「写真時代」「ニューセルフ」など、伝説的なカルチャー・エロ雑誌を世に送り出した編集長・末井昭氏の自伝的エッセイを、俳優・柄本佑を主演に迎え、冨永昌敬監督が映画化した『素敵なダイナマイトスキャンダル』。
本作は、7歳の時に母親が隣家の若い息子とダイナマイト心中するという壮絶な体験をした末井青年が、工員、キャバレーの看板描きと職を転々としながら、70〜80年代のサブカルチャーを牽引する伝説の雑誌編集長となっていくまでを描いた青春グラフィティです。
3月17日の公開に先駆け、本日2/16(月)テアトル新宿にて東京プレミア上映舞台挨拶を行い、主人公の末井昭を演じた柄本佑、妻・牧子役の前田敦子、愛人・笛子役の三浦透子、母・富子役の尾野真千子、原作者の末井昭、そして冨永昌敬監督が登壇致しました。
映画タイトルにちなみ、登壇者が【現場でのスキャンダル】を披露。
主演の柄本は、「劇中のストリーキングのシーンで前貼りが3回ほど外れていた」というギリギリアウトな秘密を告白。
尾野は着物の裾が乱れるシーンの撮影時、「監督がサーっときて、パっと乱すんです。スキャンダルですよね」と、危うくセクハラ問題にも発展しそうな現場エピソードを暴露。それを受け「監督が一番観ていますから」と冨永監督が答え、一同爆笑のプレミアイベントとなりました。
『素敵なダイナマイトスキャンダル』東京プレミア上映舞台挨拶
【日時】2月26日(月) 18:10〜
【場所】テアトル新宿(新宿区新宿3-14-20 東京テアトルビル地下1階)
【登壇者】
柄本佑、前田敦子、三浦透子、尾野真千子、末井昭(原作)、冨永昌敬(監督)
--3月17日(土)の公開に向けて意気込みをお願いします
柄本:観て頂ければわかる作品です!面白いと思った方は宣伝の方お願いします!
前田:佑さんがすごいぴったりだと思いました。ぜひ楽しんで帰ってください
三浦:笛子(三浦が演じた役)のシーンはネタバレしないで話せないですが…
柄本:愛人て言うのもネタバレだしね。
三浦:(宣伝で)「電波な愛人」って、もう言っちゃってますしね(笑)。台本を頂いた時から映像になるのが楽しみでした。今日、観て頂けるのがすごく楽しみです。
尾野:爆発する尾野真千子です(笑)。とてもユニークな映画なので楽しんでご覧ください。
末井:2時間18分の長い映画ですが、飽きない! 3回見たけど飽きません。何回も何回も観て欲しい。熱量も高いし、女優さんたちが素晴らしい演技だし。悪いところがないですね!
冨永:末井さんに映画化さしてくださいと言ったのが7、8年前、そのさらに5年くらい前に原作となる本を手にとって、絶対映画化しよう!と思いました。他の人に取られないよう早くしなきゃ!と。なので、感無量すぎて…他の作品でもこういう舞台挨拶の機会を頂きますが、今回は特に嬉しいです。ありがとうございます!
--女優3人は同じシーンがないので初対面ですが、各女優と共演した感想は?
柄本:前田さんは「僕のあっちゃん」にしたくなる魅力のある人。他の作品に出ているのを見ると「僕はこうしたいんだ!」と思ってしまうような魅力的な女優さんです。色気を垂れ流した白いキャンバスですね。
前田:いいキャッチフレーズをつけて頂きました(笑)
柄本:三浦さんはチョイチョイチョイっというシーン(ラブシーン)があるんですけど、なんというかどっしりとされていて…僕の方がついていきます!みたいな。付いて行きたくなるくらい後ろ姿たくましい女優さんです。尾野さんとは共演シーンがないんです。完成を観て、すごい綺麗です!本当色っぽくて、スローのカットが必見!髪の毛がほつれてるんですけど、似合うんですよね。あまり観たことのない尾野さんを観ていただけるのかな、と。褒めてますよ!
尾野:(強く頷く)
--ご自身の奥さん役が前田さん、愛人役が三浦さん、母親役が尾野さんというキャスティングについていかがでしたか?
