「クライマーズハイ」、「64」などで知られる大ベストセラー作家・横山秀夫氏の小説「影踏み」が長編実写映画化されることが決定いたしました!!
主演には、「8月のクリスマス」以来14年ぶりの長編映画主演を果たす山崎まさよし。メガホンをとる篠原哲雄監督とは、実に『月とキャベツ』以来22年ぶりに長編映画でタッグを組みます。また、主題歌も山崎まさよし本人が担当。
『月とキャベツ』の主題歌として大ブレイクした「One more chance,one more time」が近年再び脚光を浴び、注目が集まる山崎の主題歌も話題になること間違いなく、本作とどのようなコラボレーションが生まれるのか、今から楽しみでなりません。
本作は、群馬県・中之条町で18年続く「伊参スタジオ映画祭」(※詳細下記参照)が縁で始まりました。『月とキャベツ』を繰り返し観るほどのファンで、自身の作品が山崎主演で映像化されたらという願望を抱いていた横山。長年横山作品のファンで作品を読み漁ってきた山崎。『月とキャベツ』の公開20周年をきっかけに山崎との再タッグを望みつつ、いつか横山作品を映像化したいと考えていた篠原監督。
3人のそれぞれの想いは、2016年の同映画祭に3人がぞれぞれゲストとして参加したことで融合。
横山が山崎に合う作品として自ら「影踏み」を提案するというまさに必然ともいえる成り立ちの末、映画化が実現いたしました。
本作は、今年5月から群馬県を舞台に、オールロケにてクランクインが予定され、来春以降公開予定。その他、豪華キャストを予定し、後日改めて発表されます。
映画『月とキャベツ』とは
1996年製作・公開。篠原哲雄の長編監督デビュー作。
当時まだまったく無名であった山崎まさよしをオーディションで主役に抜擢。
ストーリー展開は、創作活動に苦しんだ末心を閉ざし山奥で隠遁生活を送る元カリスマミュージシャン・花火のところに不思議な少女が現れる。その少女とひと夏を過ごす中で花火は再び創作意欲を取り戻し、新しい歌を作っていく。しかし少女は数日前にバス事故で亡くなっていた。花火が再び歌を作ることを確かめて少女は消えていく・・。
主演の山崎は、歌えなくなったミュージシャン役を熱演し、ある評論家から「日本映画で本当の意味で音楽映画として成功しているのは「スワロウテイル」と「月とキャベツ」の2本だけ」と言わしめる。
96年12月にテアトル新宿で公開するも当時の興行成績は凡庸なものであった。が、その後口コミで評判が広まり、テアトル後に追加上映を繰り返し、その後一年間1日も途切れることなく都内のどこかの劇場で上映されているという稀な記録を作る。
主題歌「One more time,one more chance」も連動するように一年間かけて徐々に売れていき、最終的には97年の年間売りあげ第10位にランクインする。
「月キャベ」のロケ地であった群馬・中之条町の伊参スタジオには「月キャベ」と山崎まさよしのファンが、ロケ地を一目見たいと全国から訪れるようになり、伊参スタジオはその後長く「聖地」とされ映画祭開催への流れとなっていく。
<伊参スタジオ映画祭>とは
1995年、群馬県が「人口200万人突破記念映画」として小栗康平監督「眠る男」を自治体としては初の全額出資で製作する。その拠点となった群馬県中之条町の旧第4中学校・廃校を「伊参スタジオ」と命名。
体育館をスタジオセットに、校舎を宿泊所に大改造して映画のすべてが完結するスタジオを作る。
「眠る男」後、当時小栗組に製作スタッフとして関り、スタジオの創設を一手に引き受けていた松岡が「眠る男1本で終わらせるのはあまりに惜しい」という考えのもと、自らのデビュー作である「月とキャベツ」の拠点として再利用。ここから「月キャベ」と伊参の歴史が始まる。
「月キャベ」公開後、そのロケ地に全国から続々とファンが集まるようになり、交通至極不便な場所にもかかわらず、公開から3年は毎年2万人のファンが北は北海道、南は沖縄からその地を訪れることになる。
ある中学生の少女は「花火に会いに行きたい」と家出をし、スタジオの管理人に保護されたことがニュースになるなどのこともあった。
その怪奇現象とも思われる状況を目の当たりにしていた中之条町のスタッフが映画祭をやることを提案。
その後17年間映画祭を開催し、第3回目からはシナリオ大賞も開催。篠原監督と松岡プロデューサーは毎年ゲスト及び審査員として参加している。
