「LuckyHouse のポートフォリオ」21 アダン・ホドロフスキー
アレハンドロ・ホドロフスキー監督最新作『エンドレス・ポエトリー』で主演&音楽を担った監督の末息子アダンが“東京国際映画祭”で来日!

画像: (C) 2016 SATORI FILMS, LE SOLEIL FILMS Y LE PACTE photo:(C)Pascale Montandon-Jodorowsky

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第30回東京国際映画祭の特別招待作品に選出されたアレハンドロ・ホドロフスキー監督の最新作『エンドレス・ポエトリー』が去る10月26日、東京・EXシアター六本木で上映され、本作で主演と音楽を担当した実の息子アダン・ホドロフスキーが上映後のQ&Aコーナーに登壇した。

画像1: アダン・ホドロフスキー Photo by Yoko KIKKA

アダン・ホドロフスキー
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アダン・ホドロフスキー
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『エンドレス・ポエトリー』は、『エル・トポ』『ホーリー・マウンテン』などでカルト的人気を誇るチリ出身の鬼才監督アレハンドロ・ホドロフスキーの自伝的作品である『リアリティのダンス』(2013年)の続編(フランス・チリ・日本の合作)にあたり、物語は前作のラストシーンから始まる。

家族揃って故郷のトコピージャから首都サンティアゴへ移住したアレハンドロ少年が、父親ハイメとの軋轢や自身の葛藤を抱えながら成長。やがて、詩人のエンリケ・リンを始めとする若きアーティストたちとの出会いと交流を通して、自分が囚われていた殻を破り、自己を確立していく姿を独特なビビッドかつファンタスティックな映像表現で描写する。

撮影を担当したのは、あの異彩クリストファー・ドイル。前作で少年期の主人公を演じたイェレミアス・ハースコビッツを始め、父親役のブロンティス・ホドロフスキー(監督の長男)、母親役のパメラ・フローレス(今回は二役)が再登板した本作で、青年期の主人公を熱演したアダンは、ホドロフスキー家の四男(1983年10月生まれ)だ。

アダン・ホドロフスキーは、父親が1989年に監督した『サンタ・サングレ/聖なる血』の主人公フェニックスの少年期の役で映画初出演し、同年の“サターン若手俳優賞”を獲得。成長後は短編映画を撮る一方で、ジャン=ピエール・モッキー監督の「Les araignées de la nuit」(2002年)、ジャック・バラティエ監督の「Rien, voilà l'ordre」(2003年)、女優ジュリー・デルピーの監督&脚本&主演作『パリ、恋人たちの2日間』(2007年)などに出演。

また、“アダノスキー(Adanowsky)”名義のミュージシャンとしても活躍(拠点はパリとメキシコ)しており、2006年に1stソロ・アルバム「Étoile Éternelle」をリリース。2008年に発表した2ndアルバム「エル・ドロ」で国際的な脚光を浴びる。2011年に3rdアルバム「アマドー」をリリースし、UFI賞で“ベスト国際アーティスト賞”や“ベスト・ライブ・ショー”を受賞。アナーキスト役で助演した前作『リアリティのダンス』と主役を張った本作『エンドレス・ポエトリー』の両作においては、オリジナル・サウンドトラックも手掛けている。

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アダン・ホドロフスキー
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父の名代も兼ねて来日を果たしたアダンは、『エンドレス・ポエトリー』上映後のQ&Aで、父親の演出法や順取りした撮影時の裏話をユーモアを交えながら披露した。

前作に引き続き、アダンの祖父にあたる父親役で長兄のブロンティスが、衣装デザインをホドロフスキー監督の現在の妻パスカル・モンタンドン=ホドロフスキーが担当し、ホドロフスキー監督本人もスクリーンに顔を出す『エンドレス・ポエトリー』は、まさに文字通りの家族映画(前作において“行者”役で登場した次男のクリストバルは今回は不参加)である。

さらに、撮影現場で発覚した因縁話もあり、アダンによると「実はさ、エンリケ・リンを演じたレアンドロ・ターブは、なんと僕の妻の元カレで、妻は彼を振って僕の許にきたんだ。だから、彼は僕のことが大嫌いで、ず~っと不機嫌だったよ。映画には、僕が彼のガールフレンドと寝るシーンがあるんだけど、まるで現実をなぞったかのような話なんで、彼は本気で怒っていたけれど、最終的には何とか収まった」そうだ。

また、本作の音楽は、パリのスタジオでミシェル・ルグランが実際に使っていたピアノを用いて全曲を作曲し、サントラを収録した自信作だそうで、音楽に対する監督からのリクエストの有無を問われたアダンは、「父とは前作で既にコラボレーションしているので、望む音楽の傾向はおのずと判っている。彼はバイオリン、ピアノ、フルート、オーボエを中心とした楽曲を好み、サティ、ベートーベン、ストラビンスキーが大好きなんだ。あとは『ホーリー・マウンテン』『エル・トポ』で使った音楽も参考にした」という。

さらには、家庭でのホドロフスキー監督の姿や宗教観、ホドロフスキー家の一風変わった教育法、子供時代の様々なエピソード、自身のミュージシャンとしての創作活動、父親の次作についてまでに話が及んだQ&Aは、実に盛況であった。
(Text by Yoko KIKKA)

吉家 容子(きっか・ようこ)
映画ジャーナリスト。雑誌編集を経てフリーに。
シネフィルでは「フォトギャラリー」と気になるシネマトピックをお届け!

アダン・ホドロフスキーが音楽を担当した『エンドレス・ポエトリー』予告

画像: ホドロフスキー監督の魂の自叙伝『エンドレス・ポエトリー』予告 youtu.be

ホドロフスキー監督の魂の自叙伝『エンドレス・ポエトリー』予告

youtu.be

監督・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー
撮影: クリストファー・ドイル
出演:アダン・ホドロフスキー/パメラ・フローレス/ブロンティス・ホドロフスキー/レアンドロ・ターブ、イェレミアス・ハースコヴィッツ
配給:アップリンク
(2016年/フランス、チリ、日本/128分/スペイン語/1:1.85/5.1ch/DCP)
(C) 2016 SATORI FILMS, LE SOLEIL FILMS Y LE PACTE
photo:(C)Pascale Montandon-Jodorowsky

『エンドレス・ポエトリー』は、11月18日から東京・新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、UPLINKほか全国順次公開。

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