さあ、始まりました--トロント国際映画祭。
ここでは、トロントで上映される作品の中から、今までにシネフィルで紹介した作品を含め、新規の予告が公開されていた気になる8本を紹介いたします。
カンヌから、ヴェネツィアまでに紹介されてきた日本公開前の気になる作品を特に選んでおります。
『REDOUBTABLE』ミシェル・アザナヴィシウス監督
カンヌでも話題になった若かりしゴダール監督のロマンスを『アーティスト』ミシェル・アザナヴィシウス監督が映画化。
パリ五月革命が起きる前のパリで熱かった学生運動とからめ、1967年の結婚に至る、様子を描いているそうなので、それこそシネフィルにはたまらないテーマです。
今回は、TIFFの予告では今まで以上に作品の雰囲気も理解できます。
ゴダール役はルイ・ガレル、共演はステイシー・マーティン。
『THE SHAPE OF WATER 』ギレルモ・デル・トロ監督
ギレルモ・デル・トロ監督の最新作。ヴェネツィア国際映画祭でも大絶賛で、デル・トロ監督の最高傑作という批評も飛び交っています。アカデミーへの期待がかかる作品。
冷戦下の極秘の研究所の中で、話すことができない孤独な女性と半魚人との切ない恋を描いたダーク・ファンタジー。
出演者は、サリー・ホーキンスをはじめ、オクタヴィア・スペンサー、マイケル・シャノン、マイケル・スタールバーグなどが名を連ねています。
『DARKEST HOUR』ジョー・ライト監督
ゲイリー・オールドマンがチャーチルを演じ、『つぐない』『ハンナ』『PAN 〜ネバーランド、夢のはじまり〜 』などのジョー・ライトがメガホンをとる歴史作品。
第二次世界大戦初期、首相に就任してアドルフ・ヒトラーと対峙するウィンストン・チャーチルを描いています。
ゲイリー・オールドマンの演技に注目。
『MOLLY'S GAME』アーロン・ソーキン監督
『ソーシャル・ネットワーク』『スティーブ・ジョブズ 』などの脚本や脚色などで知られるヒットメーカーアーロン・ソーキンが初めて監督に挑んだ話題作『MOLLY'S GAME』。
もともと、世界レベルのスキーヤーで、のちに違法なセレブ御用達のポーカールームの運営でFBIに逮捕されたというモリー・ブルームの回想録の映画化。
出演はジェシカ・チャステインとイドリス・エルバなど。
『追捕 MANHUNT 』ジョン・ウー監督
西村寿行の小説を原作に高倉健と中野良子が主演し佐藤純彌監督が1976年に映画化し中国でも大ヒットした『君よ憤怒の河を渉れ』を『男たちの挽歌』や『ミッション・インポッシブル 2』『レッドクリフ』のジョン・ウー監督がリメイク。
『君よ憤怒の河を渉れ』で原田芳雄が演じた役を、福山雅治が演じてチャン・ハンユーとW主演しています。
撮影の大部分を大阪を中心とした日本で撮られ、撮影は石坂拓郎、プロダクション・デザイン種田陽平、アート・ディレクション小島伸介などの日本の製作陣が参加しています。
『In the Fade』ファティ・アキン監督
カンヌ国際映画祭でダイアン・クルーガーに主演女優賞をもたらした作品。
ダイアン・クルーガーは『イングロリアス・バスターズ』『潜入者』などでハリウッドやヨーロッパを中心に活躍しており、本作で母国語であるドイツ語を使った映画に初挑戦した。
監督は『ソウル・キッチン』『消えた声が、その名を呼ぶ 』そして、まもなく日本公開の『50年後のボクたちは』のファティ・アキン。
『MOTHER! 』ダーレン・ アロノフスキー監督
こちらもヴェネツィア国際映画祭のラインナップからトロントで北米プレミアとなる作品。
「レスラー」や「ブラック・スワン」のダーレン・アロノフスキー監督のサイコサスペンスな最新作。主演はジェニファー・ローレンスとハビエル・バルデム。
ヴェネツィアでは賛否が激しかった作品だったようですが、果たして--
『The Florida Project』ショーン・ベイカー監督
Iphonだけでとった前作『タンジェリン』で世界をアッと言わせたシェーン・ベイカー監督の最新作。今回は基本的に35mmで撮影されており、6歳の女の子のひと夏の経験を描きます。ただ、やはり独特な色彩感覚が予告からも伝わってきます。
出演はウィレム・デフォーがモーテルのマネージャー役として出演しているほか、ブリア・ヴィナイテ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズなど。
上記の他にもブリー・ラーソンの初監督作『Unicorn Store』や予告がまだ配布されていないヴェネツィアのオープニングを飾り大絶賛だったマット・デイモン主演×アレクサンダー・ペイン監督の”“全人類の縮小計画”を描く『ダウンサイズ』。
また、シネフィルで紹介済みのグレタ・ガーウィグの初監督作品『Lady Bird』、同じく紹介している本年度のLGBT映画の傑作と言われている『ミラノ、愛に生きる』『胸騒ぎのシチリア』のルカ・グァダニーノ監督の最新作『Call Me By Your Name』も気に留めておきたい作品であることも付記しておきます。
園田恵子 (詩人/映画批評)