2001 年の春に始まり、今年で 18 回目を迎えたゴールデンウィーク恒例の映画祭「イタリア映画祭2018」が東京・有楽町朝日ホールで開催中だ。
新進気鋭から巨匠まで、バラエティに富んだラインナップで世界の映画祭を席巻した作品から、ドラマ、コメディー、ロマンス、クライムアクション、音楽と例年にも増して各ジャンルが取り揃えられ本国で2017年以降に製作されたフレッシュな新作14作品が日本初お目見え。
また、新作と関連がある作品を集めた<アンコール上映作品>5作品が上映されている。
4/28(土)には総勢10名の来日ゲストが登壇し開会式を開催。
そして昨日4/30にはそれぞれ日本で劇場公開も控える若手監督『いつだってやめられる-名誉学位』のシドニー・シビリア、『愛と銃弾』(今秋公開)のマネッティ・ブラザーズ(マルコ・マネッティ、 アントニオ・マネッティ)が登壇し、トークセッションを行った。
様々な作品がラインナップされたイタリア映画祭 2018 の中で、絶妙なキャラ設定 とセリフ、予測不能な物語と斬新な映像演出で観客を大いに沸かせたコメディー 『いつだってやめられる』シリーズのシドニー・シリビア監督と『愛と銃弾』でジャンル映画への突き抜けた愛情をナポリを舞台にしめしてみせた才気みなぎる鬼才 エンターテイナー、マネッティ兄弟が登壇。
マルコ:「去年『いつだってやめられる 10 人の怒れる教授たち』を映画館に観に行って、一人で行ったにも関わらず大笑いしてとても気に入った。僕らと同じように 脚本に重きを置いてコメディをつくる姿勢に通じるものがあると思った。」
アントニオ「シドニーによって従来のいわゆる′′イタリアコメディ映画“に大きな変化がもたらされたんだ。伝統的な今までの形式-出演するコメディアンの優秀さに頼るだけではないものを作ること、作品のフォルムを大切にすること。僕らはアメリカ映画が大好きで影響を受けて育ったから自然とこうなったんだけど結果的にはイタリアの観客にも受け入れられたということだと思う。」
シドニー「僕はマネッティ兄弟の作品を観たのは『リミット 90』(05/日本未公開) が最初だった。その頃から二人はインディペンデント界ですでに伝説の存在だった。 設定はエレベーターの中だけの話で低予算なのに、すごく面白くて刺激を受けたよ。 僕は脚本を書くのがすごく好きだ。それでも毎日机に向かっても全然進まない時もあるし、すごく調子が良くてナポレオンのような気分になる時もある。好きとは言ったけど『いつだって~』は2作目、3作目を平行して書いたから、想像以上に大変で 書き上げるのに1年半もかかった。」
マルコ「僕らも脚本をいちばん大事に思っていて、なによりこのストーリーを伝えたい、 という思いが強いんだ。」 そして観客からの質疑応答へ。
<コメディ映画ならではのアドリブはあるのか?>と 聞かれると、
マネッティ兄弟は「役者へ任せる。アドリブは多め」と応えたのに対し、 シドニーは「ほとんどアドリブはないよ!役者がそこにないセリフを言うと、監督だけで なく脚本家でもある僕がイラっとする(笑)」との返答に会場を沸かせる一面も。
続いて<日本文化から影響を受けた人はいるか?>との問いに対し、
マルコ「クロサワはイタリアのジャンル映画に影響をすごく与えていると思う。僕については北野武、 あと忘れてはならないのは日本のアニメ。日本はアニメを過小評価しているんじゃないかな、イタリアだけじゃなくアニメで世界を征服していると言ってもいいくらいなのに!」
シドニー「去年は『シン・ゴジラ』を観た。(マネッティ兄弟の)二人はまだ観てないらしいから DVD を買ってあげるよ。あとは『キャプテン翼』だね。」
マルコ「『キャプテン翼』の2秒しかないシーンを20分の短編にして作ってみたいよ!」
シドニー「(キャプテン翼の)イタリアのタイトルは『オリーとベンジー』で主人公が二人になっち ゃってるんだよ。クロサワもすごいけど「オリーとベンジー」の方が多くのイタリア人の心に入りこんでいるんじゃないかと思う」とアニメーションの話題でひとしきりスパーク、その他漫画などにも話題を広げながらその影響を熱く語っていた。
イタリアンコメディを牽引する存在になりつつある3人は<その国ならではのコメディ要素>についても言及しつつ、どこの国の映画であっても映画言語が持つ普遍性があるはず、湧き出る次回作の構想も明かしながらトークイベントを締めくくった。
主催:イタリア文化会館、朝日新聞社、イスティトゥート・ルーチェ・チネチッタ
後援:イタリア大使館 協賛:FCAジャパン株式会社、フェラガモ・ジャパン株式会社、コスタクルーズ日本支社
協力:株式会社 帝国ホテル、アリタリア-イタリア航空
運営協力:有限会社エミュー/宣伝協力:樂舎/字幕協力:アテネ・フランセ文化センター