87年の日本映画界を震撼させた驚愕の作品。
天皇の戦争責任に迫る過激なアナーキスト・奥崎謙三を追った衝撃のドキュメンタリー『ゆきゆきて、神軍』が渋谷のアップリンクにおいて、8月12日(土)~8月18日(金)まで上映されることが決まった。
30年の時を経て今再び、平成の日本に問うー
1987年8月1日、渋谷のユーロスペースで『ゆきゆきて、神軍』が封切られ、この年の8月から翌年3月まで26週間にわたる記録的な大ロングランとなり、5万3000人を動員。今もなお同劇場の興行成績ナンバーワンの記録は破られていないという。
その噂は全国に広がり、単館公開から全国50カ所で公開され、日本のドキュメンタリー映画の世界を変えた作品。
神戸市で妻とバッテリー商を営む奥崎謙三は、たったひとりの「神軍平等兵」として、”神軍”の旗たなびく車に乗り、今日も日本列島を疾駆する。
生き残った元兵士たちの口から戦後36年目にしてはじめて、驚くべき事件の真実と戦争の実態が明かされる・・・。
平和ニッポンを鮮やかに過激に撃ち抜いた原一男渾身の大ヒット・ドキュメンタリー。
再上映のきっかけは2017年5月の毎日新聞の「『ゆきゆきて、神軍』いま上映できるか 公開30年、原一男監督に聞く」という記事。インタビューでは「世間の『守り』の空気が強まる平成の時代では、公開が難しいかもしれない」と話していたが、ツイッターなどで再上映への期待の声が高まり劇場公開が決まったという。
『ゆきゆきて、神軍』(1987年/122分/DCP)
監督・撮影:原一男
製作:小林佐智子
録音:栗林豊彦
編集・構成:鍋島惇
また、今回併映作品として、『亜人間 奥崎謙三』が上映されこの31分の短編に対して監督は--
奥崎謙三さんが亡くなってしばらく経った頃、奥崎さんの熱心な支援を続けてきた方から電話を頂いた。「奥崎さんの形見分けをしますので来ませんか?」と。田中角栄を殺すために記す、と大書したシャッターを上げて中に入るとかつて知ったる奥崎さんの事務所。生前の奥崎さんのイメージが蘇る。階段を上がっていくと、主がいないため締め切ってるせいだろう、かび臭い感じ。ここで奥崎さんは寝泊まりしていたのだ。部屋を見回す。格別な趣味とてなかった奥崎さん、金目のものなんかあるわけないことは知っているが、せめて記念になるものはないかと見回す。部屋の片隅のタンスの上で目がとまった。VHSテープが積み上げてあった。手に取り、ラベルをみると「神軍平等兵の遺言」「神軍平等兵の凱旋」等の、独特の癖のある奥崎さんの文字が読めた。テープの数、およそ40本。「これを頂いていいですか?」「いいですよ」
持ち帰った、晩年の奥崎さんの映像。再生して観てみると、年をとって体も弱ってきたことだろう、ベッドの上に座った状態で、カメラマンは多分、バイトで雇った若い人と思われるが彼に指示しての、一人語りの映像がほとんどだ。
語りの内容だが、私への批判もある。かなりどぎつい内容だ。聞きながら、そうかあ……奥崎さんは、まだ「神軍Part2」の夢が諦められないのか!と胸が痛んだ。
私の感慨はさておき、この映像を奥崎ファンに見せてあげるべき、と思った次第。そんな経緯があってこの「㊙奥崎謙三の晩年」を今回のイベントで上映することを決めたわけです。
映画監督・原一男
と述べている。
『亜人間 奥崎謙三』予告編
会期中は、茂木健一郎氏をはじめ多くのゲストを招いて連日トークショーも開催される。
詳細は下記より