寺山修司没後35年記念として、「映画監督◎寺山修司2018」を開催いたします。
寺山の魅力のひとつに、一瞬のうちに虜にされてしまう幻想的でカルトな映像作品が多数あります。カンヌ映画祭、ベルリン映画祭、エジンバラ映画祭をはじめ海外の主な映画祭に招待され、数々の賞も受賞しています。

画像1: 没後35周年-映像の魔術師・寺山修司のシュールでアヴァンギャルドな映像作品一挙上映!「映画監督◎寺山修司2018」開催!

 1960年に作られた「猫学Catllogy」以来、寺山修司の実験映画は、そのどれもが「映画は世界を網膜の中に灼きつけるのではなく、網膜から『世界をひきずり出す』のである」と宣言する、独特の危険な仕掛けに満ちています。
『ローラ』では客席から立ち上がった男が実際にスクリーンに飛び込み、『審判』では観客の打ち込む釘で埋め尽くされるスクリーン。寺山は絶えずスクリーンの意味を問い、映像は観客を挑発し続けています。
また、長編映画『書を捨てよ町へ出よう』のラストでは、何も映っていない白味のフィルムを映写し、「われわれの作る部分は終わったのだから、このあとは観客である諸君に作ってもらいたい」と問いを投げかけました。この問いに対して観客は答えを出せるでしょうか。

 1979年春に寺山は肝硬変と診断されるも、本人に知らされたのは1981年の1月でした。その間、そしてその後も入退院をくり返しながら、表現活動の速度は変わることなく続けられました。
映画の撮影現場、演劇公演の稽古場には寝椅子が常に置かれており、一つ一つの作品に命が賭けられていたと言えるでしょう。1982年の「レミング」公演を最後に、演劇、映画活動に終止符を打ち、著作活動のみにしぼることを決意しましたが、それもついに実現しないまま1983年に急逝、1984年に公開された映画「さらば箱舟」は寺山修司の遺言として誰の目にも映ったことでしょう。

 幻想とエロチシズムに満ちた映像作品、イメージの錬金術、虚構と現実の地平線に築き上げられた寺山修司の絢爛たる王国・・・が劇場に帰ってきます。

また、今回の特集上映では、昨年度の映画賞を総なめにした寺山原作「あゝ、荒野」も特別上映いたします。

<上映作品>
 『書を捨てよ町へ出よう』『田園に死す』『さらば箱舟』
 『草迷宮』 『檻囚』 『トマトケチャップ皇帝』
 『ジャンケン戦争』 『蝶服記』 『ローラ』
 『青少年のための映画入門』 『疱瘡譚』 『審判』
 『迷宮譚』 『消しゴム』 『マルドロールの歌』
 『一寸法師を記述する試み』 『書見機』
 『二頭女-影の映画』
 
特別上映:『あゝ、荒野』

トークショーも開催!  
三上博史(俳優・歌手)
寺山偏陸(元天井棧敷)
笹目浩之(テラヤマ・ワールド/ポスターハリス・カンパニー代表)
詳細は下記公式ページより

劇場HPオンラインチケット(クレジット決済のみ)
 http://www.euro-ticket.jp/eurospace/schedule/  
 ※上映3日前から各回開始1時間前まで販売いたします。
 ※ご鑑賞までに[3Fユーロスペース] ロビーの専用発券機でチケットをお受け取りください。
◎劇場窓口(現金のみ)
 3Fユーロスペース カウンター
 ※上映3日前から販売いたします。

【上映作品詳細】

『書を捨てよ町へ出よう』

画像: 『書を捨てよ町へ出よう』

1971年/日本A・T・G/カラー/138分/DCP
●サンレモ映画祭グランプリ
製作・脚本・監督:寺山修司/撮影:鋤田正義/音楽:下田逸郎、クニ河内、J・A・シーザー他/編集:浦岡敬一/出演:佐々木英明、斉藤正治、新高恵子
つねに時代を挑発する“家出”の思想家、寺山初の長編映画。

『田園に死す』

画像: 『田園に死す』

1974年/日本A・T・G/カラー/102分/DCP
●カンヌ映画祭正式招待●ベナルマデナ映画祭審査員特別賞●パース映画祭招待●芸術祭奨励新人賞●文部省芸術選賞
脚本・監督:寺山修司/撮影:鈴木達夫/音楽:J・A・シーザー/美術:粟津潔/録音:木村勝英/編集:山地早智子/意匠:花輪和一/出演:八千草薫、春川ますみ、新高恵子、高野浩幸、菅寛太郎、原田芳雄、三上寛、木村功、ミスター・ポーン、蘭妖子、小野正子、斉藤正治、原泉
恐山を舞台に、自歌集「田園に死す」にもとづいた自伝的作品。

