9月28日(土)より新宿K’s cinema他で順次公開される台湾映画『バオバオ フツウの家族』の予告編が公開されました。
5月にアジアで初めて同性婚が認められた台湾から届いた本作は、2組の同性カップル4人が協力して、「赤ちゃんが欲しい!」と妊活をし、家族になる物語です。
新人監督の登竜門として台湾で一番大きな脚本賞「徴選優良電影脚本奨」で、優秀脚本賞優秀賞を受賞し、プロデューサーの目に止まり映画化された本作。
過去この脚本賞からは、今の台湾映画界を担う魏徳聖(ウェイ・ダーション)(『KANO 1931海の向こうの甲子園』)、林書宇(トム・リン)(『百日告別』)、楊雅喆(ヤン・ヤーチェ)(『GF*BF』)ほか、多くの監督と脚本家が出ています。
台湾では80年代の民主化に伴い、LGBT運動も90年代に萌芽の時を迎え、2003年に台北でLGBTパレードが始まりました。2010年には第ニの都市高雄で、2011年からは新竹、屏東、台中、花蓮等各地にこの運動が広まりました。映画では1992年の蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督作品『青春神話』あたりからLGBTをテーマにした作品が市民権を得て、1993年にアン・リー監督『ウェディング・バンケット』で花開きます。その後、『藍色夏恋』『僕の恋、彼の秘密』『花蓮の夏』『GF*BF』など、特に青春映画にて秀作が続きました。しかし本作は、同性を愛することに逡巡して悩める高校生を中心とした若者たちの姿ではなく、すでにそのステップを超え、社会の軋轢や、理解することが難しい親たちとの確執と対峙する深い人間ドラマになっています。
今回公開された予告編には、ジョアンとシンディ、チャールズとティムという、ロンドンでの2組の同性カップルの幸せな日々、家族を持つことの葛藤、4人が妊活を思いつき実行する姿が映し出されます。しかし体外受精で無事妊娠したシンディは、身重で1人、台北の空港に降り立ちます。なぜ彼女は一人で戻って来たのか!?
ロンドン生活の経験者であるシエ・グアンチェン(謝光誠)監督は、この映画を最初はロード・ムービーにしようと思っていたそうです。ロンドンで子供を授かった女性と様々な人との出会いを、映像と音楽で心模様の広がりを描きたかったという考え方が、冒頭の車窓の風景が流れているカットに反映されています。
また、予告編のラストに流れる台湾のインディーズバンドFLUXの「東京大夜逃」の中の「I try to find somewhere I could call home(故郷と呼べるどこかを見つけたい)」という歌詞が、4人の心情と重なり合います。
繊細な心を持つシンディを演じるのは、日本とフランスのハーフで、本格的な演技は初めてのエミー・レイズ(雷艾美)。ジョアンを演じるのは、台湾版「花より男子」の「流星花園」等、アイドルドラマからアート映画まで国内外でキャリアを積んでいるベテラン、クー・ファンルー(柯奐如)。
チャールズを演じるのは、台湾で活躍する日本人の蔭山征彦。香港電影評論学會の脚本賞を受賞した『念念』(2015年/東京フィルメックスにて上映)の脚本、映画音楽、『KANO 1931~海の向こうの甲子園』では出演の他に若手の演技指導など、マルチな才能を発揮しています。ティム役は、蔡力允(ダニエル・ツァイ)。豊富な経験から幅の広さで印象深い学者像を作り上げています。
監督は、本作が長編映画監督デビューとなるシエ・グアンチェン(謝光誠)。
本作は、9月28日(土)より新宿K’s cinema他にて順次公開されます。
『バオバオ フツウの家族』予告編
≪STORY≫
「赤ちゃんが欲しい」と、ロンドンに住む2組の同性カップルが協力して妊活を始める。双子を妊娠したシンディは、ひとりロンドンから台湾に戻る。不安と悲しみに満ちた彼女が頼ったのは幼馴染の警官タイ。かねてよりシンディを密かに思っていたタイは、理由も聞かずに自分がお腹の子の父になると言うのだが、シンディの心は癒されない。子供を持って家庭を築きたいと願うシンディとジョアンがようやく待望の子宝に恵まれたのに、なぜ彼女はひとりで帰国したのか…。
監督:謝光誠(シエ・グアンチェン)≪第1回長編監督作≫
出演:雷艾美(エミー・レイズ)、柯奐如(クー・ファンルー)、蔭山征彦(カゲヤマユキヒコ)
蔡力允(ツァイ・リーユン)、楊子儀(ヤン・ズーイ)
2018年/台湾/97分/1:1.85/原題:親愛的卵男日記 英題:BAOBAO
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