「LuckyHouse のポートフォリオ」20
今、最も旬な俳優アダム・ドライバー
8/26公開-鬼才ジム・ジャームッシュ監督最新作『パターソン』で主人公を好演!
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』などのメジャー大作からインディペンデント映画の小品まで、実に守備範囲が広く、多彩な顔ぶれの監督から重宝がられている若手実力派俳優アダム・ドライバーが、バス運転手の主人公を飄々と演じ、L.A.とトロントの映画批評家協会から昨年のベスト俳優に選ばれた人間ドラマの秀作『パターソン』が、8月26日に公開される。
1983年11月19日、カリフォルニア州サンディエゴで生まれ、両親の離婚後、インディアナ州で育ったアダム・ドライバーは、高校時代に演劇を始めるも、9・11同時多発テロをきっかけに海兵隊に入隊。だが、マウンテンバイクの事故で胸骨を骨折したために退役を余儀なくされる。その後、インディアナポリス大学に進学して1年間学んだ彼は、初志を貫徹すべく名門ジュリアード音楽院に移って演劇を専攻。2009年に卒業して間もなくTVシリーズで俳優デビューを果たし、舞台活動も開始する。
2011年のクリント・イーストウッド監督作『J・エドガー』で長編映画デビューを飾った彼は、2012年に放送開始されたHBOの人気ドラマ「Girls/ガールズ」でブレイクし、エミー賞にノミネートされる。以降も、ノア・バームバック監督の『フランシス・ハ』(12年)、スティーブン・スピルバーグ監督の『リンカーン』(12年)、ジョエル&イーサン・コーエン兄弟の『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』(13年)、ノア・バームバック監督の『ヤング・アダルト・ニューヨーク』(14年)等々、名高い監督との仕事が続く。
2015年には、SF映画の金字塔シリーズの新たな3部作の第1章『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の主要キャスト、カイロ・レン役に抜擢され(今年の12月に公開される第2章『最後のジェダイ』にも同役で登板!)、翌2016年には遠藤周作の名作小説を巨匠マーティン・スコセッシ監督が映画化した話題作『沈黙』に出演した。
その一方で、アイルランドとカナダの合作映画『もしも君に恋したら。』(13年)、オーストラリア映画『奇跡の2000マイル』(13年)など、海外作品にも意欲的に参加しており、2014年に主演したイタリア映画『ハングリー・ハーツ』ではヴェネチア国際映画祭の男優賞を受賞した。
そんな彼の最新公開作『パターソン』は、インディーズ映画の雄、ジム・ジャームッシュ監督が4年ぶりに手がけた長編劇映画で、舞台はニュージャージー州のパターソンだ。
毎日、市内の同じルートを運転しているバスの運転手パターソン(アダム・ドライバー)は、妻のローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)とこぢんまりとした家に住み、小さなブルドッグを飼っている。“詩”が好きな彼の日課は、思いつくままノートに詩を書きつけることと愛犬マーヴィンとの散歩がてらに行きつけのバーでビールを飲むことだが……。
街と同じ名前を持つバス運転手の1週間の出来事を淡々かつ絶妙な間で綴り、手書き文字でスクリーンに映し出される“詩”の数々にも趣がある本作は、かけがえのない時間を過ごす主人公の無類の観察好き&携帯電話嫌い、行動派の妻のキャラなど、設定にも妙があり、実に味わい深い作品だ。そして、『ミステリー・トレイン』以来27年ぶりのジャームッシュ作品となる永瀬正敏が、出番は少ないながらも“ビシッ!”と決めてくれる終幕はまさに拍手モノの快作である。
『パターソン』がワールドプレミア上映された昨年のカンヌ国際映画祭の公式記者会見(現地時間:5/16)においてジム・ジャームッシュ監督は、アダム・ドライバーの起用について「海軍入隊とジュリアード音楽院で学んだ経歴を持つ彼は、全く異なる2つの世界を知っているのが強み。両方を経験しているので、役者としてとってもバランスがいいんだ」とコメント。そんな監督の称賛に応えて主人公を力まずに自然体で好演したアダム・ドライバーにとって、本作は代表作の1つとなるに違いない。
(Text by Yoko KIKKA)
吉家 容子(きっか・ようこ)
映画ジャーナリスト。雑誌編集を経てフリーに。
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8月26日より公開される『パターソン』予告
監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
出演:アダム・ドライバー、ゴルシフテ・ファラハニ、永瀬正敏 他
2016年/アメリカ/英語/118分/アメリカンビスタ/カラー/5.1ch/原題: PA E ON/
日本語字幕:石田泰子
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