映画祭協賛の上毛新聞社OBであった横山秀夫氏も2年間審査員を務めた。
横山秀夫(原作)コメント
泥棒を主人公とする「影踏み」について
警察などの組織も泥棒も同じフィールドにある感覚なんです。組織と個人の関係を突き詰めて考えていくと、最終的にはどんな立場の人間であれ世の中のしがらみと無縁ではいられない。すべての人間はそこから逃れられない。地面スレスレから見た社会を描きたいと思いました。
映画への期待
山崎さんと篠原監督が素晴らしい世界観を作ってくれるでしょうから、原作にとらわれずに作っていただきたい。僕はその『影踏み』を楽しみたいと思っています。
ミュージシャンとして人の心を盗むのがうまい山崎さんは、実は“泥棒”という役がぴったり合うんじゃないかと思っています。でも、山崎さんを泥棒にしてしまって申し訳なく思っています(笑)
山崎まさよし(主人公・真壁修一役) コメント
久しぶりの長編映画主演について
今回は、過去の経験も踏まえて最初から主演でとお話をいただきました。ずっと役者とは全く違う動きの中で活動してきたので、今はプレッシャーを感じています。
真壁という役について
今回はミュージシャンである自分とはかけ離れていますが、歌を書く時の目線は底辺から色んな景色を見たいと思って歌を作っています。その意味では真壁と同じ目線になれるような気がします。そういう共通項を自分の中に見つけていければと思っています。
真壁もしくじりから始まっているし、心の闇も抱えているから、真摯に役に向き合っていきたいです。
横山秀夫作品の魅力
どの作品でも、普段クローズアップされないポジションにスポットを当てているところ、普段は人々が知るよしもない人間臭い部分を描いてところが好きなんです。
今後手掛ける主題歌について
悲しさやどうにもならない気持ち、救い、最後には報われるのか、形はわからないけどそんな主題歌が書けたら。登場人物が抱えるジレンマや葛藤はこの物語に出てくる人誰もが持っているものです。その部分が成就していく醍醐味を描きたいと思います。
篠原哲雄監督コメント
撮影に向けての意気込み
僕のイメージとしては、色んな設定を通じて浮かび上がってくる人間の造形を描きたいと思っています。“中耳”にいる人間は真壁にとっては分身で切っても切れない存在です。その男の成長と愛と決別の物語だと思っています。確かな結論がいつもあるわけではないので、山崎くんに演じてもらう中で見えてくるものがあると期待しています。
山崎まさよしの魅力
男のダメなところを自然に演じられる、人間の弱さを悪びれずに自然体に演じられるのが魅力です。色んな役で人間の表面化しない裏側も悲哀を伴って出てくる感じが僕は好きなんです。愛すべきアウトローですかね。
一緒に仕事をするたびにいつも新しい山崎くんを発見できています。権力に対しての反抗心は誰にもどこかあるし、泥棒という仕事が成功するかどうかというスリル、緊張感、快楽はステージに立つ時のものと似ている気がするんです。今回も彼の魅力をどう引き出せるかが楽しみです。
『月とキャベツ』に続いての群馬での撮影。今回はどういう風景を撮る?
今回は群馬のあらゆるところ、住宅街や田んぼや空き地といったとりとめのない空間での撮影になります。そのとりとめのない風景を乾いた面白さとして捉えたいと思っています。
[影踏み 作品概要]
原作「影踏み」は警察小説が多い横山作品の中では希少な犯罪者側を主人公にした小説。
通称「ノビ師」と呼ばれる泥棒が、彼に降りかかる難事件に立ち向かい、幼馴染のヒロインとの恋と泥棒家業の狭間に揺れ動くという、横山作品の中でも女性ファンが多い恋愛ミステリー。
[ストーリー]
真壁修一は深夜に忍び込んで泥棒を働く「ノビ師」。彼には15年前母親が起こした無理心中で死んでしまった双子の弟・啓二がずっと棲み付いている。双子で一人の女(ヒロイン・久子)を愛してしまったゆえに歪んだ関係を保ち続ける二人。そんな修一に幼馴染の刑事の変死、久子に迫るストーカーと事件がふりかかる。ある時は憎み、ある時は愛した兄弟への思いを軸に久子との恋、また謎の女・葉子の存在が絡み事件は思わぬ方向に進んでいく・・。
原作:「影踏み」(祥伝社刊)
監督:篠原哲雄
主演:山崎まさよし
主題歌:山崎まさよし
プロデューサー:松岡周作
制作:ドラゴンフライ
2018年5月より群馬県でオールロケによる撮影を予定
2019年春以降公開予定