東京学生映画祭「学生が選ぶ学生映画の頂点とは・・・?」
セレクション対談インタビュー

画像1: 東京学生映画祭「学生が選ぶ学生映画の頂点とは・・・?」 セレクション対談インタビュー

213作品から16作品が入選

 こんにちは、東京学生映画祭企画委員会です。私たちは、学生だけで映画祭を運営しています。まさに学生による学生のための学生映画祭です。そして嬉しいことに今年は、200作品を超える沢山のエントリーを頂きました。

久米 そうだね。入選作品の決定まで、何度も話し合いをしたよね。決定した16作品、バラエティ豊かでどれもオススメです!

選ばれた16作品 コラージュ

画像2: 東京学生映画祭「学生が選ぶ学生映画の頂点とは・・・?」 セレクション対談インタビュー

東京学生映画祭2019 ノミネート16作品

『なみぎわ』(常間地裕監督)
『中村屋酒店の兄弟』(白磯大知監督)
『リベンジ!』(河谷忍監督)
『歴史から消えた小野小町』(大野キャンディス真奈監督)
『それはまるで人間のように』(橋本根大監督)
『ツヤ子81歳』(中川楓子監督)
『moondust』(霧道百桃監督)
『ワンダラー』(小林瑛美監督)
『ドブ川番外地』(渡邊安悟監督)
『愚か者、HINAのためのセレナーデ』(塩川孝良監督)
『がんばれ!よんぺーくん』(しょーた監督)
『何度でも忘れよう』(しばたたかひろ監督)
『東京少女』(橋本根大監督)
『Fiction』(北川未来監督)
『くじらの湯』(キヤマミズキ監督)
『ティッシュ配りの少女』(渡邊安悟監督)

特別招待作品『あたしは世界なんかじゃないから』(高橋泉監督)

各入選作品のセレクションのポイントは?

———『なみぎわ』(常間地裕監督)

久米 友達の家までの距離感がリアルだったな。チャリが良かったよね。ダイナミックさを出してくれる素晴らしいモチーフだと思った。チャリって最近乗らないけど、この映画観ていたらチャリっていいなって思ったんだよね。

 そう、チャリっていうモチーフがね。

久米 チャリは乗り物として車とかに比べて自立していないと思うんだけど、そのバランスと、そもそも「ニケツ」って法的にはしてはいけないことなのに、彼らは「そうするしかなかった」というか、僕の深読みかもしれないけどそこが良かった。チャリの魅力が大きかったかな。

———『中村屋酒店の兄弟』(白磯大知監督)

谷高 僕この作品一番初めに観たんですけど、まず藤原季節さんの演技が良かったですね。

久米 この映画は、『なみぎわ』とはまた違って兄弟の話だけど、言わずもがな分かり合っている関係っていう意味では共通点があるよね。ストレートな真っ直ぐな兄弟愛というか、照れるくらい真っ直ぐな関係が素敵だった。

画像: 林 満里奈 所属:東邦大学3年 好きな映画: 三木聡『インスタント沼』

林 満里奈
所属:東邦大学3年
好きな映画: 三木聡『インスタント沼』

———『リベンジ!』(河谷忍監督)

木村 今回のプログラムの中だと、唯一のドエンタメ作品。エンタメ作品は他のエントリー作品でも何本かあったけど、ズバ抜けて面白かったし、何より監督が魅力的だったよね。

久米 そう。監督の空気感がすごく良いんだよね。

木村 監督はマジックが趣味らしいです。

———『歴史から消えた小野小町』(大野キャンディス真奈監督)

佐渡 完全に私映画なのに、歴史も交えていて、その両立がすごい。監督がほとんどキャストもスタッフも自分で全部やって、「自分」というものをこれだけ押し出しているのに、「小野小町」という人物をしっかり組み込んでいて、歴史を再構成しているような、そこが面白かったです。

久米 200作品以上のエントリー作品観ていて、この監督に一番会いたくなったよね。

佐渡 うん。従来の映画の撮り方にハマっていないところも魅力的ですね。

———『それはまるで人間のように』(橋本根大監督)

谷高 役者でいくと、メインで出演されている櫻井保幸さんとユミコテラダンスさんが第29回入選作品の『赤色彗星倶楽部』でも出演されていたので、惹かれましたね。内容はSFロマンスで、役者さんたちの芝居がすごくリアルだったな。監督の演出の付け方が良いなと。

久米 一人一人ちゃんと登場人物が印象的だったね。

———『ツヤ子81歳』(中川楓子監督)

久米 実は高齢者を映画の題材にしている映画って、学生映画でも少なくないんだけど、学生映画の中の高齢者ってボケさせていることが多いんだよね。でもこの映画はそういうのがなくて、本当に自分のおばあちゃんのありのままの姿を写し出していて、監督がおばあちゃんを見つめる眼差しというか、向き合っているのが伝わってきた。

 印象深かったシーンは?