末井:贅沢すぎるというか。びっくりしました。柄本さんとは初顔合わせの時に飲みに行きましたが、どうも他人に思えない。親戚のような人な気がしました(笑)
柄本:原作本の表紙の写真を見て、俺に似てると思いました。
監督:単純に佑くんと仕事がしたかったというのもあるんですが、男前に見える時と面妖な時があって、両方持っている人。一瞬でその両方を見せてくれる人を佑くんしか知らないです。複雑だけど明るい人を誰がやるか考えたときに、佑くんしか出てこなかったんです。引き受けてくださってすごく嬉しかった。女優はまずは末井さんを驚かせたいなと思いました。そしてお客さんも納得してくれる方達。引き受けてくださってびっくりしたんですけど(笑)
--原作者と出演主題歌について
監督:音楽を担当した菊地成孔さんのアイデアで、すごく面白いので飛びつきました。
尾野:朝ドラの劇中歌を歌ったことはあるんですが、主題歌は初めてです…恥ずかしいわ〜!楽しかったんですが、恥ずかしいです。この話もういい、って思うくらい(笑)
末井:エンドロールで出ないでくださいね。
柄本:エンドロールの歌ですが、ほとんど映画のラストシーンくらいの比重なので、最後まで観て頂ければ感動もひとしおかと。
尾野:あっちゃんが歌った方が良かった、って思わないでください(笑)
--女装シーンのアドバイス
末井:振袖の女装シーンがあるんですが、その時にちょっとコツを教えてあげました。和服なので下は何を着てもいいんですが、それじゃダメ。女性用パンティとブラジャーをつけると、気持ちが入っていきます。
柄本:ブラジャーとパンティはスイッチなので着た方がいいよと言われて、すぐに衣装さんにお願いしました。そのまま胸囲を計られて準備してもらいました。着けているときは変化がないんですが、ブラジャーを外す時に思わずトップを隠してしまう。女性の気持ちがわかりました(笑)
--皆さんの素敵なスキャンダルについて
柄本:ストリーキングのシーンがあるんですが、ペンキをかぶるので前貼りがいつの間にか外れてたんです。3回くらい付け替えました。
前田:柄本さんの女装のシーンの直前に一緒の撮影だったのですが、女装に関係してるんですが、「絶対に綺麗だから」って自信があるんですよ。連絡先を交換してなかったんですが、わざわざ奥さんのサクラさんのグループラインを作って送って来てくれました。でも、綺麗ではないですよね(笑)
柄本:ラインの返信が「あー、お疲れ様です」でした(笑)
三浦:映画に出ることが、親にほぼ事後報告だったことです。いい映画なのできっと(事後報告でも)大丈夫って。親子関係は良好ですよ(笑)
尾野:着物で転ぶと、ちょっとはだけてるんですね。次のカットでも同じようにはだけていないと」いけないんですが、普通はそれを自分でやるんです。でも、監督がサーっときて、パッと乱すんですよね。スキャンダルですよね(笑)
監督:監督が一番見てますからね!
『素敵なダイナマイトスキャンダル』予告
―芸術は爆発だったりすることもあるのだが、僕の場合、お母さんが爆発だった―
バスも通らない岡山の田舎町に生まれ育った末井少年は、7歳にして母親の衝撃的な死に触れる。肺結核を患い、医者にまで見放された母親が、山中で隣家の若い男と抱き合いダイナマイトに着火&大爆発!!心中したのだ──。青年となり上京した末井昭は、小さなエロ雑誌の出版社へ。のち編集長として新感覚のエロ雑誌を創刊。読者の好奇心と性欲をかきたてるべく奮闘する日々の中で荒木経惟に出会い、さらに末井のもとには南伸坊、赤瀬川原平、嵐山光三郎ら、錚々たる表現者たちが参集する。その後も発禁と創刊を繰り返しながら、数々の雑誌を世におくりだしていく……。昭和のアンダーグラウンドカルチャーを牽引した稀代の雑誌編集長の実話を元に綴られた自伝的エッセイ「素敵なダイナマイトスキャンダル」がまさかの映画化!ダイナマイト心中という衝撃的な母の死。この数奇な運命を背負って、転がる石のように生きていた青年が辿り着いた先は──。稀代の雑誌編集長の《笑いと狂乱》の青春グラフィティ。