第70回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されていた、『『BPM (Beats Per Minute)』が、コンペ部門のFIPRESCI(国際映画批評家連盟)賞と審査員特別グランプリを受賞しました。
なんといっても、今年のカンヌで上映されるや最も話題になった作品。
授賞式では、作品名が読み上げられた後、会場からは熱烈なスタンディングオベーションが贈られました。
ロバン・カンピヨ監督は言葉を感極まった様子で、壇上に上がり、一言一言噛みしめながら次のようにスピーチいたしました。
「この作品は決して一人では成し遂げられませんでした。役者、スタッフの皆さん、プロデューサー、サポーターをしてくださった方々のおかげです。この映画は、知的で力強く、物語としても、グループとしても冒険でしたが、みんなと一緒だからこそできたことです。そしてこの映画祭は、私にとって力強い感情を与えてくれました。この作品は、エイズで亡くなられた方へのオマージュであるとともに、頑張って生きている方々を勇気づけるものでもあります。勇気を持って闘い続けてている人、当時命を懸けて(ACTUP)の活動を行った人を想い、この作品を作りました。本当にありがとうございました。」
【作品情報】
本作は、第61回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し『パリ20区、僕たちのクラス』の脚本・編集を担当し、監督作『イースタン・ボーイズ』では第70回ヴェネチア国際映画祭 オリゾンティ部門の最高賞を受賞したロバン・カンピヨ監督の長編第3作。
舞台は1990年代初めのパリ。エイズの感染による差別や不当な扱いに抗議し、政府や製薬会社などへ変革に挑んだ実在の団体「ACT UP」(*)の活動を通して、若者たちの恋と人生の輝きを描く。ACT UPのメンバーだったという監督自身の経験が物語のベースとなっている。
明日も知れぬ命を抱える主人公の葛藤、感染者を一人でも減らしたい、友人の命を助けたいという情熱、恋人との限りある愛・・。生と死、理想と現実の狭間で揺れ動きながらも、強く生きる若者たち。彼らの生き生きとした表情や行動が、力強くエモーショナルな映像と共に綴られる、感動作。
*ACT UPとは?➡
正式名称:the AIDS Coalition to Unleash Power =力を解き放つためのエイズ連合
アクトアップ・ニューヨークは1987年3月にニューヨークで発足したエイズ・アクティビストの団体。
エイズ政策に感染者の声を反映させることに力を入れ、差別や不当な扱いに抗議して、政府、製薬会社などに対しデモなどの直接行動に訴えることもしばしばある。現在は全米各地やフランス、インド、ネパールなどにもアクトアップが作られている。
*BPMとは ➡心拍数を表す単位。
★各誌で絶賛の声!!!★
●ヴァラエティ誌:
21世紀、世界的に、中でも特にゲイコミュニティに影を落としたヘルス危機を、アメリカ以外の視点から描いているのは稀で貴重。『フィラデルフィア』や『ダラス・バイヤーズ・クラブ』のような政治色の強いAIDSドラマと比べて熱が感じられる。ゲイや彼らのエロディズムを恐れることなく描いているが、感情に訴えかけてくるものは、LGBTというニッチなジャンルを超越している。主人公のショーンとネイサンの優しく互いを支え合うロマンスは、それぞれの人間性の奥深い部分を見せてくれる。
●IndieWire誌:
感動的なラブストーリーであると同時に、社会的活動が無関心な人々の目を覚めさせるためにいかに有効的かを証明していて、政治的にも関心も呼ぶにちがいない!
●ヴァニティ・フェア誌:
半分ドキュドラマであり、もう半分は病に犯された人物の物語。この二つのジャンルが、アートフルなシーンや激しく交わされる議論と交わり、啓発的かつ親密的な作品に仕上がっている。パルムドール候補に挙げられるのも納得!AIDS患者の数が増えているにも関わらず、1980~1990年代のトラウマが薄らいでいってしまっている中、きちんと配給およびマーケティングされることを願っている。
出演:ナウエル・ペレ・ビスカヤー、アーノード・ヴァロワ、アデル・エネル ほか
脚本・監督:ロバン・カンピヨ
製作国:フランス