久米 全編通して、「孫」の目線が良い。孫から見た祖父母ってこうだよなって。

画像: 久米 修人 所属:日本映画大学4年 好きな映画: ジャ・ジャンクー『プラットホーム』

久米 修人
所属:日本映画大学4年
好きな映画: ジャ・ジャンクー『プラットホーム』

———『moondust』(霧道百桃監督)

木村 セットが突出して個性的。ルックの面では、今年のエントリー作品の中で群を抜いて良かったですね。オープニングから世界観が個性的だった。

 私、木の下のシーンが好きだったな。

久米 あのシーン良いよね。それまでずっとわりと暗めの夜のシーンで、急にピクニックのシーンになって、木漏れ日と風の音が聞こえてくるくらい透き通っていた。

———『ワンダラー』(小林瑛美監督)

佐渡 脚本が素晴らしかった。タイトルにもあるように主人公が「放浪」していく中での、コミュニケーションの話だと私は思ったんだけど、繊細すぎるくらい繊細な物語だったな。

 主人公が好きだった。共感ポイントが多かったな。分かる!ってなった。

谷高 繊細さが際立っていたよね。

———『ドブ川番外地』(渡邊安悟監督)

木村 世界観がしっかりしていましたね。監督さんの世界観が全面的で、でも観ていてずっと釘づけになるというか。

久米 ショットの選び方がそんなに難しくない構成になっていると思うんだけど、その重ね方で渡邊監督にしか撮れないものに変わっていっている気がする。渡邊監督は、今後の作品が一番気になった監督さんだな。

画像: 谷高 真寛 所属:玉川大学4年 好きな映画: 濱口竜介『寝ても覚めても』

谷高 真寛
所属:玉川大学4年
好きな映画: 濱口竜介『寝ても覚めても』

———『愚か者、HINAのためのセレナーデ』(塩川孝良監督)

 この作品には「振られた女の子が、振られて終わりじゃなくて、その後こんな風に動いて欲しい!」っていう監督さんの思いが込められていて、そんなHINAが魅力的だった。

佐渡 主人公のパッションが感じられる自転車のシーンとか本当に魅力的だった。

久米 それなのに、タイトルに「愚か者」って入っているんだよね(笑)

———『がんばれ!よんぺーくん』(しょーた監督)

久米 メインスチール見たら、明らかに一つだけ雰囲気が違うよね。とにかく劇場で4分間を感じて欲しい。

 元気な少年よんぺーくんに是非会いに来てください。

———『何度でも忘れよう』(しばたたかひろ監督)

久米 これ忘れられないよ(笑)

木村 理解しようとしても理解できないけど、この世界観には確固たるものがあって、衝撃的でしたね。アイデアが素晴らしい!

画像: 木村 翔武 所属: 慶應義塾大学2年 好きな映画: 北野武『ソナチネ』

木村 翔武
所属: 慶應義塾大学2年
好きな映画: 北野武『ソナチネ』

———『東京少女』(橋本根大監督)

木村 監督は男性で、『東京少女』ってタイトルで、女性のエゴを写しているのが特徴的でしたね。「女の子ってちょっとムカつくけどこんな感じだな」って共感できるというか。女性の内面を男性監督が描いている面白さがありました。

谷高 男性は特に共感できると思うな、この作品。

———『Fiction』(北川未来監督)

木村 この作品はストーリーで勝負しているよね。

久米 物語の仕組み自体が面白い。展開の作り方が面白いよね。ストーリーテリングの面で、物語を映像で語るという面ではズバ抜けていたんじゃないかな。どのくらい時間かけて撮ったんだろう?

木村 北川監督は、2日間って言っていましたよ。

久米 その2日間っていうのもFictionかもしれないよね(笑)

画像: 佐渡 春香 所属:一橋大学大学院2年 好きな映画: ベルナルド・ベルトルッチ『暗殺の森』

佐渡 春香
所属:一橋大学大学院2年
好きな映画: ベルナルド・ベルトルッチ『暗殺の森』

———『くじらの湯』(キヤマミズキ監督)

佐渡 幼い子の視線から見えるお母さんの姿というか、母性のようなものがアニメーションの効果も相まってとても繊細に描かれていました。実写では映し出しきれない母親像を描く画力に感動しました。

谷高 絵のタッチも独特だよね。とても引き込まれました。

———『ティッシュ配りの少女』(渡邊安悟監督)

佐渡 15分という尺で群像劇を描いている作品。シンプルなショットのつながりが印象的。

木村 カットバックの面白さがあったと思う。シンプルな構成の組み方が秀逸で、それに加えて群像劇をしっかり描いていて15分間魅了されっぱなしだったな。

———特別招待作品『あたしは世界なんかじゃないから』(高橋泉監督)

久米 この作品は以前、東京フィルメックスで東京学生映画祭が運営している学生審査員賞を受賞した作品です。数々の脚本を手がけてきた高橋泉さんの監督作品、スクリーンで観ることのできる貴重な機会なので、ぜひたくさんの方に観て頂きたいです。

———最後にメッセージをどうぞ

一同 1本1本の映画上映も見どころですが、監督さんたちとのトークショーも醍醐味です。東京学生映画祭ならではのトークショーが満載なので、ぜひご来場下さい。会場でお待ちしています!

画像: 各入選作品のセレクションのポイントは?

東京学生映画祭
「東学祭」の名で知られる日本最大規模の学生映画祭。これまでに『EUREKA』青山真治監督、『ゴールデンスラバー』中村義洋監督、『君の膵臓を食べたい』月川翔監督、『ちはやふる』小泉徳宏監督、『溺れるナイフ』山戸結希監督など、現在日本映画界の第一線で活躍されている多くの映画人を輩出してきた。今年で第30回目を迎える。

第30回 東京学生映画祭 予告

画像: 【第30回東京学生映画祭】30秒予告 youtu.be

【第30回東京学生映画祭】30秒予告

youtu.be

日時:2019年8月3日(土)、4日(日)

場所:渋谷・ユーロライブ(最寄駅:渋谷駅より徒歩10分)

チケットはこちらから:https://bit.ly/2XEUskz

取材・文: Mika Ogura
写真:Mariko Oishi

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