『さらば箱舟』

画像: 『さらば箱舟』

1984年/日本A・T・G/カラー/127分/DCP
●芸術祭大賞●カンヌ映画祭正式招待
脚本:寺山修司、岸田理生/監督:寺山修司/撮影:鈴木達夫/音楽:J・A・シーザー/録音:木村勝英/照明:海野義雄/美術:池谷仙克/装画:合田佐和子 /衣裳:山田勇男/美粧:川辺サチコ/編集:山地早智子/製作:砂丘不二夫、九條今日子、佐々木史朗/出演:小川真由美、原田芳雄、新高けい子、高橋洋子、高橋ひとみ、石橋蓮司、若松武、天本英世、蘭妖子、サルバドール・タリ、根本豊、福士恵二、牧野公昭、三上博史、大林真由美、日野利彦、江幡高志、小松方正、宮口精二、斉藤正治、松田政男、山崎努
マルケスの「百年の孤独」をテキストに、虚構の歴史を描いた一大叙事詩、寺山修司の遺作。

『草迷宮』

画像: 『草迷宮』

1979年/カラー/仏映画/40分/DCP
原作:泉鏡花「草迷宮」より/監督:寺山修司/台本:寺山修司、岸田理生/撮影:鈴木達夫/音楽:J・A・シーザー/美術:山田勇男/挿画:花輪和一/助監督:相米慎二/製作:ピエール・ブロンベルジュ/コーディネーター:ヒロコ・ゴヴァース/製作担当:九條今日子/出演:三上博史、若松武、新高けい子、伊丹十三、演劇実験室◎天井棧敷
泉鏡花の短篇小説を原作に、死んだ母親の口ずさんでいた手毬唄をさがして旅をする少年の物語。寺山映像美の最高峰。三上博史、衝撃のデビュー作。

『迷宮譚』

画像: 『迷宮譚』

1975年/モノクロ調色/17分/BD
●オーバーハウゼン実験映画祭銀賞●カンヌ映画祭監督週間招待
脚本・監督:寺山修司/撮影:福元文一/音楽:田中未知/編集:大島ともよ/助監督:森崎偏陸、浅井隆/出演:新高恵子、蘭妖子、佐々田孝司、大野進、田井中浪子、小竹信節
「カメラ万年筆」論もびっくり、「スクリーン=ドア」論を主張する映画。

『消しゴム』

画像: 『消しゴム』

1977年/カラー/20分/BD
脚本・監督:寺山修司/撮影:鈴木達夫/撮影助手:栗田豊通、伊藤昭裕/音楽:J・A・シーザー/編集:池田幸子/ビデオ・オペレーター:堀池冬樹/出演:藤野節子、若松武、蘭妖子、渡辺直美、田中恵
消しゴムで消すことのできる映像の試み。

『一寸法師を記述する試み』

画像: 『一寸法師を記述する試み』

1977年/カラー/19分/BD
脚本・監督:寺山修司/脚本:岸田理生/撮影:鈴木達夫/音楽:J・A・シーザー/美粧:蘭妖子/ビデオ・オペレーター:堀池冬樹/出演:日野利彦、矢口桃、篠崎拘
イメージした女優の肉体を一寸法師が縛りあげ、削り、穴をあける。

「実験映画集1」(合計104分)

『青少年のための映画入門』

画像: 「実験映画集1」(合計104分)

1974年/モノクロ/3分/BD
脚本・監督:寺山修司/撮影:萩原朔美/選曲:寺山修司/製作:九條映子/出演:森崎偏陸、斉藤正治、佐々田孝司、A.V.サキノフ
「100Feet Film Festival」に出品された3台の映写機による3分間映画。

『疱瘡譚』
1975年/カラー/31分/BD
●ベルリン映画祭特別上映●ベナルマデナ映画祭特別賞
脚本・監督:寺山修司/撮影:鈴木達夫/音楽:田中未知/助監督:森崎偏陸、浅井隆/出演:新高恵子、若松武、小野正子、中沢清、蘭妖子、徳野雅仁、小竹信節
イメージが疫病のように伝染していく、初めてビデオ合成を試みる。

『マルドロールの歌』
1977年/カラー/27分/BD
●リール国際映画祭国際批評家賞
脚本・監督:寺山修司(ロートレアモン「マルドロールの歌」による)/撮影:鈴木達夫/音楽:鈴木昭男/製作:小西昭典/照明:磯貝重夫/出演:新高恵子、蘭妖子、矢口桃、大野進
ロートレアモン「マルドロールの歌」を映像の翻訳。読む映像の試み。

『ローラ』
1974年/カラー/9分/BD
●ベルリン映画祭特別上映●ベナルマデナ映画祭特別賞
脚本・監督:寺山修司/撮影:鈴木達夫/音楽:田中未知/衣裳:蘭妖子/助監督:森崎偏陸/製作:鵜飼正英/出演:小野正子、蘭妖子、有栖川志栖子、(森崎偏陸)
映画館の客席からスクリーンのなかへ“出入りできる映画館”。

