新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか絶賛公開中の映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』の公開を記念し、1 月 31日(水)に新宿シネマカリテにて第 2 弾トークイベントを開催致しました。

ゲストにヴィジュアリストの手塚眞さん、聞き手に 映画評論家の松崎健夫さんをお迎えし、リンチについて、またご自身の映画作りについてトークが繰り広げられました。

■日程:2018 年 1 月 31 日(水)
■時間:21:00 の回上映後
■会場:新宿シネマカリテ ( 東京都新宿区新宿3丁目37−12 新宿 NOWA ビル)
■ゲスト:手塚眞(ヴィジュアリスト)【聞き手】松崎健夫(映画評論家)

本作は、映像作品のみならず、絵画、写真、音楽など様々な方法で表現活動を続けているデヴィッド・リンチが、美術を専攻した学生時代の「退屈」と「憂鬱」、悪夢のような街フィラデルフィアでの暮らし、そして長編デビュー作『イレイザーヘッド』に至るまで自ら語ったドキュメンタリー映画。

本作の感想を聞かれた手塚氏は 「リンチの学生時代の友人としてジャック・フィスクが出てきて感動しました!彼は『ファントム・オブ・パラダイス』やテレンス・マリック監督の美術監督で、リンチとは学生時代に途中で袂を分かつんですよね。 その後フィスクは世界的に活躍し、『キャリー』のシシー・スペイセクと結婚しちゃったりする(笑)。リンチが『イレイザーヘッド』を撮っていた頃、フィスクはもちろん、それまでの仲間たちがもう既にバリバリ活躍していたはずだから、リンチは相当口惜しさがあったんじゃないかな」と分析。

それに対し「私の映像制作時代の師匠は撮影監督の栗田豊道さんなんですが、栗田さんがちょうどリンチと同じころ AFI (アメリカン・フィルム・インスティチュート)に通っていて、聞いた話だと “デヴィッド ” とかという変人が卒業もせずにずっと映画を作っていると。それが後の『イレイザーヘッド』だったそうです」と松崎氏もリンチの学生時代について語った。

また松崎氏は、「本作が『イレイザーヘッド』で終わる、ということをどう思いますか」と質問。
手塚氏は「少年時代とか、監 督デビューした当時の話など、そのところがリンチにとって“良き思い出” になっているからでしょうね。むしろ『イレイザ ーヘッド』から後の話はまだ語り切れない、時間が経たないと話せないものがあるのではないんでしょうか。その気持ちは僕もよくわかるんです」答えた。

また、自著『父・手塚治虫の素顔』(新潮文庫刊)で父・手塚治虫氏とリンチについて語り合ったエピソードに触れ「父は本当に映画が好きでよく観ていたのですが、『ブルーベルベット』を観て“僕は大嫌いだ!学生映画だ”と、怒っていました。リンチの映画は編集がすごく変わっていて、普通はやっちゃいけない手法を平気でやる。僕はそこが好きだったんですが、父には“安っぽい”と映ったようです」と話した。

リンチと自身の共通点について聞かれると手塚氏は「全く逆だ」と述べ、「リンチは映画作家である以前からアーティスト。アートを志してその中で映画を発見していく。僕は最初から映画を撮りたくて、映画にしか興味がなかった。映画をやっていくなかでアートを見つけていった」と説明した。

また、現在公開中の『星くず兄弟の新たな伝説』について話が及ぶと、「もともと『星くず兄弟の伝説』は、僕にとって「アクシデント」みたいなもの。近田春夫さんに頼まれて作り始めた。素人同然の人たちが集まって、さらにその知り合いなんかが出演した作品が、たまたまバブルの時代に乗っかって“商業映画”になってしまい、さらに今でいう“カルト映画”的な評価を受けた。新作ではその約 30 年後を描いてるわけですが、とにかく自由な作品になった。それに、リンチが『イレイザーヘッド』以降についてまだ語っていないように、僕も 10 年前だったら『星くず兄弟の伝説』の続編は作ってなかったし、話す気にすらならなかったと思う」と自身を振り返った。

画像: 右より手塚眞(ヴィジュアリスト)、松崎健夫(映画評論家)

右より手塚眞(ヴィジュアリスト)、松崎健夫(映画評論家) 

リンチが紡ぐ「悪夢」はどこから生まれるのか?
『ツイン・ピークス The Return』で再び世界を騒がせる、

映画界で最も得体の知れない監督――その「謎」が「謎」でなくなる、かもしれない。

映像作品のみならず、絵画、写真、音楽など様々な方法で表現活動を続けているデヴィッド・リンチ。「その頃の僕の世界はとても小さく、近所の数ブロックに全てがあった」ハリウッドにある自宅兼アトリエで語られる過去。「恐怖が垂れ込める意地の悪い街」フィラデルフィアでの日常。その中に潜む「恐怖」「苦悩」は、まるでリンチ作品の登場人物のような姿で私たちの前に現れては消えていく。

アメリカの小さな田舎町で家族と過ごした幼少期、アーティストとしての人生に憧れながらも溢れ出る創造性を持て余した学生時代の退屈と憂鬱。後の『マルホランド・ドライブ』(2001 年)美術監督である親友ジャック・フィスクとの友情。
生活の為に働きながら、助成金の知らせを待った日々。そして、当時の妻ペギーの出産を経てつくられた長編デビュー作『イレイザーヘッド』(1976 年)に至るまでを奇才デヴィッド・リンチ自らが語りつくす。

画像: リンチが全てを語った--『デヴィッド・リンチ:アートライフ』 予告 youtu.be

リンチが全てを語った--『デヴィッド・リンチ:アートライフ』 予告

youtu.be

◆監督:ジョン・グエン、リック・バーンズ、オリヴィア・ネールガード=ホルム(『ヴィクトリア』脚本)
◆出演:デヴィッド・リンチ
◆配給・宣伝:アップリンク
(2016 年/アメリカ・デンマーク/88 分/英語/DCP/1.85:1/原題:David Lynch: The Art Life)

『デヴィッド・リンチ:アートライフ』は
新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか絶賛公開中!

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