スタンリー・キューブリック監督の「失われた」幻の脚本が、キューブリックの有力な専門家であるネイサン・アブラムス(Nathan Abrams)教授によって発見されたことを、英国の大手のニュースメディア「The Guardian」が伝えました。
タイトルは「Burning Secret」で、原作は多数の伝記文学や歴史小説を残したことでも知られ20年代、30年代に流行作家となったウィーンの作家シュテファン・ツヴァイクによる小説。
物語は、オーストリアを舞台にし、外交官夫人の母と共に喘息の治療を受けるために山里の療養場に来ている孤独な12歳の少年は、ある日そこに来ていた男爵と知り合う。
いつかしら、少年と男爵は男同士の友情が芽生えていくが、もう一方では、男爵と母の間にも愛情が芽生えていったのだった。
しかし、少年は、自分が母と会うための口実に利用されていることに気づくや、狡猾な大人たちへ反発していく--といった内容で少年が傷つきながらも成長していく姿を描いたドラマ。
(キューブリックはこれをアメリカを舞台に書き換えている)
この原作は、1933年ドイツの映画として、また1988年にジェーン・バーキンの兄にあたりキューブリックにも師事したというアンドリュー・バーキン監督がフェイ・ダナウェイを主人公に日本題『ウィーンに燃えて』というタイトルで映画化されています。とはいえ、キューブリック自身の脚本であるならばそれは大発見であることは間違いありません。
発見者であるネイサン・アブラムス(Nathan Abrams)教授は、「私はそれを信じられませんでした。とても興奮しています。それは失われたと信じられていた脚本だからです。」また、彼は次のように付け加えました。「キューブリックの愛好家は、彼がそれを製作したかったことを知っていますが、脚本が完成したとは思っていなかった。これは彼が完全な脚本を完成させていたことを証明しています。」
アブラムス教授によると、この脚本は100ページに及ぶと言われ「それは映画の製作者が、今日完成できる完全な脚本です」と語っています。
この脚本は来年には、出版されるということもガーディアンで明らかになりました。
さて、この脚本での映画化はあるのでしょうか?
以下、ガーディアンの発見を伝える記事サイト