ベルリン国際映画祭正式出品作品『希望の灯り』が4月5日(金)、Bunkamuraル・シネマほか全国公開が決定しました。
Bunkamuraリオープン(11月16日)に合わせ、ビジュアルと予告編が完成いたしました。

画像: ドイツの実力派俳優たちが表現する、東ドイツ人の今!東ドイツ生まれの新世代-トーマス・ステューバー監督『希望の灯り』予告!

旧東ドイツの巨大スーパーで働く人たち、そのつましい世界のぬくもり

腕や首の後ろにタトゥーを入れた無口な青年クリスティアン(27歳)は、巨大スーパーマーケットの在庫管理係として働き始める。旧東ドイツ、ライプツィヒ近郊。店の周囲には畑地が一面に広がり、遠くにアウトバーンを走る車が見える。仕事を教えてくれるブルーノ(54歳)はクリスティアンを言葉少なに見守る。年上の魅力的な女性マリオン(39歳)への一途な思いは、恋の喜びと苦しみを教えてくれる。ここで働く者たちは、みな、素朴で、ちょっと風変わりで、心優しい。それぞれに心の痛みを抱えるからこそ、たがいに立ち入り過ぎない節度がある。それが、後半に起きる悲しい出来事の遠因になったのかもしれないが、彼らは喪失の悲しみを静かに受けとめ、つましく生きていくのだ。いま目の前にある小さな幸せに喜びを見出すことで日々の生活にそっと灯りをともす。そんな彼らの生きる姿勢が、あたたかな共感と感動を呼びおこし、静かな波のざわめきのように深い余韻を残す。

整然とした倉庫のような空間を詩的な小宇宙へと変貌させる、
ドイツ新世代の才能

閉店後、照明を落とした店内をフォークリフトがワルツを踊るように通路を行き交う、その優美さ。小さな誕生日ケーキの愛らしさ。水槽に詰め込まれた魚たちの悲哀。冷凍倉庫での鼻先キッス。
ほのかな光に照らされた広大な田園風景と空の、はっとするほどの美しさ。誰も自分の悲しみを言葉にはしないが、クリスティアンが抱えている心の傷やマリオンの苦しみ、東ドイツ時代を懐かしむブルーノの言葉は、ぐっと胸に迫る。また、時おり挿入されるクリスティアンの詩的なナレーションは、無口な彼の知性やマリオンへの想いが表現され、味わい深い。

トーマス・ステューバー監督は、1981年、旧東ドイツのライプツィヒ生まれの37歳。
本作は、クレメンス・マイヤー(1977年、旧東ドイツ・ハレ生まれ)の短編小説「通路にて」を映画化したものだ。1989年のベルリンの壁崩壊に続く1990年のドイツ再統一によって、旧東ドイツ人のなかには不遇をかこつ人々もいた。社会の片隅で助けあう人々の日常を静かに描き出す本作は、人と人との距離感という意味でも、孤独を時にユーモラスに描き出すという意味でも、フィンランドの名匠アキ・カウリスマキ作品に通じるものがある。
「美しく青きドナウ」や「G線上のアリア」などクラシックの名曲の効果的な使い方や、カナダのゴシックフォーク・グループ、ティンバー・ティンバーの「Moments」をエンディング曲に選ぶなど、音楽センスも抜群だ。来年は壁崩壊から30周年。世界中で様々な催しが予定されています。

ドイツの実力派俳優たちが表現する、東ドイツ人の今

主人公のクリスティアンを演じるのは、フランツ・ロゴフスキ。ミヒャエル・ハネケ監督作品『ハッピーエンド』(17)でイザベル・ユペールのうだつの上がらない息子を演じ、『未来を乗り換えた男』(18)ではファシズムが吹き荒れるドイツからマルセイユに逃れてきた主人公を演じた、大注目のドイツ人男優だ。本作で第68回ドイツアカデミー賞主演男優賞を受賞。
彼が一目惚れする年上の女性マリオンを演じるザンドラ・ヒュラーは、『ありがとう、トニ・エルドマン』(16)で仕事中毒の女性を演じて数多くの主演女優賞を獲得した、ドイツを代表する女優のひとり。クリスティアンに心惹かれながらも自分からは踏み出せないマリオンの心の揺れをチャーミングに演じている。クリスティアンの上司ブルーノ役のペーター・カースは、ステューバー監督の初長編映画『ヘビー級の心』では主演を務めた。

ドイツ新世代トーマス・ステューバー監督『希望の灯り』予告

画像: ドイツ新世代トーマス・ステューバー監督『希望の灯り』予告 youtu.be

ドイツ新世代トーマス・ステューバー監督『希望の灯り』予告

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出演:フランツ・ロゴフスキ(『ハッピーエンド』『未来を乗り換えた男』)、ザンドラ・ヒュラー(『ありがとう、トニ・エルドマン』)、ペーター・カース 
監督:トーマス・ステューバー
原作・脚本:クレメンス・マイヤー(「通路にて」新潮クレスト・ブックス『夜と灯りと』所収<品切>)

2018年/ドイツ/ドイツ語/カラー/ヨーロピアンビスタ/5.1ch/125分/
原題:In den Gängen
/英題:In the Aisles
配給:彩プロ 
協力:朝日新聞社 
宣伝:Lem
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4月5日(金)、Bunkamuraル・シネマほかにて全国公開

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