「アメリカを撃つ————孤高の映画作家ロバート・クレイマー」
上映時間4時間超の最高傑作『ルート1/USA』を加え、奇跡の再上映決定!!
1999年に惜しくも急逝したが、いまなお多くの映画監督たちに影響を与え続ける 映画作家ロバート・クレイマー。
アメリカが最も熱く激しく動いた時代を活写した2作品『アイス』『マイルストーンズ』と、米ソ冷戦後の疲弊するアメリカ社会を4時間を超える長尺で描く最高傑作『ルート1/USA』を一挙上映し、対立と融和の間で揺れるアメリカの今を見つめる。
アメリカを、世界を、見つめ続けた映画作家ロバート・クレイマー。幻の初期作2本と最高傑作と評される『ルート1/USA』を16mmと35mmフィルムで一挙上映!!
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『ルート1/USA』での彼は確実に生き返り、まぎれもなく最大の傑作となっていた。クレイマーは、一人の役者をほぼ自分と等身大の存在としてこの道路に投げ込んでいるのだが、医師を職業とするその男が都市ごとに出会う合衆国の表情は、これまでどんなアメリカ映画でも出会ったことのない生なましさで視界を横切り、もうこうなったら、5時間続こうが6時間に及ぼうが、この映画には最後までつきあうぞという勇気を見る者に与えてくれる。
——蓮實重彦(映画評論家)「映画巡礼」より抜粋
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『アメリカを撃つ————孤高の映画作家ロバート・クレイマー』予告
『『ルート1/USA』
★山形国際ドキュメンタリー映画祭‘89 山形市長賞(最優秀賞)
1989年|フランス|英語|カラー|255分|35mm
監督・撮影・編集:ロバート・クレイマー
音楽:バール・フィリップス
出演:ポール・マクアイザック
10年振りに故郷アメリカに戻った主人公がカナダからフロリダに至るハイウェイ、ルート1を辿るロードムービー。アメリカに戻ったロバート・クレイマーは、ポール・マクアイザック演じるドクという主人公と共にフィクションともドキュメンタリーともつかない、現代アメリカの様相を鋭く切り取る。旅の同行者となった観客は、登場するいくつもの顔をいつまでも覚えているに違いない。ロバート・クレイマーの最高傑作と評される一作。
『アイス』
1969年|アメリカ|英語|モノクロ|132分|16mm
監督:ロバート・クレイマー
出演:トム・グリフィン、ポール・マクアイザック、ロバート・クレイマー、 バーバラ・ストーン、ジョナス・メカスほか
近未来、若き革命家たち――革命組織全国委員会のメンバーが潜伏状態から抜け出すためにゲリラ活動を開始する。その頃メキシコでは解放戦線がアメリカ政府相手に抗争を続けている。目標は白人の革命家たちが黒人、プエルトリコ人、メキシコ人と同盟することだが、同じように搾取された犠牲者たちでありながら、彼らは互いを理解し合うことができない。そして革命的な攻撃活動が勃発。さまざまな行動がエスカレートしていく——— 体制批判の新聞が発刊される。陸軍の大佐が暗殺される。製油所が爆破される。刑務所やラジオ・テレビの放送局が襲撃される。———警察がグループのリーダーを抹殺し、ジムという名の人物が後を継ぐ。そして次なる決定的な闘いが始まるのだった。69年のヴェトナム戦争が泥沼化する時代状況を鮮烈なフィクションとして描いた。
『マイルストーンズ』
1975年|アメリカ|英語|カラー|206分|16mm
監督・脚本・撮影・編集:ロバート・クレイマー
共同監督:ジョン・ダグラス
出演:G・W・アボット、アンバー・アン、ローレル・バーガー、ノア・バーガー、ジョン・ダグラス、エリカ・クレイマーほか
ひとつの時代が終わり、そこに新しい誕生の可能性が示唆される、“運動”の世代の自画像。50人を超える登場人物からなる6つの物語が互いに干渉を繰り返しつつ巨大なモザイクを作り出す。背景に広がるのは「ユタの雪を被った山々から、自然がモニュメント・ヴァレーに作り出した彫刻まで、ホピ・インディアンの洞窟からニューヨーク・シティの汚れと埃まで」の壮大なキャンヴァス。アメリカの左翼ラディカルの生き残りたちの生活と生きざまが、政治的にも個人としても変化に直面した人々の社会の質感の中に入り込み、複雑にからみ合う、1970年代を代表する傑作。「ルート1/USA」は『マイルストーンズ』の続編とみなされている。
●ロバート・クレイマー Robert Kramer プロフィール
1936年ニューヨーク生まれ。1960年代にジョン・ジョストらと共に映像による左翼前衛闘争集団“ニューズリール”の結成メンバーとなり、集団制作により4年間に50本の作品を発表。その後もドキュメンタリーとフィクションの境界線上に現代社会の本質を政治的・批評的立場から見つめる作品を発表し続けた。80年代からはパリに在住。ヨーロッパにもその視野を広げ、長編だけでなく短編やビデオ作品も手がけた。82年にはヴィム・ヴェンダース監督『ことの次第』の脚本を共同で執筆している。1999年に急逝。
配給:シネマトリックス
協力:山形国際ドキュメンタリー映画祭