『審判』
1975年/カラー/34分/BD
●ベルリン映画祭特別上映●ベナルマデナ映画祭特別賞
脚本・監督:寺山修司/撮影:福元文一/音楽:J・A・シーザー/編集:大島ともよ/製作:九條映子、田中未知/出演:新高恵子、大野進、蘭妖子、パンチョ・目黒、矢口桃
釘で被われたイメージの釘学大全。観客によってスクリーンは釘の壁と化す。

「実験映画集2」(合計99分)

『檻囚』

画像: 「実験映画集2」(合計99分)

1962年/モノクロ調色/11分/BD
脚本・監督:寺山修司/撮影:立木義浩/音楽:J・A・シーザー/編集:萩原朔美/共同演出:竹内健/出演:ミスター日本、立木義浩、大山デブコ、竹内健、石原祐子
撮影から2年後に編集された処女作。フィルムによるイメージのコラージュ。

『トマトケチャップ皇帝』
1971年/モノクロ調色/27分/BD
●ツーロン映画祭審査員特別賞●カンヌ映画祭監督週間招待
脚本・監督:寺山修司/撮影:沢渡朔/選曲:寺山修司/編集:臼井高瀬/製作:田中未知/出演:新高恵子、アポロ太郎、樺マヤ、小野正子、出前持四郎、網走五郎、100人の子供たち
“子どもによる子どものための子どもの空想のユートピア”をつくる試み。

『ジャンケン戦争』
1971年/モノクロ調色/12分/BD
脚本・監督:寺山修司/撮影:沢渡朔/選曲:寺山修司/編集:臼井高瀬/助監督:川喜多清正/製作:田中未知/出演:サルバドール・タリ、橋本光史
『トマトケチャップ皇帝』のなかの“ジャンケン”部分を独立させた作品。

『蝶服記』
1974年/カラー/12分/BD
●カンヌ映画祭監督週間招待
脚本・監督:寺山修司/撮影:鈴木達夫/音楽:田中未知/編集:大島ともよ/制作:鵜飼正英/出演:新高恵子、斉藤正治、蘭妖子、佐々田季司、サルバドール・タリ、大野進
映写機とスクリーンの間を“さえぎる”目隠しされた映画。

『書見機』
1977年/モノクロ調色/22分/BD
脚本・監督:寺山修司/撮影:福元文一/音楽:J・A・シーザー/編集:池田幸子/出演:新高恵子、サルバドール・タリ、大野進、矢口桃、日野利彦、若松武、末次章子、カトリーヌ
「レーモン・ルーセルを読む機械」に触発され、目と書物の距離を検証する。

『二頭女-影の映画』
1977年/モノクロ調色/15分/BD
●ベルリン映画祭特別上映●ベナルマデナ映画祭特別賞
脚本・監督:寺山修司/撮影:鈴木達夫/音楽:J・A・シーザー/美粧:蘭妖子/助監督:森崎偏陸/編集:池田幸子/製作:九條映子/出演:新高恵子、パンチョ・目黒、中山孝子
影によって影を異化し批評する。不在の痕跡である影が実体と入れ替わる。

特別上映 「あゝ、荒野」(前篇・後篇)

画像: ©2017『あゝ、荒野』フィルムパートナーズ

©2017『あゝ、荒野』フィルムパートナーズ

2017年/前編:157分 後編:147分/DCP
監督:岸善幸/脚本:港岳彦、岸善幸/原作:寺山修司/撮影:夏海光造/照明:高坂俊秀/録音:森英司/美術:磯見俊裕、徐賢先/音楽:岩代太郎/出演:菅田将暉、ヤン・イクチュン、木下あかり、モロ師岡、高橋和也、今野杏南、山田裕貴、河井青葉、前原滉、萩原利久、小林且弥、川口覚、山本浩司、鈴木卓爾、山中崇、でんでん、木村多江、ユースケ・サンタマリア

寺山修司が唯一残した長編小説を菅田将暉とヤン・イクチュンのダブル主演で映画化。2021年の新宿。兄貴分を半身不随にした裕二に復讐を誓う新次と、吃音と対人恐怖症に悩む健二は、“片目”こと堀口に誘われ、ボクシングを始めるが……。監督は「二重生活」の岸善幸。

◆キネマ旬報ベスト・テン 日本映画第3位/読者ベスト・テン1位/主演男優賞(菅田将暉)助演男優賞(ヤン・イクチュン)
◆日刊スポーツ映画大賞 作品賞/主演男優賞(菅田将暉)
◆報知映画賞 作品賞/主演男優賞(菅田将暉)
◆毎日映画コンクール 日本映画優秀賞/男優主演賞(菅田将暉)
◆ヨコハマ映画祭 日本映画第4位
◆ブルーリボン賞 作品賞/助演男優賞(ユースケ・サンタマリア)
◆第41回日本アカデミー賞 最優秀主演男優賞(菅田将暉)

2018年6月2日(土)~7日(木)ユーロライブにて開催!

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