての子供たちにあるはずの“愛される権利”。中東のスラムという日本からは地理的・心理的にはるか遠い地域を舞台にしながら、その権利を手にするまでの長い旅路を描く少年の成長物語という普遍性が観る者に魂の共感をもたらしてくれる。

苛烈なまでの中東の貧困と移民の問題に一歩もひるむことなく果敢に挑んだのは、レバノン出身のナディーン・ラバキー監督。
監督自身が貧困地域、拘置所、少年刑務所を訪ね、そこで目撃したことや経験したことを盛り込みフィクションとして制作されたが、ゼイン役を含め、演じる役柄と似た境遇の人々がキャスティングされ自分自身を生きてもらうという演出がとられている。

本作は、第71回カンヌ国際映画祭でコンペティション部門審査員賞・エキュメニカル審査員賞の2冠、第91回アカデミー賞で外国語映画賞にノミネートされるなど、世界的にも高い評価を受けている。

(7月20日(土)よりシネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国公開)

一方、日本映画としては初めて、現在進行中の社会問題に切り込み、公開直後から話題になり大ヒット上映中のこの作品。

東京新聞・望月衣塑子記者によるベストセラーを原案にした、権力とメディアの裏側を描くサスペンス・エンタテインメント『新聞記者』

画像: ©2019『新聞記者』フィルムパートナーズ

©2019『新聞記者』フィルムパートナーズ

ある日、とある新聞社会部の若手記者・吉岡のもとに大学新設に関する極秘文書が届く。許認可先の内閣府を洗い始めた吉岡はキーパーソンの存在に気付くが、その矢先、その人物が投身自殺。一方、内閣情報調査室に勤める杉原は、キャリア官僚でありながら政権を守るためという名目で、情報操作やマスコミ工作の任務にあたる日々だったが、慕っていた先輩の死をきっかけに、官邸が強引に進める驚愕の計画を知ることになる。それぞれのキャリアと全人生を賭けた、二人の選択とは――!?

同調圧力に満ち、フェイクニュースが社会を揺さぶり、報道の価値が厳しく問われるメディアの激動期のまさに“たった今”、さまざまな社会問題にダイレクトにリンクする、近年の日本映画が避けてきたタブーの領域に大きく踏み込んだ注目作だ。

(新宿ピカデリー、イオンシネマほかにて全国公開中)だ。

この夏、是非これらの社会派映画を通して、世界と日本の社会情勢について、今一度思いを馳せてみてはいかがだろうか?

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