「LuckyHouse のポートフォリオ」19 フランスの人気若手女優アデル・エネル
主演したベルギーの名匠ダルデンヌ兄弟のヒューマン・サスペンスの秀作『午後8時の訪問者』が4/8に公開!

1989年1月1日、フランスのパリ12区で翻訳家の父と教師の母の間に生まれ、郊外で育ったアデル・エネル(兄弟は男ばかりの4人!)は、2002年、映画初出演して主演に抜擢された『クロエの棲む夢』でスクリーンデビューを飾る。

『クロエの棲む夢』は、幼い頃に街頭に捨てられた兄妹が施設を逃げ出し、見知らぬ街を彷徨う姿を描いたクリストフ・ルッジア監督の社会派ドラマで、心を病んだ妹クロエ役に挑んだアデル・エネルは、兄役のヴァンサン・ロティエと共に驚異的な演技を披露。同年に横浜で開催された“フランス映画祭 2002”の上映作ゲストとして初来日を果たす。

画像: 2002年の来日時のアデル・エネル。右は兄役で共演したヴァンサン・ロティエ Photo by Yoko KIKKA

2002年の来日時のアデル・エネル。右は兄役で共演したヴァンサン・ロティエ Photo by Yoko KIKKA

映画出演2作目となる『水の中のつぼみ』は、揺れる思春期の少女たちの姿を淡いエロティシズムと瑞々しいタッチで綴った2007年のガールズ・ムービー。
才女セリーヌ・シアマの監督デビュー作で、5年ぶりにスクリーンに登場したアデル・エネルは、あどけなさが残っていた前作から一変。
まるでアゲハ蝶の羽化のごとく、伸びやかな肢体と際立った美貌の持ち主に成長した彼女は、そのルックスと演技力の双方における大きな飛躍により第33回セザール賞有望女優賞にノミネートされ、“フランス映画祭 2008”で再来日した。

その後の彼女の活躍は目覚ましく、2011年のベルトラン・ボネロ監督作『メゾン ある娼館の記憶』で再びセザール賞有望女優賞にノミネートされ、同作で共演したセリーヌ・サレットと共に第17回リュミエール賞最優秀新人女優賞を獲得。
2013年のカテル・キレヴェレ監督作「スザンヌ」ではセザール賞助演女優賞を受賞、翌2014年のトマ・ケレー監督作「Les Combattants」ではセザール賞主演女優賞に輝き、若手トップ女優としての地位を確立した。

その他の代表作には、カトリーヌ・コルシニ監督の『黒いスーツを着た男』(2012年)、アンドレ・テシネ監督の「ニースの疑惑 カジノ令嬢失踪事件」(2014年)などがあり、2016年の“東京国際映画祭”東京グランプリを受賞したクリス・クラウス監督の「ブルーム・オヴ・イエスタディ」では、習得したドイツ語を流暢に操った上で見事なコメディエンヌぶりを発揮して魅せている。

そんな大躍進中のアデル・エネルが、身元不明の少女の死に対して罪悪感を抱き、その死の真相を探っていく若き女医を熱演した最新作『午後8時の訪問者』が4月8日に公開される。

画像: カンヌ国際映画祭の公式記者会見(5/18:現地時間):左からジャン=ピエール・ダルデンヌ監督(兄)、アデル・エネル、リュック・ダルデンヌ監督(弟) Photo by Yoko KIKKA

カンヌ国際映画祭の公式記者会見(5/18:現地時間):左からジャン=ピエール・ダルデンヌ監督(兄)、アデル・エネル、リュック・ダルデンヌ監督(弟) Photo by Yoko KIKKA

有能な女医ジェニーが、診療時間を大幅に過ぎてから鳴らされたドアベルに応対しなかった翌日、近所で身元不明の少女の遺体が発見される。診療所の監視カメラにはその少女が助けを求める姿が映し出されていた。自責の念にかられたジェニーは、少女の生前の足取りを調べ始めるが……。

監督は、本作で7作品連続カンヌ国際映画祭コンペティション部門選出の快挙を成し遂げたベルギーの名匠ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟(1999年の『ロゼッタ』と2005年の『ある子供』で2度の最高賞パルムドールを、2008年の『ロルナの祈り』では脚本賞を、2011年の『少年と自転車』ではグランプリを受賞)で、ジェレミー・レニエ、オリヴィエ・グルメ、ファブリツィオ・ロンジョーネらダルデンヌ組の常連俳優が脇を固めている。

画像: 表情豊かにコメントするアデル・エネル Photo by Yoko KIKKA

表情豊かにコメントするアデル・エネル Photo by Yoko KIKKA

アデル・エネルが全編出ずっぱりで、良心の呵責に突き動かされて行動するストイックなヒロイン(シンプルな単色のセーター姿が印象的!)の葛藤を繊細かつシリアスに演じ切った本作は、昨年のカンヌ国際映画祭でワールドプレミア上映され、その公式記者会見には大勢の報道陣が詰めかけた。

画像: 175cmの長身でスタイル抜群のアデル・エネル Photo by Yoko KIKKA

175cmの長身でスタイル抜群のアデル・エネル Photo by Yoko KIKKA

ダルデンヌ兄弟いわく、当初は本作のヒロインの年齢は30~35歳ぐらいを設定していたそうだが、純真無垢な表情を持つ長身のアデルと知り合ったことで、あえて設定を変更したという。そんな名匠の称賛&期待に本作で見事に応えたアデル・エネルの真摯な演技はまさに必見である。
(Text by Yoko KIKKA)

吉家 容子(きっか・ようこ)
映画ジャーナリスト。雑誌編集を経てフリーに。
シネフィルでは「フォトギャラリー」と気になるシネマトピックをお届け!

『午後8時の訪問者』予告

画像: 『午後8時の訪問者』 youtu.be

『午後8時の訪問者』

youtu.be

ストーリー

診療受付時間をとっくに過ぎた午後8時に鳴ったドアベルに若き女医ジェニーは応じなかった。
その翌日、診療所近くで身元不明の少女の遺体が見つかる。
それは診療所のモニターに収められた少女だった。少女は誰なのか?なぜ死んだのか?
ドアベルを押して何を伝えようとしていたのか? あふれかえる疑問の中、
なくなる直前の少女の足取りを探るうちにジェニーは危険に巻き込まれて行く。
彼女の名を知ろうと必死で少女のかけらを集めるジェニーが見つけ出す意外な死の真相とは――。

『午後8時の訪問者』
youtu.be
監督・脚本:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
撮影:アラン・マルコァン 編集:マリー=エレーヌ・ドゾ
出演:アデル・エネル、オリヴィエ・ボノー、ジェレミー・レニエ、ルカ・ミネラ、
   オリヴィエ・グルメ、ファブリツィオ・ロンジォ―ネ
© LES FILMS DU FLEUVE - ARCHIPEL 35 - SAVAGE FILM – FRANCE 2 CINÉMA - VOO et Be tv - RTBF (Télévision belge)
2016年/ベルギー=フランス/106分/カラー/La Fille Inconnue(原題)
提供:ビターズ・エンド、KADOKAWA、WOWOW 
配給:ビターズ・エンド

4/8(土) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館
ほか全国順次ロードショー!

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