現在開催中の第12回CO2東京上映展にて、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016にて国内作品に贈られるSKIPシティアワードを受賞しで注目を浴びた映画『見栄を張る』の上映が行われ、監督の藤村明世さん、出演者の辻凪子さんが登壇した。
シネアスト・オーガニゼーション大阪(CO2)は2004年度から大阪を映像文化の創造・発信拠点とする事を目指しつつ、映像制作者の人材発掘を行うため、全国から劇映画企画を募集し、選出されたものに助成金や制作協力という形でバックアップを行っている。完成作品の権利を制作者のものとしており、劇場公開や国内外の映画祭出品など、その後も自由な拡がりをみせることができるようになっている。
上映後トークショーでは、撮影エピソードとして約2週間スタッフ・キャスト全員で同じ屋根の下で合宿をしながらの撮影であったことを明かした。ラストシーンに関しての話になると、藤村監督は「ちゃんと負けた人って凄いと思うんです。このシーンに関しては、何かに向かっていくということを表したかった。自分の中にあったボクサーになりたいけどまだリングに立ったことがないというような、まだ勝っても負けてもいないという気持ちに対して、向かっていく。そんなシーンになっています。」とシーンに対する真摯な想いを語った。
出演者の辻凪子さんは劇中の衣装であるウサギの着ぐるみ姿で登場!大阪撮影のみだったことを残念がりながらも、本作に出演する小栁圭子さんの付き人として1日和歌山撮影にも参加したようで、御年90歳ながら片道3時間の移動時間も絶え間なく会話を続けていた小栁さんの元気さに驚いたこと語った。藤村監督も「映画では大丈夫かと心配になってしまうような役どころですが、カットがかかると全く気丈な方なので、本当に“女優さん”だと思いました。」と市川崑作品や溝口健二作品にも出演するベテラン女優である小栁さんと一緒に撮影できたことを感慨深く振り返った。
本作は第12回CO2東京上映展での上映後、第31回高崎映画祭での上映が決定している。
あらすじ
疎遠だった姉の訃報を受けて帰郷した絵梨子。しかし、代筆された喪主挨拶を読むことしかできない。葬儀で故人の魂を送る“泣き屋”だった姉の稼業を、絵梨子も始めるのだが……。