郊外番外編
残すところ、あと1日。今回は、番外編として、映画祭のパーティーでもケータリングオファーが絶えないニースの人気日本人シェフの名店「KEISUKE MATSUSHIMA」と、カンヌに来た映画スターたちが足を運ぶ南仏のピカソが愛した小さな田舎町・ムージャンをご紹介したいと思います。
《ニース》
ニースまでは、バスで約2時間。電車だともっと早いのですが、今はストライキで運行が安定しないため、ホテルの人からはバスを勧められました。
色々迂回するので、遠い気がしますが運賃はなんと1.5€!安い!!
駅から200番のバスで向かいます。
バスで向かいの席になった映画大好き青年。
今年から、カンヌでは5月17~19日の間、18~28歳の若者たちが優先的に映画を鑑賞できるイベント “カンヌの3日間”を設けています。
きっと、そのパスだなーと思い話しかけてみると「そうなんだ!カンヌ映画祭を楽しんで来て、これから自宅に帰るところさ」と嬉しそうに返答。
19歳で、将来は監督かプロデューサーを目指しているという彼。
「日本の映画は何か見たことある?タケシ・キタノとか知ってるかな?あと、カンヌでは21年前に “Unagi うなぎ”っていう日本映画がパルムドールを受賞したんだけれども…」と話すと、「タケシ・キタノもUnagiも知っているよ!!」と即答。さすが映画青年。
「今、一緒に仕事をしている私のボスは、“カズヨシ・オクヤマ”という名前で、キタノ・タケシに最初に“ディレクターやらない?”と提案したプロデューサーで“うなぎ”の製作者なんだよ〜」と話すと「本当かい!?それはすごいや!!」と目をキラキラさせて嬉しそうにしていたので、なんだかこちらまで嬉しくなってしまい、「日本の映画は、とてもいい作品がたくさんあるよ。今年は、日本から2作品がコンペに出ていて明日、きっと君の持っているパスでこの時間とこの時間で観れるはずだから、是非みてみて欲しいな」と伝えたら「わかった!是非観てみるよ!!」と笑顔で答えて、バスを途中でおりて行きました。
そんな会話をしてたら、2時間もあっという間。ニースに到着しました。
真っ青な海が綺麗な街です。
バスの駅から歩いて5分。以前、仕事でご一緒した松嶋啓介シェフが経営する『KEISUKE MATSUSHIMA』本店に着きました!
松嶋さんは、外国人としては最年少でフランス・ミシュランの星を獲得するという偉業を成し遂げた日本が誇る素晴らしいシェフです。
ランチの遅い時間にお邪魔したのですが、店内はもちろん満席!!
粋な計らいで、席をとっておいて下さいました。
アーティスティックな飾り皿でおもてなし。
グリーンピースの前菜
メインは、スズキをいただきました!
いちごとピスタチオのムース
お世辞ではなく、泣きそうになるほど美味しくて、とにかく感動しました。
料理って、ここまで人の心を揺さぶるのかと久しぶりに思ったほど、口に運ぶたびにときめく品々に、陶酔状態(笑)
ニースの土地のエネルギーを存分に吸収した食材と、松嶋シェフのクリエイティビティのマリアージュは最高です…2時間かけて来て良かったー!!
先日も映画祭関連のケータリングオファーでカンヌに来ていたそうで、名実共に本場フランスで評価されている人気シェフはやっぱり違いますね。
カンヌ映画祭に長期滞在される方は、是非ニースまで足を運んでこちらのお店に来てみてはいかがでしょうか!
《ムージャン》
さて、もう一つ。カンヌ滞在旅行者・多くのスターたちも立ち寄るという街があります。カンヌから車で30分。ピカソ終焉の地として知られるアートの街ムージャン。
ここは、奥山和由プロデューサーが21年前、今村昌平監督の「うなぎ」でカンヌ映画祭に招待された時に役所広司さんらと一緒にきた街だそうで「江角さん、カンヌに行くなら、とにかくムージャンへは是非行って欲しい!」と強く推していた場所。
カンヌからずっと丘を上がった景色のいい街です。
観光案内所もあります
中はこんな感じ
ピカソグッズもたくさん売っていますね
村に着いて早々、某有名女優さんに遭遇。ご挨拶をして、私が乗って来たタクシーでカンヌに戻られました。
小さな街なので、2時間もあれば十分楽しめると思います。
写真だけだと良さが伝わりませんが、街全体が一つの作品かのよう。
美術館を巡っている気分で楽しめる素敵な場所でした。
帰りは交通の便が悪い場所で、ウーバーも捕まらず、ヒッチハイクで帰る羽目に…(笑)
タクシーないかなぁ…と道路を歩いていたら、通りすがりのマダムが、心配そうに話しかけて下さり、「どこにいくの?この辺はタクシーは通らないから、乗りなさい」と言って、街まで運んでくれました(優しいマダムに心から感謝!!笑)
というわけで、ムージャンにお越しの際は、帰りの足をしっかり確保した上で来ることをオススメします(汗)
さて、最終回は、カンヌのお土産グッズの紹介と今回の体当たり紀行の総括をしたいと思います。
江角 早由里 Sayuri Ezumi
1986年生まれ、東京都出身。大学在籍中に中原俊監督『櫻の園』にインターンとして参加し、演技事務を担当。外食企業に新卒入社し、広報・PRに従事。コンセプトレストランと映画や舞台、ゲームなど異業種コンテンツとのコラボレーション展開などを数々手がける
(※)現在は、映画プロデューサー奥山和由が製作・監督を務める2018年秋に公開するドキュメンタリー映画「熱狂宣言」でプロデューサーを務めている。
(映画「テッド」「スノーホワイト」、ゲーム「大神 絶景版」「戦国BASARA4」、サンリオピューロランドのハローキティ誕生40周年記念ミュージカル 「不思議の国のハローキティ」、など)